DJI Focus Proの機能と活用術 撮影から編集まで解説

DJI Focus Proの機能と活用術 撮影から編集まで解説

この記事の結論
・DJI Focus ProはLiDAR技術とAMFモードにより、マニュアルレンズでも高精度なAFを実現

・撮影時のピントミスを激減させることで、動画編集時の修正コストを削減しクオリティを向上

・プロの現場からワンマン撮影まで、映像制作のワークフローを効率化する革新的なツール

映像制作において、最も基本的でありながら最も難しい技術の一つが「フォーカス(ピント合わせ)」です。

特に動きのある被写体や浅い被写界深度での撮影では、一瞬のピントのズレが映像の品質を大きく左右します。

2024年に登場したDJI Focus Proは、DJI初となる独立型自動マニュアルフォーカス(AMF)レンズ制御システムとして、この課題に革新的な解決策を提示しました。

LiDAR(ライダー)技術を駆使した高精度なオートフォーカスと、直感的なマニュアル操作を融合させることで、プロの撮影現場だけでなく、少人数のクリエイターにも高度な映像表現を可能にします。

本記事では、DJI Focus Proの基本機能から技術的な詳細、そして撮影後の動画編集ワークフローにおけるメリットまでを包括的に解説します。

PCやアプリでの編集作業を効率化するためのポイントも含め、導入を検討している方が知っておくべき情報を整理してお届けします。

目次

DJI Focus Proとは?次世代フォーカスシステムを徹底解説

DJI Focus Proは、シネマカメラや単焦点レンズなど、本来オートフォーカス(AF)機能を持たない機材であっても、最新のテクノロジーによって高精度なAFや追尾機能を利用可能にするシステムです。

マニュアルレンズを最新のAFレンズのように扱えるため、少人数でも高度な撮影が可能になります。

DJI Focus Proが提供する価値:シネマティック映像制作の新常識

これまで、映画やCMなどのプロの現場では「フォーカスプラー」と呼ばれるピント合わせ専門のスタッフが必要でした。

しかし、DJI Focus Proの登場により、撮影者一人でも正確かつ滑らかなフォーカス送りが可能になります。

このシステムは、LiDAR(レーザー光を用いた測距センサー)、モーター、グリップ、ハンドユニットなどのコンポーネントで構成されています。

これらを組み合わせることで、マニュアルフォーカスレンズをあたかも最新のAFレンズのように扱うことができます。これにより、少人数のチームでもシネマティックな映像表現を妥協することなく追求できるようになります。

自動マニュアルフォーカス(AMF)の仕組みと革新性

DJI Focus Proの最大の特徴は、業界初となるAMF(自動マニュアルフォーカス)モードです。

これは、オートフォーカス(AF)の利便性とマニュアルフォーカス(MF)の自由度を融合させた画期的な機能です。

AMFモードでは、システムが自動で被写体にピントを合わせ続けますが、同時にハンドユニットやグリップのフォーカスホイール(ダイヤル)がレンズの動きに合わせて回転します。

撮影者はこのホイールの動きを通じて、フォーカスが合っている位置を指先で常に感じ取ることができる触覚フィードバックを得られます。

さらに、撮影者が意図的にピント位置を変えたい場合は、ホイールを握って操作するだけで瞬時にマニュアル操作へ切り替わります。

操作を止めれば再び自動フォーカスに戻るため、機械任せのAFと、人間の意図を反映するMFをミリ秒単位でシームレスに行き来することが可能です。

どんな人が使うべき?ターゲットユーザー層

DJI Focus Proは、以下のようなユーザーに最適なソリューションです。

  • プロの映像制作者・撮影監督:正確なフォーカス送りを効率化し、クリエイティブな構図や演出に集中したい方。
  • ワンマンオペレーションのクリエイター:アシスタントなしで、動きの速い被写体や複雑なシーンを撮影する必要がある方。
  • シネマレンズ愛好家:オートフォーカス非対応の高品質なマニュアルレンズを使用して、現代的なAF撮影を行いたい方。

公式情報では、主に映画、CM、ドキュメンタリーなどのプロフェッショナルな撮影現場での使用が想定されています。

Focus Proの主要機能と技術詳細

ここでは、DJI Focus Proを支える核心的な技術スペックについて詳しく解説します。

導入前には必ずDJI公式サイトで、お持ちのカメラやレンズとの互換性を確認してください。

LiDAR測距システムによる高精度フォーカシング

システムの核となるのがDJI Focus Pro LiDARです。このセンサーは目に見えないレーザー光を照射し、被写体までの距離を正確に測定します。

  • 測距点:最大76,800点の測距ポイントを持ち、前世代モデルと比較して約77%増加しています。これにより、被写体の輪郭をより詳細に認識します。
  • 検知距離:人物であれば最大約20メートル先まで検知可能です。望遠レンズを使用した撮影でも安定したフォーカスを実現します。
  • 視野角(FOV):約70°の広角視野を持ち、フレームの端にある被写体もしっかりと捉えます。

このLiDAR技術により、暗い場所やコントラストの低いシーンなど、従来のカメラ内蔵AFが苦手とする環境でも強力なフォーカス性能を発揮します。

高速・高トルクモーターが実現する正確なレンズ制御

正確に距離を測っても、レンズを動かすモーターが遅ければピントは合いません。新しい「DJI Focus Proモーター」は、前世代に比べてモーター速度が約30%向上しています。

この高速かつ高トルクなモーターにより、重量のあるシネマレンズのフォーカスリングも素早く、かつ滑らかに回転させることができます。

フォーカスだけでなく、ズームやアイリス(絞り)の制御にも使用可能です。

複数のフォーカスモードとアシスト機能

撮影シーンに合わせて、多彩なフォーカスモードを選択できます。

  • マルチ被写体フォーカス遷移:複数の被写体を認識し、スムーズにピントを移動させます。
  • フレックススポット:画面上の特定の範囲にある被写体にピントを合わせます。
  • ActiveTrack Pro:次世代のトラッキング技術により、動き回る被写体を粘り強く追尾します。

また、DJIの高輝度遠隔モニターと組み合わせることで、LiDARが捉えた深度情報を波形として表示する「LiDARウェーブフォーム」機能も利用でき、視覚的にフォーカス位置を確認する助けとなります。

対応カメラ・レンズと最適なシステム構築

DJI Focus Proは、基本的に「Ronin」シリーズのジンバル(特にDJI RS 4 Proなど)と組み合わせて使用することを前提に設計されていますが、独立したシステムとしても機能します。

対応するカメラやレンズについては、物理的にモーターを取り付けられる多くのマニュアルレンズで使用可能です。

ただし、カメラ本体との通信(録画開始の連動など)については機種ごとの互換性があります。具体的な対応リストはファームウェアの更新によって追加・変更されるため、導入前には必ず確認が必要です。

実際の撮影現場での活用術と導入メリット

スペック上の数値だけでなく、実際の現場でどのように役立つのかを見ていきましょう。

AMFモードを活用することで、機械的なAFと人間味のあるMFを使い分け、リテイクを大幅に減らせます。

プロフェッショナルが語るFocus Proの恩恵

プロの現場では「リテイク(撮り直し)の削減」が大きなメリットとなります。

従来、マニュアルフォーカスでの撮影は、ピントがわずかにズレてNGになることが珍しくありませんでした。

Focus ProのAMFモードを使用すれば、基本は高精度なAFに任せつつ、演出上必要なタイミング(例えば、手前の人物から奥の人物へ意図的にピントを送る際など)だけ手動で介入できます。

これにより、成功率を飛躍的に高めながら、機械的すぎない人間味のある映像を撮ることができます。

撮影効率を向上させるワークフローの具体例

ワンマン撮影のドキュメンタリー現場を想像してください。被写体が予測不能な動きをする場合、これまでは広角レンズで絞りを絞って(パンフォーカス気味にして)ごまかすか、必死にフォーカスリングを操作する必要がありました。

Focus Proを導入すれば、開放絞り(背景をぼかした状態)でも、LiDARが被写体を捉え続けます。

撮影者は構図やカメラワークに集中できるため、結果として映像のクオリティが向上し、現場の進行もスムーズになります。

他のDJI製品(Roninジンバルなど)との連携で広がる表現

DJI Focus Proは、ジンバル「DJI RS 4 Pro」などとシームレスに連携します。ジンバルに装着することで、手ブレのない滑らかな移動撮影と、正確なフォーカス追従を同時に実現できます。

また、Focus Proグリップを使用すれば、ジンバルなしのハンドヘルド撮影でもLiDAR AFを利用可能です。グリップは約2.5時間の電源供給が可能で、長時間の撮影もサポートします。

DJI Focus Proと動画編集:撮影データを最大限に活かす方法

撮影が終われば、次はPCやアプリでの編集作業です。ここでは、Focus Proを使用した撮影が編集ワークフローにどのような影響を与えるか解説します。

Focus Proはレンズ制御装置であり、映像データ自体は接続したカメラに保存されます。

Focus Proで記録されるフォーカス情報の活用

まず理解しておくべき点は、DJI Focus Pro自体は映像を記録するカメラではなく、レンズを制御する装置であるということです。

Focus Proを使用する最大のメリットは、「編集時にピントの修正が不要な素材」を確実に残せる点にあります。

編集ソフトで「ピンボケをごまかすための加工」や「使えないカットの選別」に時間を費やす必要がなくなり、純粋なクリエイティブ作業に集中できます。

なお、Focus ProのLiDAR測距データやモーター位置情報が、カメラの映像ファイルにメタデータとして記録されるかどうかは、使用するカメラや接続方法に依存します。

PCで編集:主要動画編集ソフトとの連携と効率化

Focus Proを使用して撮影した映像は、一般的なPC用動画編集ソフトで編集します。

  • Adobe Premiere Pro / DaVinci Resolve / Final Cut Pro:プロの現場で標準的に使われるこれらのソフトで、問題なく編集可能です。Focus Proのおかげで被写体に正確にピントが合っているため、4Kや8Kの高解像度編集でも映像のシャープさが際立ちます。
  • DJI Video Editor(PC向けソフト):DJIはPC向けに管理ツールを提供していますが、シネマティックな映像制作においては、前述の高機能なソフトを使用するのが一般的かつ推奨されるワークフローです。

アプリで編集:DJI Mimoなどモバイル編集での活用

スマートフォンやタブレットでの編集を考えている場合、DJIには「DJI Mimo」や「LightCut」といった編集アプリがあります。

Focus Pro自体と直接連携してデータをやり取りする機能はありませんが、カメラからスマホへ映像を転送すれば、Mimoを使ってカット編集やフィルター適用が可能です。

ただし、Focus Proを使うような高品質な映像素材はデータ容量が大きいため、スマホアプリでの編集は「現場での簡易チェック」や「SNS用の速報動画作成」に向いています。

編集ワークフローを加速させるヒント

Focus Proを導入することで、編集ワークフロー全体が以下のように加速します。

  • OKテイクの増加:ピントの失敗が減るため、素材選び(ロギング)の時間が短縮されます。
  • スタビライゼーションの精度向上:被写体が鮮明であることは、編集ソフトのスタビライゼーション機能(手ブレ補正)の解析精度向上にも寄与します。
  • カラーグレーディングの効率化:ピントが合っている素材は、被写体の切り抜き(マスク処理)や色調整が容易になります。

DJI Focus Proの価格・購入ガイドとよくある疑問

導入を検討する際に気になる価格やパッケージ内容について整理します。

ワンマン撮影なら「クリエイターコンボ」、チーム撮影なら「オールインワンコンボ」がおすすめです。

各モデルの価格とパッケージ内容

DJI Focus Proは、必要なコンポーネントに合わせていくつかのパッケージで販売されています。

  • クリエイターコンボ:LiDAR、モーター、グリップ、キャリーケースなどがセットになった、ワンマン撮影向けの基本セット。
  • オールインワンコンボ:クリエイターコンボの内容に加え、ハンドユニット(遠隔操作用コントローラー)が含まれるフルセット。チーム撮影や遠隔操作が必要な場合に適しています。

価格は為替レートや販売店のキャンペーンにより変動しますが、プロ向け機材としてはコストパフォーマンスが高いと評価されています。

購入前に確認すべきポイントと注意点

  • 所有機材との互換性:お持ちのカメラやレンズにモーターが取り付け可能か、リグ(カメラケージ)の構成が必要かを確認しましょう。
  • ジンバルの有無:Focus Proは単体でも使えますが、DJI RS 4 Proなどのジンバルと組み合わせることで真価を発揮します。
  • 重量バランス:モーターやLiDARを追加することでカメラ周りが重くなるため、ジンバルのバランス調整や腕への負担を考慮する必要があります。

よくある質問(FAQ)とトラブルシューティング

Q: どんなレンズでもAF化できますか?
A: フォーカスリングにギアがついている(またはギアベルトを装着できる)マニュアルレンズであれば、物理的にモーターで制御可能です。

Q: 暗い場所でも使えますか?
A: LiDARは光の少ない場所でも距離を測定できるため、暗所でも高いAF性能を発揮します。

Q: 編集ソフトとの特別な連携機能はありますか?
A: 現時点では、特定の編集ソフト専用のプラグインなどは提供されていません。通常の映像素材として編集します。

まとめ:DJI Focus Proで映像表現の未来を切り拓く

DJI Focus Proがもたらす撮影と編集の革新

DJI Focus Proは、単なる「便利な道具」にとどまらず、映像制作のワークフローそのものを変える可能性を秘めています。

LiDARによる正確無比なオートフォーカスと、人間の感性を反映できるAMFモードの融合は、技術的な制約を取り払い、クリエイターが「何を撮るか」に集中できる環境を提供します。

また、撮影段階で完璧なフォーカスを実現することは、その後の動画編集工程における負担を大幅に軽減し、作品のクオリティアップに直結します。

導入を検討している方へ

もしあなたが、マニュアルフォーカスの難しさに悩んでいたり、少人数での撮影でクオリティの限界を感じているなら、DJI Focus Proは間違いなく投資する価値のある機材です。

まずは公式サイトで詳細なスペックや互換性を確認し、ご自身の撮影スタイルに合ったパッケージを検討してみてください。

テクノロジーの力を借りて、あなたの映像表現を次のレベルへと引き上げましょう。

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