SEL70300Gレビュー 酷評されてるけど思ってた以上にイイ!

※2023年2月に更新しました。
SONYのフルサイズ機を所有している方は
「望遠レンズにどれを選んだらよいのか」
とても悩ましいのではないでしょうか?
ワタシもα7Ⅲを使い始めて1年ぐらい経ち、望遠レンズが欲しいと本気で思い始めました。
SONY Eマウント用レンズにFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(SEL70300G)があります。
SEL70300Gはネットの情報を調べるとユーザーから酷評されていることもあるレンズです。

なのでレンズを借りて実際に撮影してみることにしましたよ。
SEL70300Gはネットの情報を調べるとユーザーから酷評されていることもあるレンズです。
私が使ってみた感想です。
・ソニーフルサイズ望遠レンズで一番持ち運びやすい
・一見コンパクト 300mmでニョキニョキ伸びる。
・流し撮り用の手振れ補正モード2がないのは残念
・写りは中の上
・絶妙な価格設定 pic.twitter.com/x9s1sFloJr— おーとふぉーかす@動画編集教えるよ (@sonycameralove) December 28, 2019
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSで実際に撮影してみた感想と、ソニーの望遠レンズの中でFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSがどんなレンズなのか?
作例を紹介しながらレビューします。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSの購入を検討している方や、Eマウントの望遠レンズでどれを選んだらよいか迷っている方はぜひ読んでみてください。
この記事で使ってみたレンズ
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSのレビュー動画を用意しました。
この記事をザックリ解説したので、読む時間がない方はぜひ視聴してみてください。
ワタシがFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSが欲しい理由
以前、FE 70-200mm F2.8 GM OSS SEL70200GMを使って競艇のハイスピード撮影と流し撮りを検証しました。
参考:作例付き!FE70-200mm F2.8 GMレビュー 買う前に知っておくべきこと
FE70-200mm F2.8 GMはソニーEマウントの大三元レンズのうちの一本で、言うまでもなく素晴らしい描写力とAF追従性能です。
2倍のテレコンバーターを使って撮影しましたが、動きの速いボートレース撮影でも撮り高は十分に上がります。
ただ残念なことにレンズ自体がメチャクチャ重いのです。
レンズフードと三脚座を含めて1.6kgとかなりの重さです。
大きさと重さはハッタリ効果は抜群に効きますが、撮影する人にとっては大きなデメリットです。
そこでもう一度他のレンズを物色しようとして見つけたのがFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSです。
過去にFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSを女性の方が軽快に操っている様子を見たことがあります。
白レンズでないことを飲み込めば、重量1kg以下になるFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはα7Ⅲの望遠レンズで最良の選択になるのではないか?と思いましたよ。
結論!このレンズ欲しい!
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSを使ってみて行き着いた結論は

っていうのが率直な感想です。
ワタシの用途ならこのレンズで十分そうです。
なので多分近いうちに買おうと思っています。

焦点距離:300mm 絞り:F13 シャッター速度:1/13 ISO感度:16000 拡大写真
まず、300mmの焦点距離はかなり離れた位置の被写体を大きく撮影することができます。
飛行機やボートレースの撮影では焦点距離200mm以上で撮影したくなります。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはテレコンバーターなしで焦点距離300mmを実現できるのは素晴らしいです。

焦点距離:291mm 絞り:F11 シャッター速度:1/640 ISO感度:1600 拡大写真
AF性能も十分な速度で動きの速い被写体も高い確率でピント合焦します。


望遠レンズではありますが、接写性能も意外とあって結構近づいてもピントを合わせることが出来る印象です。
ただ、ボケ味はちょっとうるさめで2線ボケもよく発生するので、背景ボケや手前ボケを生かした撮影にはあまり向いていません。

焦点距離:225mm 絞り:F10 シャッター速度:1/1600 ISO感度:5000 拡大写真
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはしっかり絞った撮影に向いていて、ハイスピード撮影では被写界深度が深くなるので気にならなくなります。
望遠側でのレンズ周辺部の描写はやや甘くなりますが、中央部分は十分な解像力です。

焦点距離:225mm 絞り:F10 シャッター速度:1/1600 ISO感度:5000 拡大写真
ハイスピード撮影では時々ピントを外すこともありましたが、流し撮りではとても良好にピントが合い歩留りが良い印象です。
レンズが軽くて手振れ補正も良く効くので、手持ちでの動体撮影は全く苦になりませんでしたよ。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSのメリット ここがイイ!
画像引用元:SONY 公式ページ
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSは非球面レンズ4枚とED(特殊低分散)ガラス2枚で構成されており、ナノARコーティングも施されています。
ソニー Gレンズはフレア・ゴーストに強く逆光耐性にも優れたレンズとなっています。
GMレンズと比べるとさすがに描写力は劣るものの、レンズ本体の重量がかなり軽いのが最大のメリットです。
ソニー望遠レンズの比較表
レンズ名 | SEL70300G | SEL70200GM | SEL100400GM | SEL70200G |
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焦点距離(mm) | 70-300 | 70-200 | 100-400 | 70-200 |
レンズ構成(群-枚) | 13-16 | 18-23 | 16-22 | 15-21 |
画角(35mm判) | 34° – 8°10′ | 34゚-12゚30′ | 24°-6°10′ | 34°-12° |
開放絞り(F値) | 4.5-5.6 | 2.8 | 4.5-5.6 | 4 |
最小絞り(F値) | 22-29 | 22 | 32-40 | 22 |
絞り羽根(枚) | 9 | 11 | 9 | 9 |
円形絞り | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
最短撮影距離(m) | 0.9 | 0.96 | 0.98 | 1- 1.5(AF時) 1-1.35(MF時) |
最大撮影倍率(倍) | 0.31 | 0.25 | 0.35 | 0.13 |
フィルター径(mm) | 72 | 77 | 77 | 72 |
レンズ内手振れ補正 | レンズ内手ブレ補正方式 | レンズ内手ブレ補正方式 | レンズ内手ブレ補正方式 | レンズ内手ブレ補正方式 |
寸法(mm) | 84 x 143.5 | 88 x 200 | 93.9 x 205 | 80 x 175 |
質量(g)※三脚座別 | 854 | 1480 | 1395 | 840 |
SONYストア価格(税込 2023.2調べ) | 20.7万円 | 33.0万円 | 38.3万円 | 18.1万円 |
テレマクロで近接撮影もできる
SONY公式ページの仕様を並べてみると、FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSは望遠レンズの中では接写に強く、望遠側で撮影するとかなり寄れることが分かりました。
最大撮影倍率は0.31倍となっており、ココで紹介したSONYの4本の望遠レンズの中では一番大きな数値です。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSで近接撮影もしたい方にとっては嬉しい性能ですね。
300mmの望遠の威力はやっぱりすごい
300mmの焦点距離は被写体をかなり大きくとらえることが出来ます。
過去に使ってみたFE70-200mm F2.8 GMではもう少し寄れるといいのになあ。と少し不満に感じましたが、FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはズームにしてみるとこんなに寄れるんだ!とびっくりしました。

焦点距離70mm

焦点距離300mm
こんなに寄れます。
Gマスターレンズよりは安い
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはSONYの販売価格で15.4万円、価格コムや主要なネットショップで調べてみると13~17万円といったところです。
決して安いレンズではありませんが、Gマスターの望遠レンズと比較するとお値段安めの設定です。
焦点距離200mm以上のレンズは、SEL70200GM+テレコンバーターか、SEL100400GMになります。
Gマスターレンズは20万円以上になるので、さすがに手が出ないという方もFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSならいくぶん出費を抑えられるのではないでしょうか。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSの欠点
白レンズではない
まずFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSは白レンズではないというのが残念な点です。
なのでハッタリが必要なプロのカメラマンの方は仕事で使う望遠レンズとして選ぶべきレンズではないです。
競馬、競艇のレースの撮影に行けば、白レンズやバズーカ砲のようなレンズを持っている方がたくさんいるのでさすがに悔しくなります。
だけどハッタリはどうでもよく、とにかく300mmの望遠レンズを実現したい方には最適な選択と言えるでしょう。
子どもの運動会や音楽会の撮影には白レンズだとかえって目立ちすぎます。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSなら他の親御さんの目を気にすることもありません。
三脚座がないぞ
三脚座を備えているSONYの望遠レンズの中で、FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはは三脚座を備えていません。
望遠撮影は三脚を使うことが多く、三脚座がないのはちょっと残念なポイントです。
軽量なレンズなので三脚座は不要かもしれませんが、個人的にはつけて欲しいですねえ。
手振れ補正に流し撮り用のモードがない

SEL70200GMのMODE切替えスイッチ

SEL70300Gはモード切替なし
FE70-200mm F2.8 GMでは流し撮りに役立つモード切替があります。
モード2は横方向の手ブレ補正をオフにする機能で、流し撮りする場合に役に立ちます。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSにはモード切替スイッチがありません。
ホコリが付着しやすい?

ズーム時は繰り出し式のSEL70300G
最後に気になったのがFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSのホコリの着きやすさです。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはズーム時にレンズの前玉が前へ繰り出すタイプのレンズですが、繰り出した時のレンズ筐体部分に砂ホコリがつきやすい感じがします。
この部分にゴミが付着した状態で、レンズを収納する(広角にする)と、レンズ内部にゴミが入りこんでしまう恐れがあります。
航空写真や競馬場での撮影に使ったので、砂ホコリが舞いやすい環境だったかもしれませんが、撮影中かなり気を使ってレンズを扱いました。
スポーツ写真や競技撮影など屋外で土ホコリが発生する厳しい環境で撮影する方は注意が必要だと思います。
レンズ本体・付属品はこんな感じ!
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはレンズ以外には前後のレンズキャップとレンズフード、そしてレンズポーチが付属しています。
レンズフードは丸型バヨネット式です。
フードを外した状態ではSEL2470GMや90mmマクロとあまり変わらないサイズですねえ。








このレンズの評価ポイント
操作性
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSの操作性は良好です。
同じGレンズのFE 24-105mm F4 G OSSよりもズームが重い感じに回るので、高級感もあります。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSは望遠時にレンズが前に繰り出すタイプです。
ズームリングとフォーカスリングはどちらもゴム製で、ズームリングのほうが前方にあります。
ズームリングはやや粘りがあり、少し重い感じがあります。
操作リングを回すときは手で添えていますが、撮影時は片手でも操作できるぐらいの軽さです。
それに対してフォーカスリングはかなり軽めですが、スカスカではありません。
適度にねばりがある感じです。
レンズにはズームロック機構があるので、広角側で固定ができるようになっています。
ロックを外してレンズを真下に向けると、緩やかにレンズが下にずれてきます。
重さ
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはレンズ自体の重さは854gで、α7Ⅲと合わせると1573gとなりました。
例えばFE 70-200mm F2.8 GMの場合三脚座を含めると、レンズだけでこの重さと同じぐらいになります。
そう考えるとFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSがいかに軽い望遠レンズであるかが分かるのではないでしょうか。
描写力
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはF8~F13で良好な解像力を発揮するレンズだそうです。
参考:ソニーFE70-300mm F4.5-5.6 G OSSは望遠側で周辺部が甘くなる|デジカメinfo
絞り値 F14

焦点距離:70mm 絞り:F14 拡大写真
実際に撮影してみると、広角側ではF14が非常にシャープな画質を得ることができました。
絞り値 F16

焦点距離:300mm 絞り:F16 拡大写真
また望遠側ではF16に絞り込むことで周辺の解像力も改善します。
レンズ中央の描写には文句なしです。
接写性能
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSは望遠レンズの中ではかなり寄りに強いレンズです。
最短撮影距離は90cmとなりますが、望遠端の最短撮影距離も同じ90cmです。


望遠側で撮影すればマクロレンズのように被写体をアップで撮ることが出来ます。
逆光耐性
- F4.5
- F6.3
- F9
- F13
- F18
- F22






FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSの逆光耐性も確認してみました。
コントラスト低下も起きておらず、逆光での撮影にも強いのが分かります。
収差
- プロファイル補正前
- プロファイル補正後


このレンズを使ってみた感想とまとめ
ネットの評判を調べていると酷評されていることも多く、あまり期待していなかったせいもあってか、使ってみると思いのほか良いレンズで感動しました。
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSはGマスターレンズと比較対象にされることが多く、FE70-200mm F2.8 GMやFE100-400GMの引き立て役になっているのかもしれません。
ソニーαシリーズと合わせても片手でも持てる軽量さと、十分な速度のAFで、実用十二分な望遠レンズです。
三脚座がないことや、手ブレのモード切替がない点はプロ向けのレンズとは言えないかもしれませんが、子供の運動会にはこのレンズの方が断然扱いやすいはずです。
フルサイズの標準的なレンズと大きさも変わらず、女性でも持てるぐらいの重さなのも魅力です。
腕力の要らない望遠レンズなので、かなり気軽に持ち出すことが出来ますよ。
ソニーでは定期的にキャッシュバックキャンペーンを実施しているので、購入時には必ずチェックしておきましょう。
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