DJI農業用ドローン導入ガイド費用と保険法規制も解説

DJI農業用ドローン導入ガイド費用と保険法規制も解説

この記事の結論
・DJI農業用ドローンは作業効率化と身体的負担軽減を実現するスマート農業の強力なツール

・農地規模に合わせた機種選定と補助金活用により、導入コストの最適化が可能

・日本国内での運用には航空法に基づく承認申請と、万が一に備えた保険加入が不可欠

農業従事者の高齢化や人手不足が深刻化する中、テクノロジーを活用した「スマート農業」への注目が高まっています。

中でも、農薬散布や生育状況のモニタリングを効率化する農業用ドローンは、現場の負担を劇的に軽減するツールとして導入が進んでいます。

特に世界的なシェアを持つDJI製の農業用ドローンは、その性能と使いやすさから多くの農家に選ばれています。

しかし、いざ導入を検討すると「どの機種が自分の農地に合っているのか」「費用は総額でいくらかかるのか」「航空法などの法規制や保険はどうすればいいのか」といった疑問や不安に直面することも少なくありません。

本記事では、DJI農業用ドローンの基礎知識から主要モデルの比較、導入費用、そして日本国内での運用に不可欠な法規制や保険の知識までを網羅的に解説します。

目次

DJI農業用ドローン導入完全ガイド|選び方・費用・日本の法規制と保険まで徹底解説

農業用ドローンは単なる「空飛ぶ機械」ではなく、農業経営を効率化するための精密機器です。

まずは、農業現場でドローンがどのような役割を果たし、なぜDJI製品が選ばれているのか、その基礎とメリットを解説します。

ドローン導入は労働負荷を軽減し、精密農業を実現するための第一歩です。

農業におけるドローンの役割とDJIの強み

農業におけるドローンの主な役割は、農薬や肥料の散布、種子の播種、そして農地の測量や作物の生育診断です。

従来、重いタンクを背負って行っていた防除作業や、トラクターが入れない時期の追肥作業を空から行うことで、労働負荷を大幅に軽減します。

DJI(ディー・ジェイ・アイ)は、民生用ドローン市場で世界的なシェアを持つメーカーであり、農業分野においても「AGRAS(アグラス)」シリーズを展開しています。DJIが選ばれる主な理由は以下の通りです。

  • 高度な飛行安定性: 独自のフライトコントローラー技術により、薬剤を積載した状態でも安定した飛行が可能です。
  • 障害物回避機能: 全方向レーダーなどを搭載し、電柱や樹木などの障害物を検知して回避・停止する安全機能が充実しています。
  • 統合されたシステム: 機体、送信機、散布システム、ソフトウェアが一貫して設計されており、初心者でも操作を習得しやすいインターフェースを備えています。

DJI農業用ドローン導入で得られる具体的なメリット

DJIの農業用ドローンを導入することで、以下のような具体的なメリットが期待できます。

  • 作業時間の短縮: 人力での散布に比べ、数倍から数十倍のスピードで作業が完了します。例えば、1ヘクタールの散布をわずか10分程度で終えることも可能です。
  • 身体的負担の軽減: 夏場の炎天下での重労働から解放され、作業者の健康管理や労働環境の改善に寄与します。
  • 適期防除の実現: 短時間で広範囲をカバーできるため、病害虫の発生初期や天候の合間を縫って、最適なタイミングで防除を行えます。
  • 精密農業への展開: 測量用ドローンと組み合わせることで、生育の悪い箇所を特定し、必要な場所にだけ肥料を撒く「可変施肥」などが可能になり、資材コストの削減につながります。

【徹底比較】DJI農業用ドローンの主要モデルと選び方

DJIの農業用ドローンには、農地の規模や用途に合わせて複数のモデルがラインナップされています。

ここでは、散布用の「AGRAS」シリーズと測量用の「Mavic」シリーズについて、最新情報を整理します。

農地の面積や地形、運用体制に合わせて最適なモデルを選定しましょう。

AGRAS Tシリーズ(散布用)主要モデル比較

AGRASシリーズは、液剤や粒剤の散布に特化したモデルです。現在流通している主要なモデルは以下の通りです。

  • AGRAS T70P(最新大型モデル)
    DJI農業用ドローンシリーズで最大の積載量を誇る最新モデルです。最大積載量70L/70kgを誇り、北海道や干拓地など、広大な圃場での効率を最優先する場合に適しています。
  • AGRAS T50(大型モデル)
    高い散布能力を持つ大型機です。二重反転ローターを採用し、最大ペイロード40〜50L(実用目安40L)を実現。高負荷な連続散布や追肥作業に向いています。
  • AGRAS T25 / T25P(中型モデル)
    1人での運用を想定した中型機です。最大ペイロード20Lで、折りたたみ式のため移動が容易です。中規模農地や山間部の棚田、障害物が多い果樹園など、日本の平均的な農地規模にマッチしやすいモデルです。
  • AGRAS T10(コンパクトモデル)
    非常に軽量でコンパクトなエントリーモデルです。散布幅最大6mで、小規模な自己保有圃場や、軽トラック以外での運搬が必要な場所に適しています。
  • AGRAS T30
    業界標準として広く普及しているモデルで、安定性と効率性のバランスに優れています。

Mavic 3 Multispectral(測量用)の特徴と活用シーン

散布作業の前段階として、農地の状態を把握するために使用されるのが「Mavic 3 Multispectral(Mavic 3M)」です。

  • 特徴: 一般的な空撮用カメラ(RGBカメラ)に加え、植物の活性度を測るための「マルチスペクトルカメラ」を4台搭載しています。
  • 活用シーン: 作物の生育状況を数値化(NDVIなど)し、生育不良箇所を早期に発見します。また、取得したデータを基に処方箋マップを作成し、AGRASシリーズと連携させて自動散布を行います。

あなたの農地に適したDJI農業用ドローンの選び方

最適な機種を選ぶ際は、以下の基準を参考にしてください。

  • 農地の規模(面積):
    1ヘクタール未満はAGRAS T10、数ヘクタール〜中規模はAGRAS T25 / T25P、10ヘクタール以上の大規模圃場はAGRAS T50 / T70Pが推奨されます。
  • 地形と障害物:
    山間部や果樹園など、高度な回避能力や小回りが求められる場合は、機体がコンパクトなT25シリーズやT10が有利です。
  • 運用体制:
    1人で運用する場合は、機体重量やバッテリーの持ち運びを考慮し、T25以下のモデルが現実的です。T50以上の大型機は、バッテリー交換や薬剤補充に補助者が必要になる場合があります。

DJI農業用ドローン導入の費用と日本の補助金・助成金制度

導入にあたって最も気になるのが費用です。ドローン本体だけでなく、周辺機器や運用コストを含めた全体像を把握することが重要です。

機体価格だけでなく、バッテリーや講習費を含めた総額で予算を組みましょう。

本体価格から運用コストまでかかる費用内訳

農業用ドローンの導入には、機体価格以外にも様々な費用が発生します。なお、DJI製品は基本的にオープン価格となっており、販売店ごとの見積もりが必要です。

  • 初期導入費用:
    ドローン本体、送信機に加え、連続作業に必要なバッテリー(最低3〜4本)、専用充電器、冷却機、充電用の発電機、そして操作技術習得のための講習費が必要です。
  • ランニングコスト:
    年1回の定期点検・整備費、プロペラやノズルなどの消耗品費、賠償責任保険や機体保険の保険料、ソフトウェア利用料などがかかります。

DJI農業用ドローン購入で活用できる補助金・助成金

日本国内では、スマート農業の推進に向けた様々な補助金制度が存在します。これらを活用することで、導入コストを大幅に抑えられる可能性があります。

  • スマート農業関連の補助金: 農林水産省などが実施する、先端技術の導入を支援する事業。
  • 経営継続補助金: 農業経営の継続や販路回復・開拓を支援するもの。
  • 人材開発支援助成金: ドローンスクールの受講費などが対象になる場合があります。
  • 地方自治体の独自支援: 各都道府県や市町村が独自に設けている補助金。

※補助金や助成金は、公募期間や対象条件が年度ごとに変更されます。最新情報は農林水産省のホームページや、地元の自治体、ドローン販売店にてご確認ください。

費用対効果を最大化する導入シミュレーション

導入のROI(投資対効果)を検討する際は、以下の要素を比較します。

  • 外部委託費の削減: これまで防除業者に委託していた費用と、自社導入のコストを比較。
  • 人件費・労働時間の削減: 動力噴霧器での作業にかかっていた人数と時間をドローンに置き換えた場合の削減効果。
  • 農薬・肥料コストの最適化: 精密散布による資材の無駄遣いの削減。

具体的な金額シミュレーションは農地の条件によりますが、一般的に一定規模以上の作付けがある場合、数年で投資回収が可能と言われています。

DJI農業用ドローンの運用ガイド|日本の法規制・資格と保険の全て

ドローンを安全かつ適法に運用するためには、日本の法律と保険制度を正しく理解する必要があります。

農薬散布は航空法の規制対象です。必ず飛行承認申請を行いましょう。

農業用ドローン運用に必要な日本の法規制と資格

農業用ドローンを飛ばす際には、主に以下の法律が関わります。

  • 航空法:
    100g以上の機体には登録義務があります。また、農薬散布は「危険物輸送」および「物件投下」に該当するため、国土交通省への飛行承認申請が必要です。
  • 農薬取締法:
    農薬の使用基準(希釈倍率や散布量)を遵守し、ドローン散布に適した登録農薬を使用する必要があります。
  • 資格・技能証明:
    農業散布においては、メーカー(DJI)指定の教習施設での講習修了が、機体の購入やサポートを受ける条件となっていることが一般的です。

DJI無償付帯賠償責任保険の補償内容と注意点

DJIの農業用ドローンには、購入特典として「賠償責任保険」が無償で付帯される場合があります。これは、ドローンの操作ミスなどで第三者の身体や財物に損害を与えた場合の賠償責任を補償するものです。

購入後、所定の手続き(登録)を行うことで適用され、有効期間は通常1年間です。2年目以降は有償での更新や別途加入が必要となります。

重要: 購入時には必ず販売店を通じて、保険の引受会社や詳しい補償内容(約款)、登録手続きの方法を確認してください。未登録のまま事故を起こすと補償が受けられない可能性があります。

さらに安心!追加で加入を検討すべき保険の種類と選び方

無償付帯保険だけではカバーしきれないリスクに備え、以下の保険への追加加入を検討することをお勧めします。

  • 機体保険(動産総合保険): 操作ミスや突風などでドローン自体が墜落・破損した場合の修理費や再購入費を補償します。高額な農業用ドローンでは加入が強く推奨されます。
  • 使用者賠償責任保険: 従業員がドローン作業中に怪我をした場合などの、雇用主としての責任を補償します。
  • 施設賠償責任保険: 保管中のドローンによる事故や、準備作業中の事故などをカバーする場合に検討します。

事故発生時の対応と保険申請フロー

万が一事故が発生した場合は、冷静かつ迅速な対応が必要です。

  1. 安全確保と救護: 負傷者がいる場合は直ちに救護し、必要に応じて救急・警察へ連絡します。
  2. 現場保存: 事故状況がわかるよう、現場の写真撮影や目撃者の確保を行います。
  3. 関係各所への連絡: 国土交通省への事故報告(義務)や、販売店・保険会社への連絡を行います。
  4. 保険申請: 保険会社の指示に従い、事故報告書や修理見積書などの必要書類を提出します。

DJI農業用ドローンを始めるための具体的なステップとサポート体制

導入を決めてから実際に運用を開始するまでの流れと、長く使い続けるためのサポートについて解説します。

正規販売店での購入と講習受講が、安全な運用の第一歩です。

購入から初期設定、フライトまでの導入プロセス

  1. 販売店選びと相談: 農業用ドローンを取り扱う正規販売店に相談し、圃場に合った機種を選定します。
  2. 見積もりと契約: 機体、オプション、講習費などを含めた見積もりを取り、契約します。補助金を利用する場合はこの段階で調整が必要です。
  3. 講習の受講: 指定の教習施設で、操作方法、安全管理、農薬の取り扱いに関する講習を受け、技能認定を取得します。
  4. 機体登録とDIPS申請: 国土交通省のシステム(DIPS)で機体登録と飛行承認申請を行います。
  5. 納品と初期設定: 機体が納品されたら、アクティベーション(利用開始設定)や保険の登録手続きを行います。
  6. フライト計画: 実際の圃場で障害物を確認し、飛行ルートや散布計画を立てて運用を開始します。

導入後の安心を支えるDJIのサポートとメンテナンス

農業用ドローンは過酷な環境で使用されるため、メンテナンスが重要です。

  • DJI Care Refresh:
    DJIが提供する包括的な保証プランです。衝突や水没などの事故が発生した際、少額の追加料金でリフレッシュ品(新品同等品)と交換できるサービスなどが用意されています。
  • 定期点検:
    正規販売店や整備工場での年次点検を受けることで、機体の不具合を未然に防ぎ、安全性を維持できます。

成功事例から学ぶ!効果的な運用とデータ活用術

単に散布するだけでなく、データを活用することで農業経営はさらに進化します。

DJIの専用ソフトウェア「DJI Terra(テラ)」を使用すると、測量データから高精度な3Dマップや2Dオルソ画像を作成できます。

これにより、作物の生育状況を可視化し、必要な箇所に必要な量だけ農薬や肥料を散布する計画データを作成可能です。データの蓄積により、年ごとの生育傾向を分析し、土壌改良や品種選定に活かすなど、データドリブンな農業経営が可能になります。

DJI農業用ドローンは、AGRAS T70PやT25などのラインナップにより、小規模な圃場から大規模農地まで幅広く対応可能です。

導入には機体費用だけでなく、バッテリーなどの周辺機器や講習費が必要ですが、補助金を活用することで負担を軽減できる可能性があります。

また、日本国内で運用するには航空法などの法規制遵守と、万が一に備えた保険加入が不可欠です。特に「DJI無償付帯賠償責任保険」の登録手続きや、機体保険への加入検討は忘れないようにしましょう。

農業用ドローンは、労働力不足の解消と生産性向上を実現する強力なパートナーです。まずは、お近くのDJI正規販売店に相談し、実機を見たり、具体的な見積もりを取ったりすることから始めてみてはいかがでしょうか。

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