ドローンは私有地でも飛ばせない?飛行条件と許可申請の流れ

ドローン 私有地で飛ばせる条件と許可申請の流れ

この記事の結論
・私有地であっても航空法の規制対象(DID地区、30m規制など)であれば許可が必要

・100g以上の機体は登録義務があり、違反すると罰金や書類送検のリスクがある

・法的許可だけでなく、近隣への挨拶やプライバシー配慮などのマナーも重要

「自宅の広い庭や所有している山林なら、誰にも迷惑をかけずに自由にドローンを飛ばせるのではないか」

ドローンを購入した際、このように考える方は少なくありません。

自分の土地であれば、どのような使い方も自由であるように思えますが、ドローンの飛行に関しては「土地の所有権」と「航空法による空域の規制」は別の問題として扱われます。

たとえ私有地であっても、法律で定められたルールを知らずに飛行させると、航空法違反となったり、近隣住民からの通報によってトラブルに発展したりするリスクがあります。

本記事では、私有地や自宅敷地内でドローンを飛行させる際に必ず知っておくべき法的な判断基準と、安全に楽しむための具体的な対策を解説します。

航空法の基礎知識から、許可申請が必要となるケース、そして近隣トラブルを避けるためのマナーまで、安心してテクノロジーを活用するための情報を整理してお届けします。

目次

ドローンは私有地でも飛ばせない?航空法の基本を理解しよう

ドローンを飛行させる際、最も注意しなければならないのが「航空法」です。

多くの人が抱く「私有地なら自由」という認識は、現在の法規制においては誤りである場合が大半です。まずは、私有地におけるドローン規制の基本原則について解説します。

土地の所有権よりも航空法の安全ルールが優先されることを理解しましょう。

「自分の土地だから自由」は間違い?ドローン規制の基本

民法上、土地の所有権はその土地の上下(地下および上空)に及ぶとされていますが、ドローンの飛行に関しては「航空法」による安全確保のルールが優先して適用されます。

航空法では、ドローンが飛行する「空域」と「飛行方法」に対して規制を設けており、これらは土地の所有者が誰であるかに関わらず適用されます。

つまり、自宅の庭や所有する山林であっても、そこが航空法の規制対象となる空域であれば、国の許可や承認なしにドローンを飛ばすことはできません。

これは、落下事故による第三者への被害や、航空機の安全を確保するために設けられた重要なルールです。「敷地内から一歩も出ないから大丈夫」という判断だけで飛行させることは、法的にリスクがある行為といえます。

ドローン規制の対象となる機体とは?(100g以上の基準)

航空法の規制対象となる「無人航空機」かどうかの判断基準は、機体本体とバッテリーの合計重量によって決まります。

2022年6月20日より、この重量基準は「100g以上」に変更されました。以前は200g以上が対象でしたが、現在は100g以上のドローンであれば、屋外で飛行させる際に航空法の規制を受けます。

また、100g以上の機体は国土交通省への「機体登録」と、飛行時に機体の位置情報を発信する「リモートID機器」の搭載(一部免除あり)が義務付けられています。

一方で、重量が100g未満の機体は「模型航空機」に分類され、航空法上の「無人航空機」としての規制の一部は適用されません。ただし、100g未満であっても空港周辺や重要施設の周辺など、飛行が禁止されているエリアが存在するため注意が必要です。

違反するとどうなる?罰則と過去の事例

航空法に違反してドローンを飛行させた場合、厳しい罰則が科される可能性があります。主な罰則には以下のようなものがあります。

  • 許可・承認を得ずに特定飛行を行った場合: 50万円以下の罰金
  • アルコール等の影響下で飛行させた場合: 1年以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 飛行前点検を怠った場合: 50万円以下の罰金

実際に、住宅街の自宅敷地内で許可なくドローンを飛行させ、近隣住民の通報により警察が駆けつけ、航空法違反で書類送検された事例も存在します。

私有地であっても、ルール違反は重大な責任を問われることを認識しておく必要があります。

あなたの私有地でドローンは飛ばせる?確認すべき3つのポイント

では、具体的にどのような条件であれば私有地でドローンを飛ばせるのでしょうか。あるいは、どのような場合に許可が必要になるのでしょうか。

ご自身の環境で飛行が可能か判断するために確認すべき3つのポイントを解説します。

自宅がDID地区内か、隣家との距離が30m以上あるかが重要な判断基準です。

ポイント1:私有地は「人口集中地区(DID)」に該当するか?

まず確認すべきは、飛行させたい場所が「人口集中地区(DID)」に含まれているかどうかです。

人口集中地区とは、国勢調査の結果に基づいて一定の人口密度があるエリアのことで、一般的に住宅街や都市部はこれに該当します。

航空法では、人口集中地区の上空でドローン(100g以上)を飛行させる場合、原則として国土交通大臣の許可が必要です。これは私有地であっても例外ではありません。

自宅が住宅街にある場合、庭の上空であってもDID地区内であれば、無許可での飛行は禁止されています。

DID地区の確認は、国土地理院が提供する地図や、専用のドローン飛行マップアプリなどで簡単に行えます。

ポイント2:私有地の周囲30m以内に「人や建物」があるか?

次に確認すべきは「第三者」「第三者の物件」との距離です。

航空法では、人(操縦者や補助者以外)や物件(操縦者の管理下にあるもの以外)から30m以上の距離を保って飛行させることが義務付けられています。

ここで言う「第三者の物件」には、隣の家、駐車中の他人の車、電柱、電線などが含まれます。また、道路を通行する歩行者も「第三者」です。

自宅の庭で飛ばす場合、隣家との距離や道路までの距離が30m未満であることが多く、この規制に抵触するケースが非常に一般的です。

30mの距離を確保できない状況で飛行させる場合は、国土交通大臣の承認が必要となります。

ポイント3:100g未満の「トイドローン」なら規制対象外?

もし、飛行させたいドローンが重量100g未満(トイドローンなど)であれば、航空法上の「無人航空機」の規制(DID地区での許可や30m規制など)の対象外となります。

そのため、100g以上の機体に比べれば、自宅の庭などで飛行させられる可能性は高くなります。ただし、以下の点には引き続き注意が必要です。

  • 小型無人機等飛行禁止法: 国会議事堂や原子力事業所などの重要施設周辺は、重量に関わらず飛行が禁止されています。
  • 空港周辺・緊急用務空域: 航空機の安全に関わる空域は飛行禁止です。
  • 他人の権利侵害: プライバシー侵害や騒音など、民事上のトラブルや条例違反になるリスクは残ります。

100g未満であっても「完全に自由」ではないことを理解し、周囲への配慮を持って運用することが大切です。

私有地でも許可が必要なケースと申請の流れ

確認の結果、航空法の規制対象となる状況でドローンを飛ばしたい場合は、事前に国土交通省へ許可・承認の申請を行う必要があります。

ここでは、私有地での飛行において許可が必要になる主なケースと、具体的な申請手続きについて解説します。

私有地で許可が必要になる主なケース

私有地や自宅敷地内での飛行において、特に許可・承認申請が必要となりやすいのは以下のケースです。

  • 人口集中地区(DID)内での飛行: 都市部や住宅街にある自宅や敷地で飛ばす場合。
  • 人や物件から30m未満での飛行: 隣家、電柱、道路などが近くにある狭い範囲で飛ばす場合。
  • 目視外飛行: モニターを見ながらの操縦(FPV飛行)や、建物の裏側に回り込むなど、機体を直接肉眼で見ずに飛ばす場合。
  • 夜間飛行: 日没後から日の出前までの間に飛ばす場合。

これらの条件に一つでも当てはまる場合は、たとえ自分の土地であっても申請が必要です。

ドローン飛行許可申請の具体的な流れと必要書類

飛行許可申請は、国土交通省が運営するオンラインシステム「DIPS 2.0(ドローン情報基盤システム)」を通じて行います。手続きの基本的な流れは以下の通りです。

  1. アカウント作成・機体登録: DIPS 2.0でアカウントを作成し、所有するドローンの情報を登録します(登録記号の発行)。
  2. 操縦者情報の登録: 操縦者の氏名、住所、保有する技能証明書(免許)などの情報を登録します。
  3. 申請書の作成・提出: 「飛行の目的」「日時」「経路」「高度」「安全対策」などを入力し、申請書を提出します。
  4. 審査・許可書の発行: 国土交通省による審査が行われ、問題がなければ電子許可書が発行されます。

申請から許可が下りるまでは、通常10開庁日(約2週間)程度かかります。余裕を持って手続きを行うことが重要です。

また、独自のマニュアルを使用する場合などは追加の資料が必要になることもあります。

申請には約2週間かかるため、飛行予定日から逆算して早めに準備しましょう。

目的別の許可申請のポイント(趣味・点検など)

申請を行う際は、飛行の目的に応じて内容を調整する必要があります。

趣味の空撮や練習の場合:
特定の場所や日時を決めずに、1年間を通じて日本全国(一部地域を除く)で飛行できるようにする「包括申請」が一般的です。これにより、条件を満たす範囲内であれば、その都度申請することなく自宅や許可を得た場所で飛行が可能になります。

自宅の屋根点検などの場合:
特定の場所(自宅住所)と日時を指定して申請する「個別申請」を行うこともあります。

特に、DID地区内で30m未満の距離かつ目視外飛行になるなど、リスクが高い飛行条件が含まれる場合は、より詳細な安全対策の記述が求められることがあります。

ドローンを私有地で飛ばす際の注意点|近隣トラブル・通報を避けるには

法的な許可を得ていたとしても、住宅街などでドローンを飛ばす行為は、近隣住民にとって不安の種になることがあります。

「盗撮されているのではないか」「落ちてくるのではないか」といった懸念から、通報やトラブルに発展するケースも少なくありません。ここでは、法規制以外で配慮すべきマナーと対策を解説します。

プライバシー侵害にならないためのカメラ設定と飛行範囲

ドローンに搭載されたカメラは、高い位置から広範囲を撮影できるため、意図せず隣家のベランダや室内が映り込んでしまう可能性があります。

これはプライバシー権の侵害にあたる恐れがあるだけでなく、軽犯罪法や迷惑防止条例に抵触するリスクもあります。

  • カメラの向きに注意する: 飛行中はカメラを隣家に向けず、自宅敷地内のみが映るように角度を調整しましょう。
  • 飛行高度を抑える: 必要以上に高く飛ばさず、フェンスや植栽の高さを超えない範囲で運用するなど、視覚的な圧迫感を与えない工夫が有効です。
  • 撮影データの管理: 万が一他人が映り込んでしまった場合は、そのデータを公開せず、速やかに削除等の処理を行うことが重要です。

騒音対策と飛行時間帯のマナー

ドローンのプロペラが発する高周波の回転音は、静かな住宅街では意外と大きく響きます。特に滞空(ホバリング)している時の音は、長時間続くと近隣住民のストレスになります。

  • 早朝・深夜を避ける: 人が休息している時間帯の飛行は避け、日中の活動時間帯を選びましょう。
  • 短時間で済ませる: 飛行時間は必要最小限に留め、長時間の連続飛行は控えるのがマナーです。

事前の告知とコミュニケーションの重要性

トラブルを未然に防ぐ最も効果的な方法は、事前のコミュニケーションです。

ドローンが飛んでいるのを見て驚いて通報されるケースの多くは、「何をしているか分からない不審な物体」として認識されることが原因です。

  • 事前に声をかける: 「〇月〇日の〇時頃、自宅の屋根を点検するために10分ほどドローンを飛ばします」と隣近所に一言挨拶をしておくだけで、相手の安心感は大きく変わります。
  • 目的を伝える: 趣味の練習なのか、点検なのか、目的を明確に伝えることで不信感を払拭できます。

「いつ」「何のために」飛ばすかを伝えるだけで、通報リスクは大幅に下がります。

万が一の事故に備える!ドローン保険の活用

どれほど注意していても、突風や機材トラブルによる墜落のリスクをゼロにすることはできません。

もし隣家の車を傷つけたり、通行人に怪我をさせたりした場合、多額の損害賠償を請求される可能性があります。

私有地での飛行であっても、必ず「ドローン保険(賠償責任保険)」に加入しておきましょう。

多くの保険会社から、個人向け・業務向けのプランが提供されており、年間数千円程度で加入できるものもあります。安心してテクノロジーを利用するための必須の備えと言えます。

まとめ:私有地でのドローン飛行は「安全とマナー」を最優先に

私有地や自宅敷地内でのドローン飛行は、土地の所有権だけで自由にできるものではなく、航空法によるルールと近隣への配慮が不可欠です。最後に、本記事のポイントをまとめます。

まずは自身の私有地の状況を確認しよう

ドローンを飛ばす前に、以下の3点を必ず確認してください。

  1. 機体重量: 100g以上か未満か。
  2. 場所: 人口集中地区(DID)に該当するか。
  3. 距離: 隣家や道路などの第三者物件から30m以上離れているか。

これらの条件によって、許可申請の必要性が決まります。無許可での飛行は法律違反となるため、事前の確認を徹底しましょう。

迷ったら専門家や関連機関に相談を

自身の環境で飛ばせるか判断が難しい場合や、申請手続きに不安がある場合は、自己判断で飛行させずに専門家に相談することをおすすめします。

国土交通省のヘルプデスクや、行政書士などの専門家、または地域のドローンスクールなどが相談に乗ってくれる場合があります。

正しい知識と準備を持ってドローンを活用することは、あなた自身の安全だけでなく、ドローンというテクノロジーが社会に受け入れられるための第一歩です。ルールを守り、安全に空の活用を楽しみましょう。

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