カメラメーカー各社のフルサイズミラーレス一眼が出そろった中、さらに高画素カメラの発売の噂もチラホラ出てきましたね。
そろそろSDカードも最新の製品を用意するべき時期がやってきています。
SONYのミラーレス一眼ユーザーではもう使用している方も多いと思いますが、ソニーのSDカードにSF-G タフ仕様という新しい規格・構造の製品が発売されており、ジンワリ人気を高めているのをご存知でしょうか?
私の周りのカメラマンさんもチラホラ使い始めている方を見かけるようになってますよ。
α9・α7ⅢのおかげでRAWで連写する機会が増えており、これまで使ってきたSDカードを使った場合、データの書き込みが終わるまでの時間がやたら長く感じるようになってきました。
そこでSDカードの読み書き速度が劇的に速くなると噂のソニー SF-G タフ仕様を購入して使ってみることにしましたよ。
ここではSF-G タフ仕様を使ってみて分かった新規格のSDカードの良い所・悪い所を検証してみようと思います。
そろそろ良いSDカードが欲しくなってきた方やSF-Gタフ仕様の購入を検討している方はぜひ読んでみてください。
私がSONYのSDカード SF-G TOUGH(タフ)シリーズを買おうと思ったきっかけは2018年末頃に起きたα7Ⅲ・α7RⅢのSDカード不具合騒動です。
CanonからEOS R、ニコンからZ6・Z7が発売されてミラーレス機のフラッグシップモデルが各カメラメーカーからようやく出揃った時期にSONYのSDカード不具合の噂がネットで拡散されました。
この動画ではYouTubeチャンネル 冒険用品の水口さんとプロフォトグラファーの岡本浩孝さんがα7RⅢのデータ消失問題の真相について語っています。
プロの写真家さんのメモリーカードに対する考え方がよく分かるのでぜひ視聴してみましょう。
私が使っているα7Ⅲではこの騒動のような不具合は全く起こっておらず、「本当の話なのかなー?」と思っていました。
その後SONYは公式見解を示し、この件について改善するためにファームウェアのアップデートをリリースしました。
繰り返しお使いのSDカードでRAWデータの書き込み中にまれに動作が停止する事象を修正しました。
この動作停止に伴い、画像を管理しているファイルに異常が発生し、カメラ本体上で画像が表示されなくなる場合がありました。
動作停止時に書き込み中だったデータを除き、メモリーカード内の撮影データが壊れたり、削除されたりすることはありません。
オートレビュー機能を使用中に撮影を行うと、まれに操作を受け付けなくなる事象を修正しました。
他社製メモリーカードの一部が本機で認識されないというメモリーカードに起因する問題への対応。
SONYの公式発表ではSONY純正のSDカードを推奨しております。
他社製のSDカードを使うと不具合が出るカメラってどうなの?とちょっと思いますが..
ちなみにサンディスク製のSDカードは偽物が市場にたくさん出回っているというのは結構有名な話です。
素人では全く見分けがつかないぐらい精巧だと言われています
最近のミラーレス一眼カメラはカメラというよりもパソコンのようなデバイスとなっており、ファームウェアのアップデートで新機能が次々と搭載(インストール)できるようになっています。
こうなると質の悪いサードパーティ製のメモリーカードや互換バッテリーが不具合を起こしやすくなっているのは理解できなくはないですよね。
また私が使っているα7ⅢはUHS-IIのSDカードに対応しています。
SONY SF-Gタフ仕様はUHS-IIのSDカードで読み込み速度が300MB/秒、書き込み速度が299MB/秒となっており、従来使っていたサンディスクのSDカードのおよそ3倍の速度になります。
これにより連写時の書き込み速度が速くなるというメリットがありそうです。
UHS-II SDカードの威力をぜひ体験したいと思っていましたので買ってみることにしましたよ。
SONY SF-G TOUGH シリーズは2018年10月に発売開始したSONY純正のSDカードです。
従来のSF-Gシリーズに堅牢性と防塵防滴性能を加えた全く新しい製品です。
通常SDカードはフラッシュメモリを搭載した基盤を2枚の樹脂製ケースで重ね合わせて作られており、経年劣化で剥がれることもあります。
また防水性能はほとんどなく、水没するとほとんどの場合データは失われます。
それに対し、SF-Gタフ仕様はフラッシュメモリに硬質樹脂を流し込んで成型されており、完全防水加工となっています。
フラッシュメモリーは金属で包まれているため、従来のSDカードよりも少し重みがあるのが特徴です。
規格 | SDHC・SDXCカード UHS-II U3 |
読み書き速度 | Read 300MB/S・Write 299MB/S |
曲げ強度 | 18倍(SONY従来製品との比較) |
防水性 | 水深5mで72時間のテストをクリア |
強靭性 | 5mの高さの落下テストをクリア |
その他 | メモリー外装一体型。リブ・プロテクトスイッチを排除 |
バリエーション | 32・64・128GB |
また価格もかなり高くなっており、32・64・128GBで実売価格は9,000~3万円ぐらい。
私がこれまで使っていたSDカードの価格のおよそ2~3倍の値段です(苦笑
またSDカードに定番の上書き防止用プロテクトスイッチや接続部分のリブ(端子を保護する凹凸)が省かれているのが特長的ですね。
SDカードをカメラに差し込むときにこのリブが当たって壊れ、抜き差し出来なくなるという故障が起きるためSF-Gタフ仕様ではあえて排除したそうです。
また、プロテクトスイッチは「誤操作でONにしてしまいエラーが出て焦ることがある。」というユーザーの声から排除されたようです。
私もプロテクトスイッチを使うことはほとんどないので賛成です。
SF-Gタフ仕様の読み書き速度を実測してみました。
あれれ。
SF-G タフ仕様とサンディスクExtreme PROの速度はあまり変わりませんねえ。
これはもしかしてカードリーダーのせい?
調べてみるとSONYからUHS-II用のカードリーダーが発売していることが分かりました。
SONYの割に良心的な値段なので早速買ってみることにしましたよ。
カードリーダー MRW-S1はUHS-II対応のSDカードリーダーでパソコンへのデータ転送を高速で行ってくれるようです。
Windows、Macのどちらでも使えます。アクセスランプも付いているので取り外し時はアクセスランプが消えるのを確認してから行うとSDカードを傷めることもありません。
なんといってもMade in TaiwanがHeart Warmingな今日この頃。
SDカードリーダーのデザインなんてあんまり気にしませんが、もうちょっと小さいほうが嬉しいかも(汗)
読み書き速度を測ってみました。
やっぱりカードリーダーもUHS-II対応にすることで改善されましたね。
書き込み速度は理論値よりもかなり下回りましたが、これでSF-G タフ仕様のデータをPCに移動するのも速くなりそうです。
上の動画はα7ⅢとSF-G タフ仕様で連写撮影したときのデータ書き込み速度とサンディスクで連写した時の様子を動画撮影したものです。
RAWデータの場合、SF-G タフ仕様の方がかなり速く画像データを書き込めるのか良く分かりましたよ。
撮影が終わったSF-G タフ仕様の防水性能が本物かどうか検証するためにSDカードを水没してみることにしました。
このままSDカードをカメラに入れるとショートする恐れもあるのでしっかり乾かしてから入れてみますよ。
データは問題なく保存されています。すごい。
SONY SF-Gタフ仕様の購入者には2つのソフトウェアのダウンロード特典があります。
どちらのソフトウェアもソニー公式サイトからダウンロードできるようになっています。
SD Scan UtilityについてはSF-G タフ仕様でのみ使用できるソフトウェアで、Memory Card File Rescueにおいては製造ロット番号またはダウンロードコードの入力が必要です。
SD Scan UtilityはSDカードの健康状態を常に確認して撮影に臨むことができるので非常に便利なソフトウェアです。
試しにサンディスクのSDカードを読み込んでみたところ非対応のメモリーカードと表示されて診断できませんでした。
やっぱりSONY SF-G タフ仕様しか使えないソフトウェアのようですね。
このような感じでSONY 純正SDカード SF-G タフ仕様はさすがUHS-IIと言わんばかりの読み書き速度と強靭なボディを実現しております。
第三世代α7シリーズや最上位モデルのα9ユーザーにはおススメのSDカードと言えます。
しかし、ここで注意が必要なのはα7Ⅲ・α7RⅢ・α9はすべて2枚のSDカードを入れて同時記録・リレー記録ができるダブルスロット仕様になっているのですが、UHS-II対応はスロット1(下側のカードスロット)のみで、スロット2はUHS-Iである点です。
つまりスロット1にSF-Gタフ仕様を挿入しないとUHS-IIの恩恵を受けることができません。
SF-G タフ仕様を2枚購入して同時に使っても今のところあまり意味がないという結果になります。
これはハードウェアの問題なので、今後ファームウェアをアップデートしたとしても仕様が変わることはありません。
今後発売される後継機については両方のスロットともにUHS-IIに対応することが予想できますが、α7R IV・α9Ⅱは両方のスロットがUHS-II対応ですが、今慌てて2枚以上購入する必要はなさそうです。
もちろんSF-Gタフ仕様はUHS-Iのスロットでも使えるので、余裕がある方やプロの方は将来に向けてガンガン購入しておくのも良いと思います。
またUHS-IIの威力が発揮されるのはRAWデータの記録時で、JPEG撮影の場合はRAWデータの時ほど大きな違いが生じないというのも知っておいた方が良いでしょう。
SF-Gタフ仕様のメリット・デメリットをまとめると..
・UHS-IIの読み書き速度はRAWデータ書き込み時にかなり速くなる。
・防塵防滴性能はかなり信頼性が高い
・付属のSDカード管理ソフト・データ復旧ソフトでデータ管理を強化できる
・値段が高い。UHS-II対応のスロットでないと威力を発揮しない。
こんな感じです!
SONY Eマウントフルサイズ一眼でもUHS-II対応はスロット1のみとなっているので、金銭的に余裕がない方はゆっくり1枚づつサンディスクから代替えしていっても良いと思います。
ただし仕事でソニー機を使っているプロのフォトグラファー・ビデオグラファーさんにとっては万一データを破損した場合に賠償金を支払うことを考えれば、実は大した金額ではないとも言えるのではないでしょうか。
SF-G タフ仕様は特典のデータ管理ソフトを含めるとむしろ割安です。
偽物のSDカードを誤って使って大切なデータを失う前に、SF-Gタフ仕様を買っておいて損はありません。
以上、SF-Gタフ仕様のレビューでした!