FPV(First Person View)ドローンは、まるで自分が空を飛んでいるかのような没入感のある映像体験や、狭い場所での点検作業など、従来のドローンにはない魅力と可能性を秘めています。
しかし、その運用には一般的なドローンとは異なる専門的な資格や法的手続きが必要です。
「興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」「違法にならずに飛ばすにはどうすればいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、FPVドローンの基礎知識から、運用に必須となる無線資格や国家資格の種類、具体的な取得方法、そしてビジネスでの活用事例までを体系的に解説します。
初心者の方が安心してFPVドローンの世界に踏み出せるよう、必要な情報を整理してお届けします。
FPVドローンとは?なぜ資格が必要?基礎知識を徹底解説
FPVドローンを始める前に、まずはその仕組みと、なぜ特別な資格や手続きが求められるのか、その背景にある法律的な理由を正しく理解することが重要です。
FPVドローンとは?一般的なドローンとの違い
FPVドローンとは、「First Person View(一人称視点)」の略称で、機体に搭載されたカメラの映像を、操縦者が装着したゴーグルなどでリアルタイムに見ながら操縦するドローンのことを指します。
一般的な空撮用ドローンは、スマートフォンやタブレットの画面を見ながら、あるいは機体を目視しながら操縦しますが、FPVドローンはコックピットに乗っているような感覚で操縦できるのが最大の特徴です。
これにより、高速飛行やアクロバティックな動き、さらには人間が入り込めない狭い空間での飛行が可能となります。
FPVドローンに資格が求められる理由(電波法・航空法)
FPVドローンを運用する際、主に「電波法」と「航空法」という2つの法律が関わってきます。
まず電波法の観点では、FPVドローンの映像伝送には、遅延が少なく高画質な「5.8GHz帯」の電波が主に使用されます。
この周波数帯を日本国内で使用するためには、無線局の開局が必要であり、その前提として「アマチュア無線技士」や「陸上特殊無線技士」といった無線従事者資格が必須となります。
次に航空法の観点では、ゴーグルを装着しての操縦は、操縦者が機体を直接見ることができないため「目視外飛行」に該当します。
目視外飛行を行う場合は、国土交通省への承認申請や、場合によっては「無人航空機操縦者技能証明(国家資格)」が必要となることがあります。
5.8GHz帯を使用するには無線従事者資格の取得と無線局の開局手続きが必須です。
FPVドローン飛行に必要な3つの要素(機体・操縦・電波)
FPVドローンを合法かつ安全に飛ばすためには、以下の3つの要素を揃える必要があります。
- 機体:日本国内の技術基準に適合していることを示す「技適マーク」が付いた機体、または保証認定を受けた機体が必要です。
- 操縦技能:安全に飛行させるための技術です。国家資格である「無人航空機操縦者技能証明」や、民間資格などが該当します。
- 電波資格と免許:運用目的に応じた無線従事者資格(アマチュア無線または陸上特殊無線)を取得し、さらに無線局の開局手続きを行う必要があります。
これら全てが揃って初めて、FPVドローンを屋外で飛ばす準備が整います。
FPVドローンの運用に必要な主要資格とその取得方法
FPVドローンを扱う目的(趣味か業務か)によって、取得すべき資格が異なります。ここでは主要な資格とその取得方法について解説します。
アマチュア無線技士:FPV映像伝送のキーとなる資格
趣味として個人的にFPVドローンを楽しむ場合、「第4級アマチュア無線技士」以上の資格が必要です。
- 対象:趣味での飛行、レース参加など(金銭的な利益が発生しない業務外の利用)。
- 取得方法(国家試験):日本無線協会が実施する試験を受験します。受験資格はなく、誰でも挑戦可能です。
- 取得方法(養成課程講習会):JARD(日本アマチュア無線振興協会)などが実施する講習会を受講し、修了試験に合格することで取得できます。
陸上特殊無線技士:業務用FPVで必須の資格
空撮業務や点検業務など、ビジネスとしてFPVドローンを使用し報酬を得る場合は、「第3級陸上特殊無線技士」以上の資格が必要です。
アマチュア無線資格では業務利用が認められていないため注意が必要です。
- 対象:業務としての空撮、インフラ点検、測量など。
- 取得方法:アマチュア無線と同様に、日本無線協会による国家試験を受験するか、養成課程講習会を受講して取得します。
業務利用の場合はアマチュア無線資格では違法になるため、必ず陸上特殊無線技士を取得しましょう。
無人航空機操縦者技能証明:目視外飛行・特定飛行に必要な国家資格
2022年12月から開始されたドローンの国家資格制度です。「一等」と「二等」の区分があります。
FPV飛行は「目視外飛行」にあたるため、この資格を取得することで、飛行許可・承認手続きの一部免除や簡略化が可能になります。
- 一等無人航空機操縦士:第三者上空での目視外飛行(レベル4飛行)が可能になります。
- 二等無人航空機操縦士:一部の特定飛行において、許可・承認が不要になります。
取得には、指定試験機関での学科試験、実地試験、身体検査に合格する必要があります。
国家試験と登録講習機関(スクール)の違いと選び方
無人航空機操縦者技能証明を取得するルートは大きく2つあります。
- 指定試験機関で直接受験(一発試験):スクールに通わず、直接試験センターで実地試験と学科試験を受ける方法です。費用は抑えられますが、高い操縦技術と知識が求められます。
- 登録講習機関(スクール)に通う:国が認定したスクールで講習を修了することで、実地試験が免除されます。初心者の方や、確実に資格を取得したい方にはこちらが一般的です。
資格取得だけじゃない!FPVドローン運用に必要な手続きと注意点
資格を取ったからといって、すぐにFPVドローンを飛ばせるわけではありません。機体ごとの申請や安全管理に関する手続きも不可欠です。
無線局開局申請:FPVドローン運用に必須の手続き
無線従事者資格(アマチュア無線技士など)を取得した後、使用するFPVドローン(送信機)を無線局として登録するための「開局申請」が必要です。
管轄の地方総合通信局へ申請書類を提出し、無線局免許状の交付を受ける必要があります。この免許状が手元に届いて初めて、電波を発射(飛行)することができます。
技適マークの重要性:電波法遵守のために
日本国内で使用する無線機器は、技術基準適合証明等(技適)を受けている必要があります。
市販のFPVドローンや送信機(VTX)を購入する際は、「技適マーク」が付いているかを必ず確認してください。
海外製の安価なパーツには技適マークがない場合があり、これを使用すると電波法違反となる恐れがあります。
海外製パーツを購入する際は、必ず日本国内の技適マークの有無を確認してください。
JUTM(無人航空機運航管理コンソーシアム)への情報提供と安全運航
FPVドローンを含む無人航空機の運用においては、空の安全を守るために適切な運航管理が求められます。
JUTM(日本無人機運行管理コンソーシアム)などの団体は、ドローンの安全な運航管理システムの構築や調整を行っています。
特に業務で産業用ドローンを運用する場合などは、こうした団体が発信するガイドラインや調整ルールを確認し、安全運航に努めることが重要です。
電波法・航空法違反のリスクと罰則
必要な資格を持たずに無線機を使用したり、許可なく禁止空域を飛行させたりした場合、電波法や航空法に基づき処罰される可能性があります。
- 電波法違反:不法無線局の開設などは、懲役や罰金などの対象となる場合があります。
- 航空法違反:許可承認のない飛行や飲酒操縦などは、同様に罰則の対象となります。
法令遵守はパイロット自身の責任です。正しい知識を持って運用しましょう。
FPVドローン資格取得にかかる費用と失敗しないスクール選び
資格取得には費用と時間がかかります。無駄なく効率的に学ぶためのポイントを解説します。
FPVドローン資格取得に必要な費用(受験料・スクール費用目安)
資格取得にかかる費用は、取得する方法や利用する機関によって異なります。
- 無線従事者資格:国家試験の受験料や、養成課程講習会の受講料が必要です。
- 無人航空機操縦者技能証明:学科試験・実地試験の受験手数料、身体検査手数料、交付手数料などがかかります。登録講習機関(スクール)を利用する場合は、別途入学金や受講料が必要です。
独学とスクール受講のメリット・デメリット比較
- 独学(直接受験):費用を最小限に抑えられ、自分のペースで学習できますが、実技の習得が難しく、試験対策の情報収集も自分で行う必要があります。
- スクール受講:プロの講師から体系的に学べ、実地試験免除などの優遇措置があります。機材や練習環境が整っていますが、受講費用がかかります。
失敗しないFPVドローンスクール選びのポイント
スクール選びで後悔しないためには、以下の点を確認しましょう。
- 国土交通省の登録講習機関か:国家資格の実地試験免除に対応しているか。
- FPVに特化したカリキュラムがあるか:一般的なドローンだけでなく、FPV特有の操縦や設定を学べるか。
- 講師の実績:現場経験豊富なインストラクターが在籍しているか。
- 機材と環境:練習用のFPV機材や、安全に飛行できるフィールドが確保されているか。
FPV特有の操縦技術は難易度が高いため、専門カリキュラムのあるスクール選びが重要です。
ATCLが提供するFPVドローン資格取得支援
株式会社ATCLなどの登録講習機関では、ドローン資格取得に向けた講習や支援を行っています。
特にFPVドローンに関しては、専門的な知識や技術が必要となるため、実績のある機関での受講が推奨されます。
ATCLでは、資格取得だけでなく、その後の運用も見据えたサポート体制を整えている場合があります。
FPVドローンの具体的な活用事例とキャリアパス
FPVドローンの技術を習得することで、どのような活躍の場があるのでしょうか。
産業分野でのFPVドローン活用事例(点検・測量・物流など)
産業分野では、FPVドローンの「狭い場所に入れる」「自由なアングルで撮影できる」という特性が活かされています。
- インフラ点検:橋梁の下やトンネル内、配管内部など、GPSが入りにくい環境や狭所での点検。
- 屋内点検:工場や倉庫内の設備点検。
映像制作・エンタメ分野でのFPVドローン活用事例
映像分野では、FPVドローンならではの疾走感あふれる映像が需要を高めています。
- 観光PR動画:施設内を通り抜けるようなワンカット撮影。
- スポーツ中継:選手に追従する迫力あるアングルでの撮影。
- ミュージックビデオ:アーティストのパフォーマンスを至近距離でダイナミックに撮影。
FPVドローンパイロットとして活躍する魅力と将来性
FPVドローンの操縦には高度な技術が必要とされるため、熟練したパイロットは希少価値が高く、専門職としての需要が期待されます。
趣味から始めて、プロの空撮パイロットや点検技術者としてキャリアを築くことも可能です。
ATCLの導入支援実績から見るFPVドローンの可能性
ATCLでは、プラント事業や再生可能エネルギー事業などにおいて、ドローンの導入支援を行っている実績があります。
こうした現場では、FPVドローンを含む先端技術が業務効率化や安全性向上に寄与しています。実際のビジネス現場での活用事例を知ることは、自身のキャリアパスを描く上でも参考になるでしょう。
まとめ
FPVドローンは、その没入感と高い機動性で、趣味としてもビジネスツールとしても大きな可能性を秘めています。しかし、その運用には正しい知識と資格、そして法的手続きが不可欠です。
FPVドローン活用の第一歩は「正しい知識と資格」
まずは「アマチュア無線技士」や「陸上特殊無線技士」といった無線資格の取得、そして必要に応じて「無人航空機操縦者技能証明」の取得を目指しましょう。これらは安全運航の基礎となります。
あなたの目的に合った資格取得プランを立てよう
趣味で楽しみたいのか、仕事として活用したいのかによって、必要な資格や学ぶべき内容は異なります。ご自身のゴールに合わせて、独学かスクールかを選択し、計画的に学習を進めてください。
ATCLはあなたのFPVドローン活用をサポートします
FPVドローンの資格取得や導入に関して不安がある場合は、専門的なノウハウを持つ登録講習機関に相談するのも一つの方法です。
ATCLをはじめとする専門機関のサポートを活用し、安全かつスムーズにFPVドローンの世界へ踏み出しましょう。


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