「ドローンを始めてみたいけれど、法律や許可申請が難しそうで手が出せない」
「許可不要で手軽に飛ばせるドローンはないの?」
ドローンの普及に伴い法規制が強化される中、このように感じている方は多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、特定の条件を満たしたドローンや飛行場所であれば、面倒な許可申請なしで飛行を楽しむことは可能です。
特に「機体重量100g未満」のドローンは航空法の規制対象外となる部分が多く、初心者でも比較的自由に扱えることで注目されています。
しかし、「許可不要=完全に自由」というわけではありません。航空法以外にも守るべき法律や条例、そして周囲へのマナーが存在します。
これらを知らずに飛ばしてしまうと、悪気がなくても警察の指導対象となったり、罰則を受けたりするリスクがあります。
この記事では、ドローンスクール事業も手掛ける専門的な視点から、以下の内容を網羅的に解説します。
- ドローン規制の基本(100gの壁)
- 許可申請なしで飛ばせる具体的な条件と場所
- 航空法以外の見落としがちな重要ルール
- 100g未満ドローンの選び方と楽しみ方
- 安全に楽しむためのリスク管理とマナー
読了後には、複雑なルールのモヤモヤが晴れ、自分にぴったりのドローンを選んで安心して空の楽しみをスタートできる状態になるはずです。それでは、安全なフライトへの第一歩を踏み出しましょう。
ドローンは「許可不要」で飛ばせる?まず知るべき基本のキ
ドローンを飛ばす際、最もハードルとなるのが「国土交通省への飛行許可・承認申請」です。しかし、すべてのドローン飛行に申請が必要なわけではありません。
まずは規制の全体像と、許可不要で飛ばせるケースの基本を理解しましょう。
ドローンの「重さ」が規制の分かれ目!100g未満・100g以上の違い
ドローンの規制を理解する上で最も重要なキーワードが「重量100g」です。
日本の航空法では、機体本体とバッテリーの合計重量が100g以上の機体を「無人航空機」、100g未満の機体を「模型航空機」として区別しています。
以前は200gが境界線でしたが、2022年6月20日の航空法改正により、規制対象が100g以上に引き下げられました。
- 100g以上のドローン(無人航空機)
- 航空法の厳しい規制対象となります。
- 機体登録が義務化されており、リモートID機器の搭載が必要です。
- 特定の場所や方法で飛ばす場合、事前に国土交通省への許可・承認申請が必要です。
- 100g未満のドローン(模型航空機)
- 航空法の「無人航空機」に関する規制の対象外です。
- 機体登録やリモートIDの搭載義務がありません。
- アルコール検知義務や飛行日誌の記録義務なども適用されません。
このように、「ドローン 重さに関する規制」において、100g未満の機体は法的なハードルが大幅に低く設定されています。これが、初心者に「トイドローン(100g未満)」が推奨される最大の理由です。
なぜ「許可不要」が注目されるのか?ドローン入門者へのメリット
「許可不要」のドローン(主に100g未満)が注目される理由は、単に法律が緩いからだけではありません。初心者にとって以下のような実践的なメリットがあるからです。
- すぐに始められる手軽さ
機体登録やDIPS(ドローン情報基盤システム)での複雑な申請手続きを待つことなく、購入して充電すればすぐに(適切な場所で)飛ばすことができます。 - 低コストで導入可能
本格的な空撮ドローンは10万円以上するものも多いですが、100g未満のトイドローンであれば数千円〜1万円台で購入可能です。 - 練習に最適
軽量でスピードが出すぎないため、万が一衝突しても被害が小さく済みます。自宅の室内で操縦技術を磨くのに最適です。
まずは許可不要な機体で操縦感覚を養い、慣れてから本格的な機体へステップアップするというロードマップが、最も安全で挫折しにくいルートと言えます。
100g未満なら機体登録は不要ですが、空港周辺など飛行禁止エリアのルールは適用されるため注意が必要です。
【徹底解説】ドローンを「許可不要」で飛ばすための具体的な条件
では、具体的にどのような条件下であれば、許可申請を行わずにドローンを飛ばすことができるのでしょうか。ここでは「100g未満」と「100g以上」それぞれのケースについて解説します。
航空法の規制対象外「100g未満ドローン」の自由度と制約
100g未満のドローンは「模型航空機」に分類されるため、航空法上の「飛行禁止空域(DID地区など)」や「飛行の方法(目視外飛行など)」の規制を受けません。
つまり、以下のエリアでも許可なしで飛行できる可能性があります。
- 人口集中地区(DID地区):自宅の庭や近所の河川敷など(※条例等で禁止されていない場合に限る)
- 目視外飛行:モニターを見ながらのFPV飛行など
- 夜間飛行
しかし、完全に自由というわけではありません。 以下の航空法ルールは100g未満であっても適用されます。
- 空港等の周辺の飛行禁止:航空機の安全を確保するため、空港周辺は絶対NGです。
- 150m以上の高さの飛行禁止:地表または水面から150m以上の空域は飛行禁止です。
- 緊急用務空域:災害時など、消防や警察の活動を妨げる空域での飛行は禁止です。
これらに違反した場合は処罰の対象となるため、必ず守る必要があります。
100g以上でも許可不要?「特定飛行ではない」条件を理解する
「ドローン 100g以上」の機体であっても、すべてのフライトに許可申請が必要なわけではありません。
航空法では、リスクの高い飛行を「特定飛行」と定義しており、これに該当しない飛行(カテゴリーI飛行)であれば、許可・承認申請は不要です。
【許可申請が不要な条件(カテゴリーI飛行)】
以下のすべての条件を満たす場合です。
- 機体登録を行っていること(100g以上は必須)
- 以下の飛行禁止空域ではないこと
- 空港周辺
- 150m以上の上空
- 人口集中地区(DID地区)
- 緊急用務空域
- 以下の飛行方法を守ること
- 日中(日の出から日没まで)に飛ばす
- 目視内(肉眼で見える範囲)で飛ばす
- 人や物件(建物・車など)から30m以上の距離を保つ
- 催し場所(イベント等)の上空で飛ばさない
- 危険物を輸送しない
- 物件を投下しない
例えば、「郊外の人口集中地区ではない河川敷で、昼間に、目視範囲内で、誰もいない場所で飛ばす」のであれば、100g以上の本格的なドローンでも許可申請なしで飛ばすことが可能です。
ただし、機体登録は必ず必要ですので、混同しないように注意しましょう。
屋内なら基本的に許可不要!施設利用時の注意点
屋外ではなく「屋内」で飛ばす場合、航空法の適用はどうなるのでしょうか。
結論として、四方と上部がネットや壁で囲われている「屋内」であれば、航空法の規制対象外となります。
これは100g未満でも100g以上でも同様です。電波が遮断されない空間であっても、物理的に外部へ飛び出す恐れがない場合は、航空法の許可申請は不要です。
そのため、体育館やドローン専用の屋内練習場、自宅の室内などは、最も手軽にドローンを楽しめる場所と言えます。
屋外で100g以上の機体を飛ばす際は、必ず「DID地区外・目視内・昼間」などの条件を満たしているか確認しましょう。
許可不要でも違反になる!航空法以外の「見落としがちな規制」とマナー
「ドローン許可不要」で検索する方が最も陥りやすい落とし穴が、航空法以外の法律や条例です。
航空法でOKでも、他のルールでNGとなれば飛ばすことはできません。トラブルを避けるために必ず確認すべき規制を解説します。
小型無人機等飛行禁止法:重要施設周辺は絶対NG!
国の重要施設の周辺では、テロ対策等の観点からドローンの飛行が厳しく禁止されています。これは100g未満のトイドローンを含むすべての無人航空機等が対象です。
【対象となる主な施設】
- 国会議事堂、首相官邸、外国公館
- 防衛関係施設(基地など)
- 空港
- 原子力事業所
これらの施設の敷地および周囲おおむね300mの地域(レッドゾーン・イエローゾーン)で飛ばすことは法律で禁止されています。違反した場合、警察官による機器の破壊措置や逮捕の可能性があります。
都道府県・市町村の条例:公園や河川敷での飛行に注意
身近な公園や河川敷は飛ばしやすそうに見えますが、実は多くの自治体で条例によって禁止されています。
- 都市公園:東京都の都立公園をはじめ、多くの自治体の公園条例で「ドローン・ラジコン等の飛行」が禁止されています。
- 河川敷:河川法自体には明確な禁止規定はありませんが、河川管理者や自治体がローカルルールで禁止、または事前の届出を求めているケースが多々あります。
「誰もいないから大丈夫だろう」と飛ばしていると、通報されて条例違反になるケースがあります。飛ばす前には必ず「〇〇市 公園 ドローン」「〇〇川 ドローン 規制」などで検索するか、看板を確認しましょう。
私有地・イベント会場でのルール:管理者の許可は必須
他人の土地(私有地)の上空を勝手に飛ばすことは、民法上の土地所有権の侵害にあたる可能性があります。
- 私有地:山林や畑であっても、所有者の許可なく飛ばすのはトラブルのもとです。
- 観光地・イベント会場:多くの人が集まる場所では、事故防止のためにドローン飛行を一律禁止にしているケースがほとんどです。
「許可不要ドローン」であっても、他人の敷地で飛ばす際は必ず所有者・管理者の承諾を得てください。
地域コミュニティとの共存マナー:音やプライバシーへの配慮
法律違反でなくても、近隣住民とのトラブルに発展することがあります。スクール運営の現場でもよく耳にするのが「音」と「盗撮の不安」です。
- プロペラ音:ドローンの高周波なプロペラ音は、静かな住宅街では意外と響きます。早朝や深夜の飛行は控えましょう。
- プライバシー:カメラ付きドローンは「覗かれているのではないか」という不安を与えます。人の家の方に向けない、住宅密集地での屋外飛行は避けるといった配慮が必要です。
- 挨拶とコミュニケーション:もし屋外で練習する場合、近くに人がいれば「ドローンの練習をしています」と一言挨拶をするだけで、不審者扱いされるリスクはぐっと減ります。
航空法対象外のドローンでも、重要施設周辺や条例による禁止区域では飛行できません。必ず事前に確認しましょう。
許可不要ドローンを「安全に最大限楽しむ」ための選び方と活用術
規制を理解した上で、いよいよドローンを選んでみましょう。ここでは、許可不要(特に100g未満)ドローンの選び方と、スクールならではの「楽しみ方」を提案します。
100g未満ドローンの選び方:初心者におすすめの機種とポイント
100g未満のドローン(トイドローン)は種類が豊富ですが、以下のポイントを基準に選ぶと失敗がありません。
- プロペラガード付き:
壁や家具にぶつかった際の破損や怪我を防ぎます。全方位ガードタイプがおすすめです。 - 高度維持機能(気圧センサー):
スロットル(上昇下降)操作をしなくても自動で高さを保ってくれる機能です。これがあると初心者でも簡単にホバリングできます。 - カメラ性能は割り切る:
このクラスのカメラ画質は、本格的な空撮には向きません。スマホへのリアルタイム伝送(FPV)が楽しめる程度のものと割り切り、まずは「操縦」に重点を置いた機種を選びましょう。 - 技適マークの有無:
海外製ドローンの中には、日本の電波法に適合しない(技適マークがない)ものがあります。これを使うと電波法違反になるため、必ず国内正規品や技適マーク付きを選んでください。
【おすすめメーカー】
- Holy Stone(ホーリーストーン):サポートが手厚く、初心者向けモデルが豊富。
- Ryze Tech(Tello):DJIの技術が入った高性能トイドローン(重量約80g)。安定性が抜群です。
許可不要ドローンで「こんなに楽しめる!」具体的な活用シーン
「ただ飛ばすだけ」ではすぐに飽きてしまいます。以下のような遊び方を取り入れると、ドローンの楽しさが倍増します。
- おうちアスレチック:
フラフープやダンボールでコースを作り、タイムアタックをする。繊細なコントロール技術が身につきます。 - ペットや家族とのセルフィー:
手の上から離陸させ、普段撮れない角度から家族写真を撮る。パーティーなどでも盛り上がります。 - FPV探検:
スマホ画面を見ながら、自分の部屋や庭を「小人になった気分」で探検する。家具の下や棚の上など、普段見ない視点が新鮮です。
ドローン入門者向け!最初のステップと練習方法ロードマップ
購入したら、以下のステップで練習を進めましょう。我流で飛ばすよりも圧倒的に上達が早くなります。
- 【Step 0】室内環境を整える:エアコンの風を切る(トイドローンは風に弱いです)、壊れやすい物を片付ける。
- 【Step 1】離陸とホバリング:腰の高さまで上げて、その場でピタッと止める練習。これが基本にして奥義です。
- 【Step 2】前後左右の移動:機首(前)を自分に向けない状態(テールイン)で、前後左右にゆっくり動かす。
- 【Step 3】着陸:狙った位置(座布団やランディングパッド)に静かに着陸させる。
まずはこの「思った通りに動かし、止める」練習をバッテリー10本分ほど行うだけで、見違えるほど操作が安定します。
トラブルを防ぐため、必ず「技適マーク」が付いた国内正規品のドローンを選びましょう。
【万が一に備える】許可不要ドローンでも知っておきたい安全対策とリスク
手軽なドローンだからといって、リスクがゼロなわけではありません。むしろ「おもちゃ感覚」での事故が後を絶ちません。
衝突・墜落・紛失…許可不要ドローンに潜むリスクと回避策
- 風によるロスト:
100g未満の機体は非常に軽いため、わずか風速3〜5m/s程度の風でも流されてしまいます。屋外で飛ばす際は「ほぼ無風」の日を選び、風が出てきたらすぐに着陸させてください。 - バッテリー切れ:
トイドローンの飛行時間は5〜10分程度と短めです。夢中になっているといきなり出力が落ちて墜落します。タイマーをセットし、余裕を持って帰還させましょう。
法律違反時の具体的な罰則:知らなかったでは済まされない
もし規制に違反した場合、以下のような罰則が科される可能性があります。
- 航空法違反(飲酒操縦、危険な飛行など):50万円以下の罰金など
- 小型無人機等飛行禁止法違反:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 道路交通法違反(道路での危険行為):罰金等の対象
「許可不要だと思っていた」「知らなかった」では済みません。ルールを守ることは、自分自身を守ることでもあります。
ドローン保険の必要性:事故時の損害賠償に備える
トイドローンであっても、人の目に当たれば失明の危険があり、車を傷つければ高額な修理費が発生します。万が一に備えて「賠償責任保険」への加入を強く推奨します。
- 個人賠償責任保険:自動車保険や火災保険の特約でカバーできる場合があります。「ドローン操縦中の事故」が対象になるか、保険会社に確認してみましょう。
- ドローン専用保険:年間数千円程度で加入できる、ホビー用ドローン専用の保険もあります。
バッテリーの安全な取り扱いと保管方法
ドローンに使われる「リチウムポリマーバッテリー(LiPo)」は、取り扱いを間違えると発火する危険性があります。
- 充電したまま放置しない:過充電は発火の原因になります。
- 衝撃を与えない:膨らんでしまったバッテリーは使用を中止し、塩水につけて放電してから自治体の指示に従って廃棄しましょう。
- 保管場所:燃えやすいものの近くや、高温になる車内には絶対に放置しないでください。
トイドローンであっても事故リスクはあります。必ず賠償責任保険への加入や特約の確認を行ってください。
まとめ
この記事では、「ドローン許可不要」をテーマに、法的な条件から楽しみ方、リスク管理まで解説してきました。
【記事の要点まとめ】
- 100g未満のドローンは航空法の規制が少なく、登録不要で始めやすい。
- 100g以上でも、場所と条件(特定飛行以外)を守れば許可申請なしで飛行可能(ただし機体登録は必須)。
- 航空法以外にも、重要施設周辺(小型無人機等飛行禁止法)や公園(条例)、私有地での飛行には注意が必要。
- まずは室内で100g未満のガード付きドローンを使って練習するのがベストなロードマップ。
迷ったらここをチェック!許可不要ドローン選びの最終確認
自分がこれからどう遊びたいかによって、選ぶべき道は異なります。
- とにかく手軽に、室内メインで遊びたい
👉 100g未満のトイドローン(Holy Stone, Telloなど)を購入し、自宅や許可された屋内施設で楽しむ。 - 将来的に本格的な空撮をしたいが、まずは練習したい
👉 100g未満のトイドローンで操縦技量を磨く。その後、100g以上の機体を購入し、機体登録を行ってから郊外の許可不要エリア(DID地区外・目視内)で飛ばす。
ドローンをもっと楽しむなら!自社スクールの体験活用
「記事を読んでも、やっぱり自分で飛ばすのは不安」「広い場所で思いっきり飛ばしてみたい」
そう思われた方は、ぜひ一度ドローンスクールの体験会にお越しください。
当スクールでは、インストラクターの指導のもと、許可不要なトイドローンから本格的な空撮機まで、安全な屋内コートで実際に操縦体験が可能です。
法律の疑問点や機種選びの相談にもプロが直接お答えします。まずは「ドローンに触れる」ことから始めてみませんか?あなたの新しい趣味への扉を開くお手伝いをさせていただきます。
コメント