ドローンを安全に飛ばすためには、飛行可能なエリアを正確に把握することが不可欠です。
DJI製ドローンを使用する多くのユーザーが利用するのが「DJIフライトマップ」や「GEO System」ですが、その色分けの意味や具体的な制限解除(アンロック)の方法に戸惑う声も少なくありません。
また、検索キーワードとして見られる「dji フリップ」という言葉。ドローンによるアクロバティックな宙返り(フリップ)飛行に憧れるユーザーもいますが、果たしてDJIの空撮用ドローンでそれは可能なのでしょうか。
本記事では、FlyMovie Techの編集方針に基づき、DJI GEO Systemの基礎知識からフライトマップの操作方法、飛行制限の解除手順、そして気になる「フリップ」の可否について、事実情報をもとに初心者にも分かりやすく解説します。
DJIフライトマップとは?GEO Systemで安全なドローン飛行の第一歩
DJIのドローンには、安全な飛行を支援するための「DJI GEO System(Geospatial Environment Online)」が導入されています。
これは、世界中の空域情報を最新の状態に保ち、パイロットが飛行制限区域や安全上のリスクがあるエリアを把握できるようにするシステムです。
DJI GEO Systemの目的とドローン飛行における役割(安全確保の重要性)
GEO Systemの主な目的は、航空機の安全や公共施設の保護です。
空港周辺や重要施設、人口集中地区(DID)など、ドローンの飛行が規制されているエリアをシステム上で明確化することで、ユーザーが意図せず違法な飛行を行ったり、事故を起こしたりするリスクを低減します。
機体が制限区域に近づくと、システムから警告メッセージが発せられたり、自動的に飛行が制限されたりする機能が備わっています。これにより、初心者のユーザーでも安心してテクノロジーを活用できる環境が整えられています。
GEOゾーンの種類と意味:飛行可能・制限区域を理解する
DJIフライトマップ上では、空域が色分けされて表示されます。それぞれの色が持つ意味を正しく理解することが、安全なフライトへの第一歩です。
- 制限空域(赤色): 飛行が厳しく制限されているエリアです。通常、このエリアでは離陸ができず、飛行中に侵入しようとすると機体が自動的に停止します。解除には特別な申請が必要です。
- 高度制限空域(灰色): 飛行高度に制限があるエリアです。設定された高度以上には上昇できません。
- 承認空域(青色): 制限空域ほど厳格ではありませんが、飛行には注意が必要なエリアです。場合によってはロック解除の手続きが必要となることがあります。
- 警告空域(黄色): 飛行時に警告が表示されるエリアです。制限はかかりませんが、周囲の状況に注意して飛行する必要があります。
- おすすめ飛行可能空域(緑色): 飛行に適したエリアとして推奨されている場所です。
GEOシステムが適用されるDJIドローンと対象エリア
GEO Systemは、DJI製の主要なドローン製品に適用されています。対象エリアは世界中に及びますが、国や地域によって規制内容が異なるため、システムは各国の法律や規制に合わせて調整されています。
日本では、航空法に基づく人口集中地区(DID)や空港周辺などがGEOゾーンとして設定されています。
すべての規制エリアが反映されているわけではないため、必ず国土交通省の「DIPS 2.0」も併せて確認してください。
DJIフライトマップの具体的な見方と活用方法
実際に飛行計画を立てる際、どのようにフライトマップを確認すればよいのでしょうか。ここでは、スマートフォンアプリとWebサイトの両方での確認方法を解説します。
DJI Flyアプリでのフライトマップ確認手順
DJIのドローン操作アプリ「DJI Fly」には、地図機能が標準搭載されています。
- アプリの起動と地図へのアクセス: DJI Flyアプリを起動し、画面左上の「地図」アイコン、または飛行画面左下の地図表示をタップします。
- 現在地と周辺情報の確認: GPS情報を基に現在地周辺の地図が表示されます。地図上には、前述したGEOゾーンの色分け(赤、青、黄など)がオーバーレイ表示されます。
- 詳細情報の表示: 特定のエリアをタップすると、そのエリアの制限内容や詳細情報が表示されます。
- フライトスポット機能: アプリによっては「フライトスポット」機能があり、近くの適切な飛行場所や撮影スポットを確認することも可能です。
DJI公式サイト(GEO Zone Map)での詳細な情報確認方法
PCやタブレットの大画面で事前に確認したい場合は、DJI公式サイトの「GEO Zone Map(FlySafe)」を利用します。
- サイトへのアクセスと地域設定: DJI FlySafeのページにアクセスします。
- 機体の選択: 使用するドローンの機種を選択します。機種によって制限内容が異なる場合があるためです。
- エリアの検索: 検索窓に地名や住所を入力するか、地図をスクロールして目的の場所を表示させます。
- レイヤーの選択: 地図上のメニューから「人工集中地区」や「各種空域情報」などの項目にチェックを入れることで、詳細な規制エリアを表示させることができます。
初期設定で地域が「中国大陸」になっている場合があるため、必ず「日本」に変更して確認しましょう。
飛行計画ツールとしてのフライトマップの読み解き方
フライトマップは単なる禁止区域の確認だけでなく、安全な飛行計画を立てるためのツールとして活用できます。
- 離陸地点の選定: 赤色や青色のゾーンを避け、緑色や色のついていないエリアを離陸地点として選びます。
- 飛行ルートの策定: 目的地までのルート上に制限空域がないかを確認します。
- ドローン飛行可能施設: DJIフライトマップには、DJIが独自に調査した「ドローン飛行可能施設」の情報が掲載され始めています。これらを活用することで、安心して練習や撮影ができる場所を見つけやすくなります。
DJIドローンの飛行制限を解除(アンロック)する手順と注意点
業務や特別な許可を得て制限区域内で飛行させる必要がある場合、DJIのシステム上で制限解除(アンロック)を行う必要があります。
制限解除(アンロック)の種類と条件(認証/自己解除/カスタム解除)
制限解除には主に以下の種類があります。
- カスタム解除(Custom Unlock): 赤色の「制限空域」など、通常は飛行できないエリアで飛行する場合に必要です。事前にDJIへの申請と承認が必要です。
- 自己解除(Self Unlock): 青色の「承認空域」など、ユーザー自身の責任において、認証済みアカウントを使用してその場で制限を解除できる場合があります。
いずれの場合も、DJIのアカウント認証(本人確認)が完了していることが前提となります。
アンロック申請の具体的なステップバイステップ解説
制限空域(赤色)での飛行許可を得るための「Online Unlocking」の手順は以下の通りです。
- DJI FlySafeポータルへログイン: DJI公式サイトのFlySafeページへアクセスし、DJIアカウントでログインします。
- 解除申請の作成: 「Unlock Request」などのメニューから新規申請を作成します。
- 情報の入力: 飛行させる機体のシリアルナンバー、パイロット情報、飛行エリア、期間などを入力します。
- 証明書類のアップロード: 公的機関からの飛行許可証など、正当な飛行権限を持っていることを証明する書類をアップロードします。
- 審査と承認: DJI側で審査が行われ、承認されると解除ライセンスが発行されます。
- 機体へのインポート: アプリを通じて解除ライセンスを機体に読み込ませることで、制限エリア内での飛行が可能になります。
アンロック時に必要な書類と申請をスムーズに進めるコツ
アンロック申請には、国や地域の法律に基づいた飛行許可証が必要です。日本では、国土交通省が発行する飛行許可・承認書などが該当します。
申請をスムーズに進めるためには、以下の点に注意してください。
- 機体情報の正確性: シリアルナンバーの入力ミスがないように確認する。
- 書類の鮮明さ: アップロードする許可証の画像やPDFは鮮明なものを用意する。
- 期間の余裕: 審査には時間がかかる場合があるため、飛行予定日よりも余裕を持って申請する。
承認までの期間とよくある質問・トラブルシューティング
承認までの期間については公式情報に具体的な日数の明記はありませんが、一般的には数営業日程度かかることが想定されます。
解除できない場合は、アプリ上でライセンスをインポートした後、必ず「有効化」のスイッチをオンにしてください。
「dji フリップ」は可能?DJIドローンでアクロバティック飛行を楽しむには
「dji フリップ」と検索するユーザーの中には、ドローンで宙返り(フリップ)などのアクロバティックな飛行を行いたいと考えている方もいるでしょう。ここでは、DJIドローンにおけるフリップの可否について解説します。
DJIドローンにおける「フリップ」の現状と実現の可否
結論から述べると、一般的なDJIの空撮用ドローン(Mavicシリーズ、Miniシリーズ、Airシリーズなど)において、ボタン一つで宙返りを行うような「フリップ機能」が搭載されているという公式情報はありません。
これらのドローンは、安定した映像を撮影することを主目的として設計されており、機体の姿勢制御も安定性を最優先に制御されています。
そのため、トイドローンに見られるような「360度フリップ」などの機能は、標準機能としては提供されていないのが現状です。
アクロバティック飛行が可能な機種と方法
DJI製品の中でアクロバティックな飛行に近い体験ができる機種としては、FPV(First Person View)ドローンである「DJI FPV」や「DJI Avata」などが存在します。
これらはマニュアルモード(Mモード)での操作が可能で、高い機動性を持ちますが、これらについても「自動フリップ機能」としての明記は調査データ上確認できませんでした。
一般的な空撮用ドローンで無理に急激な操作を行うことは、制御不能や墜落につながるため絶対に行わないでください。
フリップや特殊飛行に伴うリスクと法的規制・安全上の注意点
アクロバティックな飛行や特殊な機動を行う場合、以下のリスクと規制を考慮する必要があります。
- 墜落リスク: 急激な姿勢変化はバッテリーの脱落やモーターへの過負荷、センサーの誤作動を招く恐れがあります。
- 法的規制: 日本の航空法では、「危険な飛行」は禁止されています。制御を失う可能性のある無謀な操作はこれに該当する可能性があります。
- 安全確保: 万が一の墜落に備え、第三者や物件がない広い場所で、安全を十分に確保した上で行う必要があります。
最新情報とその他:安全なドローン飛行のための重要ガイドライン
GEO System以外にも、ドローンを安全に飛ばすために知っておくべきルールや機能があります。
GEOシステム以外のドローン飛行規制(リモートID、飛行レベル等)
GEO SystemはあくまでDJI独自の安全システムであり、国の法律をすべてカバーしているわけではありません。日本では以下の対応が必須です。
- 機体登録とリモートID: 100g以上のドローンは国土交通省への機体登録と、リモートID機能の搭載(または外付け機器の装着)が義務付けられています。
- DIPS 2.0: 飛行許可申請や飛行計画の通報は、国のシステムであるDIPS 2.0を通じて行います。
飛行前のチェックリストと緊急時の対応
安全なフライトのために、飛行前には必ず以下のチェックを行いましょう。
- コンパス・IMU校正: 必要に応じてキャリブレーションを行います。
- GPS受信状況: 十分な衛星数を捕捉しているか確認します。
- バッテリー残量: 機体と送信機のバッテリーが十分か確認します。
機体と送信機の接続が切れた場合やバッテリー残量が低下した場合、DJIドローンは自動的に離陸地点に戻る「RTH(Return-to-Home)」機能が作動します。
緊急時には、高度を離陸点から一定まで上げ、自動帰航モードに入ることがあります。この機能を正しく設定しておくことが重要です。
最新のドローン関連ニュースやアップデートの確認方法
ドローンに関する規制やアプリの機能は頻繁に更新されます。最新情報は、DJIの公式サイトやアプリ内の通知、または国土交通省のWebサイトで定期的に確認するようにしましょう。
また、ファームウェアのアップデート通知が来た場合は、安全機能向上のためにも速やかに更新することをおすすめします。
まとめ
本記事では、DJIフライトマップ(GEO System)の見方から制限解除の方法、そして「フリップ」に関する事実について解説しました。
- GEO System: 赤・青・灰などの色分けで飛行可能エリアを識別し、安全を確保するシステム。
- 確認方法: DJI Flyアプリや公式サイト(FlySafe)で事前にエリアを確認することが重要。
- 制限解除: 必要な場合は、正当な手続きと書類を用いてOnline Unlockingを行う。
- フリップ: 一般的なDJI空撮ドローンには自動フリップ機能の公式な記載はなく、安定飛行が基本。
テクノロジーは正しく理解し、ルールを守って使うことで、私たちの生活を豊かにしてくれます。フライトマップを有効活用し、安全で楽しいドローンライフを送りましょう。


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