ドローンを購入していざ飛ばそうとしたとき、「ここは本当に飛ばして良い場所なのだろうか?」と不安に思ったことはないでしょうか。
特にDJI製ドローンには、安全のために独自の飛行制限システムが組み込まれており、画面に「飛行制限区域」という警告が表示されて離陸できないことがあります。
しかし、DJIのアプリで警告が出ないからといって、必ずしも日本の法律上で飛行が許可されているわけではありません。
安全かつ合法的に空撮を楽しむためには、メーカー独自のシステムと、国の法律の両方を正しく理解する必要があります。
本記事では、DJIドローンユーザーが知っておくべき「飛行禁止区域」の基礎知識から、アプリを使った確認方法、制限解除の手順、そして違反時のリスクまでを網羅的に解説します。
DJIドローンの飛行禁止区域とは?GEOシステムの基礎知識
DJIドローンには、パイロットが誤って危険なエリアや法的に問題のある場所で飛ばさないよう、独自の安全システムが搭載されています。
まずはその仕組みと、日本の法律との関係性を整理しましょう。
DJIの「GEOシステム(飛行制限区域)」とは何か
DJIが導入している「GEO(Geospatial Environment Online)システム」とは、ドローンのGPS位置情報を活用し、特定のエリアでの飛行を制限または警告する仕組みです。
対象となるのは、空港周辺や重要施設、刑務所、発電所などです。
DJI公式サポートによると、ドローンが自由に飛行できないエリアを総称して「飛行制限区域」と呼びます。
これには、飛行が完全に禁止される区域や、飛行時に警告が表示される区域などが含まれます。
このシステムは、最新の地図データに基づいてドローンの動作を制御し、意図しないトラブルを未然に防ぐ役割を果たしています。
飛行禁止区域が設定される背景と重要性
飛行禁止区域が設定される主な理由は、航空機の航行安全の確保と、地上の人や施設の保護です。
例えば、空港周辺でドローンが飛行すると、有人航空機と衝突する重大な事故につながる恐れがあります。
また、人口が密集している地域や重要施設の上空では、万が一の墜落時に甚大な被害が出る可能性があります。
DJIのGEOシステムは、こうしたリスクが高いエリアをあらかじめシステム上で「飛行できない場所」として設定することで、ユーザーが知らずに危険な飛行を行うことを防いでいます。
DJIのGEOシステムと日本のドローン法規との関係性
ここで最も重要なのが、「DJIのGEOシステム」と「日本の航空法などの法規制」は、必ずしも完全に一致しているわけではないという点です。
- DJI GEOシステム:メーカーが安全のために設定した独自の制限
- 日本の法規制:国土交通省などが定める法律(航空法、小型無人機等飛行禁止法など)
例えば、DJIのマップ上では飛行可能(制限なし)と表示されていても、日本の航空法では「人口集中地区(DID)」に該当し、許可なく飛ばすと違法になるケースがあります。
逆に、法的な許可を取得していても、DJIのシステム上でロックがかかっており、機体が動作しない場合もあります。
ドローンを飛ばす際は、DJIアプリでの確認だけでなく、必ず日本の法令に基づく確認も併せて行いましょう。
【図解】DJIアプリで飛行禁止区域を正確に確認する方法
飛行予定地が制限区域に含まれているかどうかは、DJIの操縦アプリを使って事前に確認することができます。
ここではその具体的な手順を解説します。
DJI Flyアプリ(またはDJI GO 4)での確認手順
DJIの主要な操縦アプリである「DJI Fly」や「DJI GO 4」には、飛行制限区域を表示するマップ機能が搭載されています。
- アプリを起動する:機体と送信機を接続し、アプリを立ち上げます。
- マップ画面を開く:画面左下(または機種により異なる)にある地図アイコンをタップしてマップビューに切り替えます。
- 飛行予定地をチェック:地図をスクロールまたは検索して、飛行させたい場所を表示します。
- 色分けを確認する:地図上に赤色や青色などで塗られたエリアがないか確認します。
特に「赤色」で表示されているエリアは飛行が厳しく制限されている場所です。
現地に行ってから慌てないよう、飛行前には必ずマップチェックを行う習慣をつけましょう。
GEOマップの活用と最新情報の取得方法
アプリだけでなく、DJI公式サイトの「GEO Zoneマップ」でも事前にエリアを確認することが可能です。
PCやスマートフォンからアクセスできるため、自宅で飛行計画を立てる際に便利です。
また、GEOシステムのデータは定期的に更新されます。
新しい空港ができたり、規制エリアが変更されたりする場合があるため、アプリ上で「飛行安全データベース」の更新通知が来た際は、必ず最新バージョンにアップデートしてください。
飛行中に制限区域に接近・侵入した場合の警告と対処法
飛行中に制限区域に近づくと、アプリ画面に警告メッセージが表示されたり、送信機が振動したりしてパイロットに知らせます。
- 警告区域への接近:画面に注意喚起が表示されます。周囲の安全を確認して飛行を続けてください。
- 飛行禁止区域への接近:機体がそれ以上進めないように空中で停止する、または自動的に着陸態勢に入ることがあります。
もし警告が出た場合は、慌てずに機体を安全な方向へ移動させてください。
無理に進入しようとすると、強制着陸などの制御が働き、予期せぬ場所に降りてしまうリスクがあります。
DJIの飛行制限区域の種類と規制内容を徹底解説【比較表付き】
DJIのGEOシステムには、危険度や規制の強さに応じていくつかの区分があります。それぞれの意味を理解しておきましょう。
飛行制限区域の種類とそれぞれの特徴
DJI公式情報に基づき、主な区域の種類を解説します。
- 制限空域:飛行が禁止されている区域です。マップ上では通常「赤色」で表示されます。このエリアではドローンは離陸できず、外から侵入することもできません。
- 承認空域:飛行には注意が必要ですが、条件付きで飛行可能な場合があります。
- 警告区域:飛行時に警告メッセージが表示される区域です。ユーザーが確認操作を行うことで飛行を継続できる場合があります。
- 規制制限空域:現地の法規制により飛行が禁止されている区域(例:刑務所周辺など)です。
- 飛行許可区域:現地法規制により飛行が許可されている区域で、マップ上では「緑色」で表示されることがあります。
【DJI飛行制限区域 比較表】規制内容・アプリ表示色・解除可否一覧
各区域の違いを整理した比較表です。なお、アプリのバージョンや機種により表示や名称が異なる場合があります。
| 区域の種類 | アプリ上の表示色(例) | 飛行の可否 | 制限解除(ロック解除) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 制限空域 | 赤色 | 不可 | 申請により可能 | 空港滑走路周辺など。Online Unlocking等の手続きが必要。 |
| 規制制限空域 | 赤色など | 不可 | 原則不可 | 刑務所や軍事施設など、法令で厳格に禁止されている場所。 |
| 高度制限空域 | グレーなど | 条件付可 | – | 設定された高度以上には上昇できないエリア。 |
| 警告区域 | 黄色など | 可 | 不要 | 画面に警告が出るが、確認すれば飛行可能。 |
| 飛行許可区域 | 緑色 | 可 | 不要 | 法的に飛行が許可されている推奨エリア。 |
表示色や挙動は、DJI Flyアプリのバージョンや設定地域によって異なる可能性があるため、必ず実際のアプリ画面で確認してください。
その他の飛行制限や注意すべき場所
GEOシステムに表示されない場所でも、注意が必要です。
大規模なイベントや要人の来訪に伴い、一時的に飛行禁止区域が設定されることがあります。これらはリアルタイムでマップに反映されない場合があります。
また、日本の航空法で規制される「人口集中地区(DID)」は、DJIマップの更新タイミングによっては最新の境界線とズレが生じる可能性があります。
必ず国土地理院の地図なども併用して確認しましょう。
DJIドローンを飛行禁止区域で合法的に飛ばす方法
業務などで、どうしても制限空域内で飛ばさなければならないケースがあります。その場合の手順を解説します。
DJIのGEOシステムにおける制限解除申請の概要と条件
DJIの「制限空域(赤色エリア)」で飛行するためには、DJIに対して制限解除(アンロック)の申請を行う必要があります。
これを「Online Unlocking」や「カスタムロック解除」と呼びます。
解除には、操縦者のDJIアカウント認証が必要です。また、軍事施設などの機密性の高いエリア(規制制限空域)については、原則として解除申請が適用されません。
【完全ガイド】DJI GEOシステム制限解除申請の具体的な手順と必要書類
制限解除を行うための一般的なステップは以下の通りです。
- 資料の準備:飛行許可証(国土交通省からの許可・承認書など)や身分証明書が必要になる場合があります。
- 公式サイトへアクセス:DJI公式サイトの「飛行制限解除(Fly Safe)」ページにアクセスし、ログインします。
- 申請情報の入力:機体のシリアルナンバー、飛行予定エリア(地図上で指定)、飛行期間、操縦者の情報を入力します。
- 審査と承認:申請内容が審査され、承認されると解除ライセンスが発行されます。
- アプリへのインポート:ドローンを起動し、アプリの設定メニューから「ロック解除ライセンス」を機体にインポート(読み込み)します。
この手順を踏むことで、システム上の制限が一時的に無効化され、飛行が可能になります。
日本の航空法に基づく飛行許可・承認申請との連携
ここで注意が必要なのは、「DJIのロック解除」と「国の飛行許可」は別物であるという点です。
DJIのシステムロックを解除したからといって、日本の航空法違反が免除されるわけではありません。
制限空域(空港周辺など)で飛ばす場合は、まず国土交通省への飛行許可申請(DIPSでの申請)を行い、許可を取得する必要があります。
正しい順序は以下の通りです。
- 国土交通省へ許可申請を行い、許可書を取得する。
- その許可書を根拠資料として、DJIへ制限解除申請を行う。
両方の手続きを完了させて初めて、合法かつ物理的に飛行が可能になります。
「DJIのロック解除」だけでは違法飛行になる可能性があるため、必ず国の許可を先に取得してください。
DJIドローンを飛行禁止区域で飛ばした場合のリスクと罰則
もし、適切な許可を得ずに飛行禁止区域でドローンを飛ばしてしまった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
航空法・小型無人機等飛行禁止法における法的罰則
日本の法律に違反した場合、重い罰則が科せられる可能性があります。
- 航空法:空港周辺や人口集中地区などで無許可飛行を行った場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
- 小型無人機等飛行禁止法:重要施設(国会議事堂、皇居、原子力発電所、自衛隊施設など)の周辺おおむね300m以内で飛行した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となる可能性があります。
特に小型無人機等飛行禁止法は、100g未満のトイドローンを含むすべてのドローンが対象となるため、機体の大きさに関わらず厳守が必要です。
地方自治体の条例や施設管理者の規制とペナルティ
国の法律以外にも、地方自治体が独自に定める条例(公園内での飛行禁止など)が存在します。
これらの情報はDJIのGEOマップには表示されないことが多いため、現地の看板や自治体のWebサイトで確認する必要があります。
違反した場合、過料などが科されるケースがあります。
事故発生時の責任と保険の重要性
禁止区域での飛行は事故のリスクが高まります。
万が一、人や物に損害を与えた場合、多額の損害賠償責任を負うことになります。
違法な飛行を行っていた場合、加入しているドローン保険(賠償責任保険)が適用されない可能性もあるため、法令遵守は自分自身を守るためにも不可欠です。
まとめ:DJIドローンを安全に楽しむための飛行前チェックリスト
DJIドローンを安全に楽しむためには、テクノロジー(GEOシステム)と法律(航空法等)の両面から安全確認を行うことが大切です。
飛行計画の策定から飛行許可申請までの流れ
- 場所の選定:飛ばしたい場所を決める。
- 法的確認:国土地理院地図などで、人口集中地区や空港周辺でないか確認する。
- アプリ確認:DJIアプリでGEOシステムの制限区域(赤色エリア等)でないか確認する。
- 許可申請:必要であれば国土交通省へ許可申請を行い、その後DJIへロック解除申請を行う。
事前確認を怠らないことが最も重要
現地に行ってから「飛ばせなかった」とならないよう、自宅での事前チェックを徹底しましょう。
特に旅行先など土地勘のない場所では、入念なリサーチが必要です。
最新情報を常にチェックする習慣をつけよう
ドローンに関する法律やDJIのシステム仕様は、頻繁にアップデートされます。
「以前は大丈夫だったから」という思い込みは捨て、常に最新の情報を入手するよう心がけてください。
正しい知識と準備があれば、ドローンは私たちの視点を広げる素晴らしいツールとなります。


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