時速100kmを超えるスピードで空中を駆け抜け、まるでコックピットに乗っているかのような没入感を味わえる「ドローンレース」。
その映像美や迫力に魅了され、「自分もやってみたい」と考える人が増えています。
しかし、いざ始めようとすると「特別な資格が必要なの?」「法律が難しそう」といった疑問や不安に直面することも多いのではないでしょうか。
特に、専用のゴーグルを装着して操縦するFPV(First Person View)レースには、電波法に基づく無線資格が必須となるケースが大半です。
この記事では、ドローンレースに興味を持った初心者の方に向けて、レースの種類や魅力、そして最も重要な「資格」の取得方法について解説します。
機体選びや法規制のポイントも整理していますので、安心してドローンレースの世界へ飛び込むためのガイドとしてお役立てください。
ドローンレースの魅力と種類を徹底解説!【初心者必見】
ドローンレースは、単に機体を飛ばすだけでなく、コースを周回する速さを競うモータースポーツのような側面と、eスポーツのようなデジタルな側面を併せ持っています。
まずは、その魅力と主な種類について整理しましょう。
ドローンレースとは?速度とスリルが魅力の次世代スポーツ
ドローンレースとは、無人航空機(ドローン)を操縦し、設定されたコースをいかに速くゴールできるかを競う競技です。
特に人気が高いのが、機体に搭載されたカメラの映像をリアルタイムでゴーグルに映し出し、操縦者がその映像を見ながら操縦する「FPV(一人称視点)レース」です。
FPVレースでは、操縦者はまるでドローンに乗っているかのような感覚(没入感)を味わえます。
トップクラスのレースでは時速100kmを超える高速飛行が行われることもあり、そのスリルと迫力が多くのファンを惹きつけています。
主なドローンレースの種類と特徴(FPV/マイクロ/U199など)
ドローンレースにはいくつかのカテゴリーが存在し、機体のサイズや使用する電波によって分類されます。
- FPVレース(5インチ機など)
一般的に屋外で行われる本格的なレースです。迫力ある映像とスピードが特徴ですが、映像伝送に「5.8GHz帯」の電波を使用することが多く、無線資格や法的な手続きが必要です。また、ゴーグルを装着しての操縦は航空法上の「目視外飛行」に該当するため、適切な許可申請も求められます。 - マイクロドローンレース(Tiny Whoopなど)
手のひらサイズの小型ドローンを使用するレースです。屋内で行われることが多く、機体が軽量であるため、万が一衝突しても被害が少なく済みやすいのが特徴です。FPV機能を持つ機体の場合、やはり無線資格が必要になるケースが一般的です。 - U199(アンダー199)
機体重量が200g未満の機体で行うレースです。現在は航空法の登録義務化により100g未満の区分が重要視されていますが、従来のカテゴリー呼称として残る場合があります。
初心者でも参加しやすいレース形式は?
初心者にとってハードルが低いのは、目視(ゴーグルを使わず、機体を直接見て操縦する)で行うレースや、トイドローンを使用したレースです。
調査データによると、目視内飛行で行うレースであれば、特別な無線資格なしで参加できる場合があります。
まずは機体の挙動に慣れるために、資格不要の範囲で楽しめるトイドローンや、目視飛行のイベントから始めてみるのも一つの選択肢です。
まずは資格不要のトイドローンや目視飛行のイベントで、操縦の感覚を掴むことから始めましょう。
ドローンレースに必須?「資格」の種類と取得方法
ドローンレース、特にFPVレースを始めるにあたって最大の壁となるのが「資格」です。
ここでは、アマチュア無線技士を中心に、レース参加に必要な資格について解説します。
FPVドローンレースに必須!「第4級アマチュア無線技士」の取得ガイド
FPVドローンレースで使用されるドローンの多くは、映像を遅延なく伝送するために「5.8GHz帯」のアナログ電波を使用しています。
日本国内でこの周波数帯を使用するためには、電波法に基づき「第4級アマチュア無線技士」以上の資格が必要です。
- 資格の概要
第4級アマチュア無線技士は、無線従事者免許の一つです。この資格があれば、アマチュア無線局を開局し、指定された周波数帯の電波を扱うことができます。 - 取得方法
日本無線協会が実施する国家試験を受験するか、認定講習課程を受講して修了試験に合格することで取得できます。受験資格に制限はなく、誰でも挑戦可能です。
試験内容や費用は変更される場合があるため、日本無線協会の公式サイトで最新情報を確認してください。
無線局免許の申請も忘れずに!具体的な手続きの流れ
「第4級アマチュア無線技士」の免許証を取得しただけでは、まだFPVドローンを飛ばすことはできません。
資格取得後、総務省に対して「無線局の開局申請」を行い、無線局免許状(コールサイン)の交付を受ける必要があります。
- 手続きの必要性
電波法では、無線機(この場合はドローンの映像送信機)を使用する施設(無線局)ごとに免許が必要です。 - 申請の流れ
一般的には、資格取得後に申請書類を作成し、管轄の総合通信局へ提出します。審査を経て問題がなければ免許状が交付されます。
ドローンレースにおける「無人航空機操縦士(国家資格)」の必要性
2022年12月からドローンの国家資格(無人航空機操縦士)制度が開始されましたが、ドローンレースにこの資格は必須なのでしょうか。
現時点では、ドローンレースへの参加自体に国家資格は必須ではありません。
ただし、国家資格(一等または二等)は、有人地帯での目視外飛行(レベル4)や、特定の条件下での飛行を行う際に必要となります。
特に2026年以降、レベル3.5やレベル4飛行を行う場合は、国家資格の保有が絶対条件となる見込みです。
その他のドローン関連民間資格はレースに役立つ?
これまで多くの民間団体がドローン操縦技能証明を発行してきましたが、その扱いは今後変化します。
2025年12月5日以降、民間資格を保有していることによる飛行許可申請時の優遇措置は廃止される予定です。
ドローンを飛ばすこと自体に資格は必須ではありませんが、基礎知識や技術を学ぶ手段として民間資格やスクールを活用する意義は残ります。
もし将来的に、スポンサーがついた賞金付きのレースに参加する場合、それは「業務(営利目的)」とみなされる可能性があります。
アマチュア無線はあくまで「趣味(非営利)」のための資格であるため、業務利用の場合は「第3級陸上特殊無線技士」以上の資格と、業務用の無線局免許が必要になります。
賞金付きレースへの参加は「業務」とみなされ、アマチュア無線資格では違法になる可能性があるため注意が必要です。
ドローンレースを始めるための準備と機体選び
資格の目処が立ったら、次は機体や練習環境の準備です。ここでは機体選びの考え方と練習について触れます。
初めてのレース用ドローン選び方:押さえるべきポイント
レース用ドローンは、一般的な空撮用ドローンとは異なり、高速飛行と俊敏な動作に特化しています。
本格的なレースを目指すなら、カメラと映像送信機(VTX)を搭載したFPV対応モデルが必要です。
また、海外製の機体には、日本国内で使用できない周波数帯や出力設定になっているものがあります。
日本国内で合法的に使用するためには、「技適マーク」がついているか、あるいはアマチュア無線局として保証認定を受けられる仕様であるかを確認することが極めて重要です。
海外製ドローンを購入する際は、必ず日本国内で使用可能な「技適マーク」や仕様を確認しましょう。
初心者におすすめの機体・機材セット
初心者がいきなりパーツを買い集めて自作するのはハードルが高いため、完成機(RTF: Ready To Fly)セットが検討の候補に入ります。
これには機体、送信機(プロポ)、ゴーグルが含まれている場合があり、購入後すぐに練習を始めることができます。
ドローンレースに効果的な練習方法:シミュレーターから実機まで
ドローンレースの操縦は非常に繊細で、実機をいきなり飛ばすと墜落や破損のリスクがあります。
PCなどで動作するフライトシミュレーターを使用すれば、実機を壊すリスクなく、スティック操作の感覚を養うことができます。
実機で練習する場合は、周囲に人がいない安全な場所や、ドローン専用の練習場を利用しましょう。
安心してレースを楽しむための法規制と安全対策
ドローンレースを楽しむためには、ルールを守ることが大前提です。航空法や電波法などの法規制を正しく理解しましょう。
ドローンレースに関わる航空法と機体登録制度の基本
重量100g以上のドローンは、国土交通省への機体登録が義務付けられています。登録記号を機体に表示し、リモートID機能を搭載しなければなりません。
また、FPV飛行(ゴーグル装着)は「目視外飛行」に該当します。
航空法規制対象(100g以上)の機体で目視外飛行を行う場合は、事前に国土交通省へ飛行許可・承認申請を行う必要があります。
電波法とは?アマチュア無線機の適正利用と注意点
前述の通り、FPVドローンで5.8GHz帯を使用する場合、電波法が適用されます。
無線機を使用する際は、無線従事者免許証を携帯する必要があります。
アマチュア無線は「個人的な興味」による利用と定義されており、業務利用(仕事での空撮や賞金稼ぎなど)にアマチュア無線の電波を使うことは違法となるため注意が必要です。
レース中の安全飛行と事故防止のためのチェックリスト
レース中の事故を防ぐため、以下のような点に注意が必要です。
- 飛行エリアの安全確認(第三者の立ち入りがないか)
- 機体の整備状況(プロペラの破損、バッテリーの固定など)
- 無線機器の動作確認(映像の乱れがないか)
- 緊急時の着陸手順の確認
ドローンレースを始めるあなたへ:資格取得から参加までのロードマップ
最後に、ドローンレースを始めるまでの流れを整理します。
【Q&A】ドローンレースに関するよくある疑問
Q. 資格がなくてもドローンレースはできますか?
A. 目視内飛行で行うレースや、電波法の規制対象外(微弱無線局など)のトイドローンを使用するレースであれば、資格なしでも参加可能です。ただし、本格的なFPVレース(5.8GHz帯使用)には第4級アマチュア無線技士等の資格が必須です。
Q. 国家資格は取ったほうがいいですか?
A. レース参加に必須ではありませんが、将来的にレベル4飛行などの高度な飛行を行いたい場合や、体系的に知識を身につけたい場合は取得が推奨されます。
FlyMovie Tech編集部から始めるあなたへのエール
ドローンレースは、テクノロジーとスポーツが融合した新しい世界です。
最初は「資格」や「法律」といったハードルが高く感じるかもしれませんが、一つひとつクリアしていけば、空を自由に飛び回る圧倒的な爽快感が待っています。
まずは第4級アマチュア無線技士の取得から始めてみませんか? 正しい知識と安全意識を持って、ドローンレースの世界へ一歩踏み出しましょう。
まとめ
- ドローンレースの種類:FPVレース、マイクロドローンレースなどがあり、FPVは没入感が魅力。
- 必須資格:5.8GHz帯を使用するFPVレースには「第4級アマチュア無線技士」と「無線局の開局」が必須。
- 業務利用:賞金付きレースなどの業務利用には「第3級陸上特殊無線技士」が必要。
- 法規制:100g以上の機体は機体登録と、目視外飛行(FPV)のための飛行許可申請が必要。
- 国家資格:レースに必須ではないが、特定飛行や将来のレベル4飛行には関わる。
- 安全第一:法規制を遵守し、適切な練習を経てレースに参加しましょう。


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