ドローンを操縦する際、「無線資格は必要なのか」「免許がないと法律違反になるのか」と疑問に思う方は少なくありません。
実際、ドローンは電波を使用して操縦するため、日本の電波法による規制の対象となります。
しかし、すべてのドローンに資格が必要なわけではありません。使用する周波数帯や目的によって、資格が不要なケースと、厳格な国家資格が求められるケースに分かれます。
本記事では、ドローン操縦における無線資格の必要性を、電波法の基礎から分かりやすく解説します。
産業用ドローンで求められる「陸上特殊無線技士」や、趣味の空撮やFPVで活用される「アマチュア無線技士」の違い、そして資格が不要な場合でも守るべきルールについて整理してご紹介します。
「ドローン操縦」と「無線資格」の基本|なぜ必要?電波法の基礎知識
ドローンを安全かつ合法的に飛ばすためには、航空法だけでなく「電波法」の理解が欠かせません。
まずは、なぜドローンに無線の資格や免許が関わってくるのか、その基本的な仕組みを解説します。
ドローンに無線資格が必要な「電波法」の基礎知識(無線局とは?)
ドローンは、手元のプロポ(コントローラー)と機体を無線通信で接続して操作を行います。また、機体から送られてくる映像データも電波を使って受信します。
そのため、電波法においてはドローンおよびその操縦システムが「無線局」として扱われる場合があります。
電波法では、無線局を開設・運用するためには、原則として総務大臣の免許(無線局免許)と、無線設備を操作するための資格(無線従事者資格)が必要とされています。
ドローンも例外ではなく、使用する電波の周波数帯や出力によっては、これらの免許や資格が求められます。
ドローン操縦で電波法に違反するとどうなる?罰則とリスク
適切な免許や資格を持たずに、資格が必要なドローンの電波を発信した場合、電波法違反となります。
これは「不法無線局」の開設・運用とみなされ、処罰の対象となる可能性があります。
実際に飛ばさなくても、電源を入れて電波を発射した時点で違反となるため注意が必要です。
法的なリスクを避けるためにも、自身のドローンがどの周波数帯を使用し、資格が必要なものかどうかを事前に確認することが重要です。
「免許」と「資格」の違い|ドローンにおける無線資格の立ち位置
ドローンに関連する用語として「免許」と「資格」が混同されがちですが、電波法上では明確に区別されています。
- 無線従事者資格(資格)
無線設備を操作する「人」に与えられる資格です。国家試験への合格や講習会の修了によって取得できます(例:第三級陸上特殊無線技士など)。 - 無線局免許(免許)
無線設備(ドローンや送信機)そのものに対して与えられる許可です。使用する機体について「開局申請」を行い、無線局免許状の交付を受ける必要があります。
操縦者が「資格」を持ち、かつ機体について「免許(開局)」の手続きを行うという2つのステップが必要です。
ドローンで使える無線資格は主に2種類|「陸特」と「アマチュア無線」
ドローンの操縦に関連する無線資格は、大きく分けて「陸上特殊無線技士」と「アマチュア無線技士」の2種類があります。
それぞれの特徴と、どのようなシーンで必要になるのかを解説します。
「陸上特殊無線技士(陸特)」とは?産業用ドローンに必須の資格
「陸上特殊無線技士」は、主に業務や産業用途で無線設備を使用するための資格です。ドローンの分野では、特に「第三級陸上特殊無線技士(三陸特)」が重要となります。
5.7GHz帯などの周波数を使用する産業用ドローンを操縦する場合、この第三級陸上特殊無線技士以上の資格取得が必須とされています。
空撮業務、測量、点検など、ビジネスで高性能なドローンを扱う場合には、この資格が求められることが一般的です。
「アマチュア無線技士」とは?趣味のドローンにも活かせる資格
「アマチュア無線技士」は、金銭上の利益を目的としない、個人的な趣味としての無線操作を行うための資格です。
ドローンにおいては、FPV(First Person View)ドローンなどで使用される5.8GHz帯の電波を扱う際に必要となります。
個人が趣味でFPVドローンレースや空撮を楽しむ場合は、「第四級アマチュア無線技士」以上の資格が必要です。
この資格はあくまで「趣味」の範囲に限定されるため、業務としてドローンを飛ばして報酬を得る場合には使用できません。
【比較表】陸特とアマチュア無線技士|ドローン操縦における違いと選び方
2つの資格の違いを整理すると以下のようになります。
| 資格名 | 主な用途 | 周波数帯 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 第三級陸上特殊無線技士 | 業務利用 (産業用、ビジネス空撮) | 5.7GHz帯など | 仕事でドローンを扱う場合に必須 |
| 第四級アマチュア無線技士 | 個人利用・趣味 (FPV、レース) | 5.8GHz帯など | 業務利用は不可 趣味で高性能な機器を扱える |
自身の利用目的が「仕事」なのか「趣味」なのかによって、取得すべき資格が異なります。
【周波数帯別】ドローンに「無線資格」が必要・不要なケースを徹底解説
ドローンの無線資格が必要かどうかは、機体が使用する「周波数帯」と「送信出力」によって決まります。ここでは代表的な周波数帯ごとの扱いについて解説します。
資格不要!「2.4GHz帯」のドローンとその特徴
一般的に市販されている多くのドローン(DJI製の一般向けモデルなど)は、2.4GHz帯を使用しています。
この周波数帯を使用し、かつ「技適マーク」が付いているドローンであれば、基本的に無線資格や無線局の開局手続きは不要です。
これは、送信出力が基準を満たす「特定小電力無線局」として扱われるためです。初心者向けのトイ・ドローンや一般的な空撮用ドローンの多くがこれに該当し、購入してすぐに飛ばすことができます。
資格が必要!「5.7GHz帯」ドローンと「第三級陸特」
より大容量のデータ伝送や、混信の少ない環境を求めて「5.7GHz帯」を使用する産業用ドローンがあります。
この周波数帯を使用するドローンを操縦する場合は、「第三級陸上特殊無線技士」の資格が必要です。
また、資格取得に加えて無線局の開局申請も必要となります。主にプロフェッショナルな現場で使用される機体が該当します。
特定のドローンで活用される「アマチュア無線帯」とその資格
FPVゴーグルを装着して操縦するレース用ドローンなどでは、映像伝送の遅延を少なくするために「5.8GHz帯」がよく使われます。
この帯域はアマチュア無線に割り当てられているため、使用するには「第四級アマチュア無線技士」以上の資格が必要です。
さらに、使用する機体(VTX:映像送信機)について、無線局の開局申請を行い、アマチュア無線局としての免許を受ける必要があります。
海外製ドローンを日本国内で使用するためには、適切な申請手続き(VTXの保証認定など)が不可欠です。
「その他の周波数帯」と特殊なドローン利用の場合
上記以外にも、特殊な用途で以下の周波数帯が使われることがあります。
- 169MHz帯:産業用ドローンなどで使用され、第三級陸上特殊無線技士の資格が必要です。
- 1.2GHz帯:画像伝送用として使用される場合があり、第三級陸上特殊無線技士以上の資格と無線局免許が必要です。
- 920MHz帯:一定の出力以下であれば資格不要で使用できる場合があります。
このように、周波数帯によって必要な資格や手続きが細かく規定されています。
【第三級陸特】取得方法・難易度・費用を徹底解説|独学?講習会?
産業用ドローンの運用で需要が高い「第三級陸上特殊無線技士(三陸特)」について、取得の概要を解説します。
第三級陸特の試験概要|科目・形式・合格基準
第三級陸上特殊無線技士を取得するには、公益財団法人日本無線協会が実施する国家試験に合格するか、認定された養成課程(講習会)を修了する必要があります。
試験では、無線設備の操作に必要な知識や電波法規に関する理解が問われます。最新の試験要項については、日本無線協会の公式サイト等をご確認ください。
独学で合格は可能?おすすめの勉強方法と対策
国家試験を受験する場合、独学で対策を行うことも選択肢の一つです。市販の参考書や過去問題集を使用して学習を進めるのが一般的です。
一方、独学に不安がある場合は、後述する講習会の利用が検討されます。
費用と期間を比較|講習会で取得するメリット・デメリット
資格取得には、国家試験を受験する方法と、養成課程講習会を受講する方法があります。
講習会は、規定の時間の講義を受けた後に修了試験を行う形式で、短期間で集中的に学習できる点が特徴です。具体的な費用や講習期間については、実施機関やコースによって異なります。
第三級陸特取得後の更新や資格維持について
無線従事者資格は、一度取得すれば生涯有効な資格であり、運転免許証のような定期的な更新制度はありません。
資格は生涯有効ですが、機体側の「無線局免許」には有効期間があり、定期的な再免許申請(更新)が必要です。
無線資格が不要なドローンでも「これだけは確認を!」|その他の法的規制
「自分のドローンは2.4GHz帯の技適マーク付きだから、資格は不要」という場合でも、自由にどこでも飛ばせるわけではありません。
無線資格以外にも遵守すべき重要なルールがあります。
ドローンの「機体登録制度」とは?登録義務と申請方法
現在、重量100g以上のドローン(無人航空機)には、国土交通省への「機体登録」が義務付けられています。
これは無線資格の有無に関わらず必要な手続きです。登録を行わずに飛行させることは航空法違反となります。
登録手続きを行うことで機体に登録記号が付与され、リモートID機能の搭載なども求められます。
「飛行許可・承認申請」が必要なケースと手続き
航空法により、特定の空域(空港周辺、人口集中地区、150m以上の上空など)や、特定の飛行方法(夜間飛行、目視外飛行など)を行う場合には、あらかじめ国土交通省の許可・承認を受ける必要があります。
無線資格が不要なトイ・ドローンであっても、これらの飛行ルールは適用されるため注意が必要です。
損害賠償保険への加入も検討しよう
ドローン飛行中に万が一の事故が発生した場合、対人・対物賠償が高額になるリスクがあります。
法律上の加入義務はありませんが、安全な運用のために、ドローン専用の損害賠償保険への加入を検討することを強く推奨します。
無線資格取得でドローン活用の幅が広がる!具体的なメリット
無線資格を取得することで、扱えるドローンの種類や周波数帯の選択肢が広がります。
特に産業用ドローンにおいては、5.7GHz帯などを利用することで、より安定した通信環境での業務が可能になります。また、資格を持つことは、クライアントに対する信頼性の向上にもつながります。
まとめ
ドローンの無線資格は、使用する周波数帯や目的によって必要性が異なります。
- 2.4GHz帯(技適あり):一般的な空撮機など。資格・免許は不要。
- 5.7GHz帯:産業用ドローン。第三級陸上特殊無線技士が必要。
- 5.8GHz帯:FPVドローンなど。第四級アマチュア無線技士(趣味)または陸特(業務)が必要。
資格が必要な場合は、自身の目的に合わせて「陸特」か「アマチュア無線」かを選び、適切な手続きを行いましょう。
また、資格が不要な場合でも、機体登録や航空法の飛行ルールを守り、安全にドローンを楽しむことが大切です。


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