ドローン警備とは?費用・メリット・デメリットを解説 – ドローン警備のすべて

- ドローン警備の導入ガイド|費用・法規制・サービス比較まで - ドローン警備とは?費用・メリット・デメリットを解説 - ドローン警備のすべて|費用・法規制・サービス比較で導入判断

この記事の結論
・ドローン警備は人手不足解消や死角のない監視を実現し、警備効率を劇的に向上させる

・導入には航空法などの法規制遵守や、初期費用・ランニングコストの把握が不可欠

・「セコムドローン」などのパッケージ型かカスタマイズ型か、自社に合うサービス選定が重要

近年、警備業界における人手不足やセキュリティニーズの高度化を背景に、ドローンを活用した警備システムが注目を集めています。

広大な敷地の巡回や、人が立ち入りにくい場所の監視において、ドローンは従来の警備手法にはない強みを発揮します。

しかし、導入を検討するにあたっては、具体的な仕組みや法規制、コスト、そして運用上のリスクなど、事前に把握すべき事項が多岐にわたります。

本記事では、ドローン警備の基礎知識からメリット・デメリット、導入にかかる費用の考え方、そして「セコムドローン」をはじめとする主要サービスの比較ポイントまでを網羅的に解説します。

テクノロジーを活用して施設の安全性を高めたいと考えている担当者の方が、自社に最適な選択をするための判断材料としてお役立てください。

目次

ドローン警備とは?その仕組みと従来の警備との違い

ドローン警備とは、無人航空機(ドローン)に搭載されたカメラやセンサーを活用し、施設やエリアの監視・巡回を行うセキュリティシステムのことです。

まずは、その基本的な仕組みと、従来の警備手法との違いについて解説します。

ドローン警備の基本的な仕組みと役割(AI巡回・リアルタイム監視など)

ドローン警備の核心は、自律飛行技術と遠隔監視システムにあります。

あらかじめ設定されたルートを自動で飛行する「自律飛行型」が主流であり、GPSや各種センサーを用いて障害物を回避しながら巡回を行います。

ドローンに搭載された高解像度カメラや赤外線カメラ(サーマルカメラ)が撮影した映像は、リアルタイムで管理センターや警備員の端末へ送信されます。

近年ではAI(人工知能)による画像解析技術と組み合わせることで、不審者や異常事態を自動検知し、アラートを発報するシステムも実用化されています。

これにより、人間が常時モニターを監視し続ける負担を軽減しつつ、見落としのない監視体制を構築することが可能です。

従来の警備手法(有人・固定カメラ)との違いと優位性

従来の警備手法である「警備員による巡回」や「固定監視カメラ」と比較すると、ドローン警備には明確な違いがあります。

  • 移動の自由度と視点の高さ
    固定カメラは設置場所からの映像しか捉えられず、死角が生じやすいという課題があります。一方、ドローンは上空から広範囲を俯瞰(ふかん)できるため、死角を大幅に減らすことができます。また、警備員が徒歩で移動するには時間がかかる場所へも、ドローンであれば短時間で到達可能です。
  • 危険エリアへの対応
    足場の悪い場所や有害物質の漏洩が懸念されるエリアなど、人間が立ち入るには危険な場所でも、ドローンであれば安全に状況を確認できます。
  • 24時間体制の維持
    バッテリーの交換や充電ステーション(ドローンポート)との連携により、夜間や悪天候時(機種による)を含めた継続的な監視が可能となり、警備員のシフト管理や身体的負担の問題を補完します。

ドローン警備で解決できる経営・現場の課題

ドローン警備の導入は、警備業界が抱える構造的な課題の解決に寄与します。

最も大きな課題は深刻な「人手不足」です。少子高齢化に伴い警備員の人材確保が難しくなる中、ドローンによる自動巡回は省人化を実現する有効な手段となります。

また、広大な工場や重要インフラ施設においては、警備品質の均一化も課題となります。

人間の巡回では担当者によってチェックの精度にばらつきが生じる可能性がありますが、プログラムされたルートを飛行するドローンであれば、常に一定の品質で監視業務を遂行できます。

ドローンは死角を減らし、人手不足を補う強力なツールとして機能します。

ドローン警備のメリット・デメリットと具体的な活用シーン

ドローン警備には多くの利点がある一方で、技術的・運用的な課題も存在します。導入を成功させるためには、メリットとデメリットの両面を正しく理解しておく必要があります。

ドローン警備を導入する5つのメリット(コスト削減・効率化・死角減少など)

ドローン警備を導入することで得られる主なメリットは以下の通りです。

  • 人件費の削減と業務効率化
    広範囲の巡回をドローンが代替することで、必要な警備員の数を減らし、人件費を抑制できます。
  • 死角の解消と監視エリアの拡大
    上空からの視点により、フェンスの向こう側や建物の屋上など、地上からは見えにくい場所も監視可能です。
  • 迅速な初動対応
    異常発生時に現場へ急行する際、ドローンは直線距離で移動できるため、車両や徒歩よりも早く現場状況を把握できます。
  • 警備員の安全確保
    不審者と直接対峙するリスクを減らし、遠隔からの状況確認によって警備員の安全を守ります。
  • 証拠映像の記録
    高画質な映像を記録として残せるため、事後の検証や警察への証拠提出に役立ちます。

導入前に考慮すべきデメリットと潜在的なリスク

一方で、以下のようなデメリットやリスクも考慮しなければなりません。

  • 天候による稼働制限
    多くのドローンは強風や豪雨、降雪などの悪天候下では飛行できません。全天候型の機体も開発されていますが、コストが高くなる傾向があります。
  • バッテリー持続時間と飛行時間
    一般的なドローンの飛行時間は20分〜40分程度です。長時間の連続監視を行うには、自動充電ポートの設置や複数機体によるローテーション運用が必要です。
  • 墜落や衝突のリスク
    機材トラブルや通信障害により、ドローンが墜落したり施設に衝突したりするリスクはゼロではありません。
  • ハッキングや通信妨害
    無線通信を使用するため、通信の乗っ取りや妨害(ジャミング)に対するセキュリティ対策が不可欠です。

広大な敷地や施設における活用シーン【事例】

ドローン警備が特に効果を発揮するのは、敷地が広大で警備員の巡回負担が大きい施設です。

  • 大規模工場・プラント
    敷地外周のフェンス点検や、夜間の不審者侵入監視に活用されています。サーマルカメラを使えば、配管からの熱漏れなどの設備異常も同時に点検可能です。
  • メガソーラー(大規模太陽光発電所)
    人里離れた場所に設置されることが多く、銅線盗難などの被害対策としてドローンによる定期巡回が導入されています。
  • 港湾施設・空港
    立ち入り制限区域が広く、テロ対策や密輸監視の観点から、高度な監視網の一部としてドローンが利用されています。

中小規模施設・イベントでの活用可能性と災害時・緊急時の役割

広大な施設だけでなく、特定の条件下では中小規模の施設やイベントでも活用が進んでいます。

例えば、屋外イベント会場での群衆整理や不審物の発見、建設現場における夜間の資材盗難防止などです。

また、災害時においては、ドローン警備システムが「情報収集ツール」として機能します。

地震や火災が発生した際、人が近づけない現場の状況を上空から確認し、避難経路の指示や救助活動の判断材料を提供することが可能です。このように、日常の防犯だけでなく、BCP(事業継続計画)の一環としても重要な役割を担います。

導入時は天候リスクやバッテリー時間を考慮した運用計画が必要です。

ドローン警備導入前に知るべきこと【法規制・費用・資格】

ドローンを業務で運用するためには、法律の遵守と適切な予算計画が必要です。ここでは、導入前に必ず押さえておくべき法的要件とコストについて解説します。

ドローン飛行に関する主要な法規制と許可・承認申請プロセス

ドローンの飛行は「航空法」によって厳格に規制されています。警備業務でドローンを飛ばす場合、以下のルールが特に関係します。

  • 飛行禁止空域
    空港周辺、人口集中地区(DID地区)、150m以上の上空などは原則飛行禁止です。
  • 飛行の方法
    夜間飛行、目視外飛行(モニターを見ながらの操縦)、人や物件から30m未満の距離での飛行などは、国土交通大臣の承認が必要です。

特に警備業務では「夜間」かつ「目視外(自律飛行)」での運用が想定されるため、事前に国土交通省への許可・承認申請が必須となります。

また、「小型無人機等飛行禁止法」により、国の重要施設や原子力事業所などの周辺での飛行も制限されています。

警備ドローン操縦に必要な資格と取得方法

2022年12月よりドローンの国家資格制度(無人航空機操縦者技能証明)が開始されました。

警備業務において、第三者の上空を飛行する「レベル4飛行」を行う場合は「一等無人航空機操縦士」の資格と機体認証が必要です。

敷地内であっても、立入管理措置を講じない場合や、より安全性を担保するためには、操縦者が適切な知識と技能を持っていることが求められます。

国家資格以外にも、JUIDAやDPAなどの民間資格が存在しますが、業務としての信頼性を確保するためには、国家資格の取得あるいは有資格者の配置を検討することが望ましいでしょう。

導入費用と運用コストの相場感|費用対効果(ROI)の考え方

ドローン警備の導入には、初期費用とランニングコストが発生します。

  • 初期費用
    機体本体(産業用ドローンは数十万〜数百万円)、ドローンポート(自動充電基地)、監視システム・ソフトウェア導入費、通信環境の整備費
  • ランニングコスト
    システム利用料・クラウドサーバー費、機体の保守・メンテナンス費、保険料、通信費、オペレーターの人件費(完全自動化でない場合)

費用対効果(ROI)を考える際は、単に「警備員1人分の人件費」と比較するのではなく、「監視密度の向上」や「事故リスクの低減」といった質的なメリットも含めて評価することが重要です。

一般的に、24時間365日の有人警備をドローンに置き換える、あるいは人と併用して警備員を減員する場合、長期的に見てコストメリットが出やすい傾向にあります。

導入費用を抑えるポイントと補助金・助成金の活用

導入コストを抑えるためには、最初からフルスペックのシステムを導入するのではなく、必要な機能に絞ってスモールスタートすることが有効です。

また、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用できる場合があります。

  • ものづくり補助金
    生産性向上に資する革新的なサービスの開発や設備投資を支援するもの。
  • IT導入補助金
    業務効率化のためのITツール導入を支援するもの。
  • 事業再構築補助金
    新分野展開や業態転換を支援するもの。

これらの制度は要件や公募時期が変動するため、導入検討のタイミングで最新情報を確認し、社労士や専門のコンサルタントに相談することをおすすめします。

警備業務での飛行には国土交通省への許可・承認申請が必須となります。

主要なドローン警備サービスを比較!セコムドローンは最適な選択肢か?

市場にはいくつかのドローン警備サービスが存在しますが、中でも知名度が高いのが「セコムドローン」です。ここではセコムのサービスを中心に、他社サービスとの比較や選定のポイントを解説します。

「セコムドローン」の主な機能・特徴と導入メリット

セコム株式会社が提供する「セコムドローン」は、民間防犯用として実用化された自律型飛行監視ロボットです。

  • 侵入者への自動対処
    敷地内に設置されたセンサーが侵入者を検知すると、ドローンが自動で発進(離陸)し、対象の場所へ急行します。
  • 追跡と撮影
    AIを活用して侵入者や車を自動で追跡し、顔やナンバープレートなどの特徴を鮮明に撮影してセコムのコントロールセンターへ送信します。
  • 威嚇効果
    上空からドローンが接近し、LEDライトを照射することで、侵入者に対して心理的なプレッシャーを与え、犯行を断念させる効果が期待できます。

最大のメリットは、セコムのセキュリティシステムと完全に連携している点です。

異常発生からドローンの出動、そして必要に応じた警備員の駆けつけまでがパッケージ化されており、運用管理の手間が少ないのが特徴です。

他社ドローン警備サービスとの比較ポイント(機能・費用・サポート・実績)

セコム以外にも、ブルーイノベーションやセンシンロボティクスなど、ドローンソリューションを提供する企業が警備向けシステムを展開しています。比較検討する際は以下のポイントを確認しましょう。

  • 機能の柔軟性
    セコムドローンは侵入検知に特化していますが、他社サービスでは定期巡回や設備点検など、多目的に使えるカスタマイズ性の高いシステムもあります。
  • 対応機体
    特定の専用機体を使用するのか、DJIなどの汎用機体を使用できるのかによって、コストやメンテナンス性が異なります。
  • 屋内・屋外対応
    GPSの入らない屋内倉庫での巡回を得意とするサービス(小型ドローンやSLAM技術活用)と、屋外の広域監視を得意とするサービスがあります。
  • サポート体制
    導入時の法申請代行や、万が一の故障時の代替機手配など、アフターサポートの充実度も重要です。

自社に最適なサービスを選定するためのチェックリスト

自社に合ったサービスを選ぶために、以下の項目をチェックリストとして活用してください。

  • 導入目的は明確か?(侵入者対策か、定期巡回による省人化か)
  • 監視対象エリアの環境は?(屋外か屋内か、障害物は多いか、夜間照明はあるか)
  • 既存の警備システムとの連携は必要か?
  • 運用スタッフのスキルは?(完全自律型が必要か、操縦者がいるか)
  • 予算規模は適切か?(初期費用と月額費用のバランス)

既存システムとの連携や運用体制に合わせてサービスを選定しましょう。

ドローン警備の導入ステップと運用上の注意点

実際にドローン警備を導入するまでの流れと、運用開始後に直面しやすい課題への対策を解説します。

PoC(概念実証)から本稼働までの具体的な導入プロセス

いきなり本稼働させるのではなく、段階を踏んで導入することが成功の鍵です。

  • 要件定義と事前調査
    解決したい課題を明確にし、飛行ルートや離発着場所の候補地を選定します。電波環境の調査もこの段階で行います。
  • PoC(概念実証)
    実際の現場でテスト飛行を行い、カメラの映像品質、センサーの検知精度、バッテリーの持ちなどを検証します。ここで運用上の問題点を洗い出します。
  • 法申請と環境整備
    国土交通省への飛行許可申請を行い、ドローンポートの設置や通信回線の工事を行います。
  • 運用ルールの策定と訓練
    操作マニュアルの作成、緊急時の連絡体制の構築、担当者への操作訓練を実施します。
  • 本稼働とPDCA
    運用を開始し、定期的に効果測定を行って運用方法を改善していきます。

運用で直面しやすい課題と具体的な解決策(天候・電波・バッテリーなど)

運用開始後によくある課題と解決策は以下の通りです。

  • 悪天候時の対応
    雨天や強風時はドローンが飛行できない場合があります。その際は、固定カメラや警備員による代替巡回を行う運用フローをあらかじめ決めておく必要があります。
  • 通信トラブル
    Wi-FiやLTE/5G回線が不安定になると制御不能になるリスクがあります。複数の通信キャリアを利用する冗長化や、通信断絶時に自動で帰還するフェイルセーフ機能の設定が必須です。
  • バッテリー管理
    寒冷地ではバッテリー性能が低下しやすいため、予備バッテリーの保温管理や、寒冷地仕様の機体選定が必要です。

プライバシー保護とデータセキュリティ対策ガイドライン

ドローン警備ではカメラ映像を扱うため、プライバシーへの配慮が欠かせません。

  • 撮影範囲の限定
    敷地外の住宅や通行人が映り込まないよう、カメラの角度や飛行ルートを調整し、必要に応じてマスキング処理(特定部分を黒塗りする機能)を行います。
  • 周知徹底
    「ドローンによる監視中」であることを示す看板を設置し、従業員や近隣住民へ周知します。
  • データ管理
    撮影データは暗号化して保存し、アクセス権限を厳格に管理することで、情報漏洩を防ぎます。

万一のインシデント発生時の対応とリスク管理

ドローンの墜落や接触事故が発生した場合に備え、以下の対策を講じておきます。

  • 賠償責任保険への加入
    対人・対物賠償に対応したドローン専用の保険に加入します。
  • 緊急連絡網の整備
    事故発生時の連絡先(警察、消防、国土交通省、保険会社など)をリスト化し、即座に対応できる体制を整えます。
  • ログの保全
    事故原因の究明に必要なフライトログ(飛行記録)を確実に保存・抽出できる仕組みを確認しておきます。

本稼働前にPoC(実証実験)を行い、課題を洗い出すことが成功の鍵です。

まとめ

ドローン警備は、人手不足の解消やセキュリティレベルの向上を実現する強力なソリューションです。

従来の警備手法ではカバーしきれなかった死角の監視や、危険エリアへの対応が可能となり、企業の資産と安全を守る上で大きな役割を果たします。

一方で、導入には航空法などの法規制への対応、天候や通信環境といった技術的な課題、そしてプライバシー保護への配慮など、クリアすべきハードルも存在します。

「セコムドローン」のようなパッケージ化されたサービスを選ぶか、自社の環境に合わせてカスタマイズしたシステムを構築するかは、導入目的と予算、運用体制によって異なります。

まずは自社の警備課題を明確にし、PoC(実証実験)を通じて実現可能性を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。テクノロジーを適切に活用し、未来の安心・安全な環境を築いていきましょう。

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