ドローンによる空撮は、私たちの視点を大きく広げ、日常の風景を特別な映像作品へと変えてくれます。
そのドローン市場において、世界的なシェアと信頼を誇るのが「DJI」です。
しかし、これからドローンを始めようとする方にとって、数あるモデルの中から自分に最適な一台を選び出すのは容易ではありません。
「どの機種が自分に合っているのか」「日本の法規制はどうなっているのか」「アプリの操作は難しくないか」といった疑問や不安を抱くことも多いでしょう。
本記事では、DJIドローンの基本知識から、目的別の選び方、特に注目される軽量モデルと法規制の関係、そして専用アプリ「DJI Fly」の具体的な使い方までを網羅的に解説します。
FlyMovie Techの理念である「誰もが安心してテクノロジーを使えるようにする」に基づき、初心者の方にも分かりやすく、かつ安全に運用するための正確な情報をお届けします。
DJIドローンとは?世界をリードするブランドの魅力と特徴
DJI(Da-Jiang Innovations)は、民生用ドローンおよび空撮テクノロジーにおいて世界をリードする企業です。
趣味の空撮からプロフェッショナルな映画制作、さらには農業や点検などの産業用途まで、幅広い分野でその製品が活用されています。
DJIが選ばれる理由:圧倒的なシェアと技術力
DJIが多くのユーザーに選ばれ続ける最大の理由は、高度な飛行安定性と映像品質を両立させる技術力にあります。
GPSや各種センサーを駆使した自律飛行技術により、初心者でも機体を安定してホバリングさせることが可能です。
また、カメラの揺れを補正するジンバル技術も非常に高性能で、映画のような滑らかな映像を誰でも撮影できる点が評価されています。
さらに、製品のラインナップが豊富で、エントリーモデルからハイエンドモデルまで、ユーザーのスキルや目的に応じた選択肢が用意されていることも、圧倒的なシェアを支える要因となっています。
DJIドローンの主要シリーズと位置づけ
DJIの一般向けドローンは、主に以下のシリーズに分類されます。それぞれの特徴を理解することで、自分に合ったモデルが見えてきます。
- Miniシリーズ:重量が軽く、携帯性に特化したエントリーモデル。初心者や旅行時の撮影に適しています。
- Airシリーズ:携帯性と飛行性能、カメラ性能のバランスが取れたミドルレンジモデル。より高品質な撮影を求めるユーザー向けです。
- Mavicシリーズ:プロフェッショナルな映像制作にも対応するフラッグシップモデル。大型センサーや望遠レンズを搭載し、最高峰の画質を提供します。
- Avataシリーズ:FPV(First Person View)ゴーグルを装着し、没入感のある飛行体験を楽しむためのモデル。
ドローン以外の製品(Osmo, Roninなど)との連携可能性
DJIはドローンだけでなく、ハンドヘルドカメラの「Osmo」シリーズや、カメラスタビライザーの「Ronin」シリーズも展開しています。
これらの製品は、ドローンと同じアプリや編集ソフトでデータを管理できたり、色味の調整(カラーグレーディング)において統一感を持たせやすかったりと、映像制作のエコシステムとして連携が可能です。
空からの映像(ドローン)と地上からの映像(Osmo/Ronin)を組み合わせることで、より表現力豊かな作品作りが可能になります。
DJI製品で機材を統一すると、編集時の色合わせやデータ管理が格段にスムーズになります。
【目的別】あなたに最適なDJIドローンの選び方と主要モデル比較
ドローンを選ぶ際は、スペックの数値だけでなく「どのようなシーンで使いたいか」を明確にすることが重要です。
ここでは目的別におすすめのモデルと選び方を解説します。
初心者向け:「とりあえず飛ばしてみたい」人におすすめのモデル
初めてドローンに触れる方には、操作が簡単で価格も比較的抑えられた「Miniシリーズ」が適しています。
特に最新のエントリーモデルは、障害物検知センサーや自動撮影機能が充実しており、操縦技術に不安がある方でも安心して飛ばすことができます。
まずはこのクラスで飛行の感覚を掴み、空撮の楽しさを体験することをおすすめします。
携帯性・手軽さ重視:「旅行やアウトドアで気軽に持ち運びたい」人におすすめ
登山やキャンプ、旅行などにドローンを持参したい場合、機体の軽さとコンパクトさが最優先事項となります。
折りたたむと手のひらサイズになるモデルであれば、カメラバッグの隙間やジャケットのポケットに入れて持ち運ぶことが可能です。
この用途でも「Miniシリーズ」や「Airシリーズ」が有力な選択肢となります。
特にAirシリーズは、コンパクトながら耐風性能が高く、山頂や海辺など風の影響を受けやすい場所でも安定した飛行が期待できます。
高度な空撮・映像制作向け:「本格的な作品を作りたい」人におすすめ
画質に妥協したくない、夜景をノイズなく撮影したい、あるいはズーム機能を活用して被写体に寄った映像を撮りたいという方には、「Mavicシリーズ」が推奨されます。
大型のイメージセンサー(4/3型CMOSなど)を搭載しているため、ダイナミックレンジが広く、色彩豊かな映像を記録できます。
また、Log撮影などのプロ向け機能に対応しているモデルを選べば、編集時の自由度も格段に向上します。
FPVドローン:没入感のある飛行体験を求める人におすすめ
「鳥のように空を飛びたい」という感覚を重視するなら、FPVドローンが最適です。
専用のゴーグルを装着して操縦することで、機体に乗っているかのような視点で飛行できます。
DJIのFPVモデルは、従来の自作FPVドローンとは異なり、緊急ブレーキ機能やホバリング機能が搭載されているため、比較的安全にアクロバティックな飛行を楽しむことができます。
まずはMiniシリーズで基本操作を覚え、目的に応じて上位機種へステップアップするのが王道です。
100g以下ドローンに注目!DJI Miniシリーズの魅力と法規制
「ドローンを飛ばすなら100g以下が良い」という話を耳にすることがあるかもしれません。
ここでは、軽量ドローンのメリットと、DJI Miniシリーズにおける法的な位置づけについて正確に解説します。
100g以下ドローンが人気の理由とメリット
一般的に「100g未満」のドローンは、航空法上の「模型航空機」に分類されます。
これにより、空港周辺や一定の高度以上などの制限を除き、一般的な「無人航空機(100g以上)」に適用される厳しい飛行ルールの多くが免除されるメリットがあります。
そのため、手軽に飛ばせるトイドローンとして人気があります。
100g以下でも注意すべき日本のドローン規制
ここで重要な注意点があります。
日本の航空法では、2022年6月20日より、無人航空機の登録義務化対象が「200g以上」から「100g以上」に引き下げられました。
これにより、かつて「模型航空機」として扱われていた重量帯のドローンも、現在は「無人航空機」として扱われるケースが増えています。
100g未満の機体であっても、小型無人機等飛行禁止法や自治体の条例、民法(土地の所有権)などのルールは適用されるため、「どこでも自由に飛ばせる」わけではないことを理解しておく必要があります。
DJI Miniシリーズ主要モデルの比較と選び方
DJIの「Miniシリーズ」は非常に軽量でコンパクトですが、現行の主要モデル(Mini 2、Mini 3、Mini 4 Proなど)は、バッテリーを含めると100gを超えます。
一般的に約249g未満であり、日本向け軽量バッテリーを使用しても100gを超える場合が大半です。
したがって、DJI Miniシリーズは日本の航空法上「無人航空機」に分類され、国土交通省への機体登録や、特定飛行を行う場合の許可・承認申請が必要です。
しかし、Miniシリーズは「航空法の対象外」ではなくとも、「持ち運びやすさ」や「249g未満であることによる海外での規制緩和(国による)」といったメリットは依然として強力です。
100g以下ドローン購入前に確認すべきポイント
もし、どうしても航空法の規制対象外となる「100g未満」の機体を探している場合は、DJIブランドの主要ラインナップではなく、Ryze Tech製の「Tello」(DJIのフライトテクノロジーを搭載)などのトイドローンを検討する必要があります。
購入前には必ずメーカー公表の「重量(バッテリー含む)」を確認し、それが100g未満であるか、100g以上(無人航空機)であるかをチェックしてください。
Miniシリーズは「100g以上」のため、機体登録が必須であることを忘れないようにしましょう。
DJI Flyアプリ徹底攻略!使い方から空撮テクニックまで
DJIの多くのコンシューマー向けドローンは、専用アプリ「DJI Fly」を使用して操縦や設定を行います。
直感的なインターフェースが特徴ですが、機能を使いこなすことで撮影の幅が広がります。
DJI Flyアプリとは?主要機能とインストール方法
DJI Flyは、機体の操縦、カメラ映像の確認、撮影設定の変更、撮影データの編集・共有までを一元管理できるアプリです。
スマートフォンやタブレットにインストールして使用します。iOS端末はApp Storeから、Android端末はDJI公式サイトからAPKファイルをダウンロードしてインストールするのが一般的です。
基本操作をマスター!初期設定と飛行準備
アプリを起動し、機体と送信機の電源を入れると、接続ガイドが表示されます。初回はアクティベーション(利用開始設定)が必要です。
飛行前には必ず以下の手順を確認します。
- コンパスキャリブレーション:機体が方位を正しく認識するために行います。アプリの指示に従い、機体を水平・垂直に回転させます。
- IMUキャリブレーション:機体の水平維持に必要なセンサーの調整です。
- ホームポイントの更新:万が一の際に自動帰還する場所(離陸地点)が正しく地図上に記録されているか確認します。
スマートな空撮を実現!インテリジェントフライトモードの活用術
DJI Flyには、プロのようなカメラワークを自動で行う機能が搭載されています。
- クイックショット:被写体を中心に旋回したり、上昇しながら離れたりする映像をワンタップで撮影できます(ドローニー、ロケット、サークルなど)。
- マスターショット:複数のパターンを組み合わせて自動撮影し、短編動画として編集まで行ってくれる機能です。
- アクティブトラック:指定した被写体(人や車など)を自動で追尾し続ける機能です。
これらを活用することで、操縦に集中しすぎることなく、構図の整った映像を撮影できます。
万が一の時に役立つトラブルシューティングとQ&A
飛行中に「映像伝送が途切れた」「バッテリー残量が低下した」などの警告が出た場合は、慌てずにRTH(リターントゥホーム)ボタンを押して自動帰還させましょう。
また、アプリ画面には風の強さやGPS信号の強度が常に表示されています。警告が出る前に、これらの数値を見て早めに帰還させる判断が重要です。
離陸前に必ず「ホームポイント」が正しく更新されているか地図上で確認してください。
DJIドローンを安全に楽しむための基礎知識と注意点
ドローンは便利なツールですが、使い方を誤ると事故やトラブルにつながる可能性があります。安全に楽しむための基礎知識を押さえておきましょう。
ドローン飛行の前に知っておくべき日本国内の法規制
100g以上のドローン(DJI Miniシリーズ含む)を屋外で飛ばす場合、航空法が適用されます。主なルールは以下の通りです。
- 機体登録制度:国土交通省への機体登録と、登録記号の機体への表示、リモートID機能の搭載が義務付けられています。
- 飛行禁止空域:空港周辺、150m以上の上空、人口集中地区(DID)の上空などは、原則として許可なく飛行できません。
- 飛行の方法:日中(日の出から日没まで)に飛行させる、目視範囲内で飛行させる、人や物件から30m以上の距離を保つなどのルールがあります。
これらのルールから外れる飛行(特定飛行)を行う場合は、事前に国土交通省への許可・承認申請が必要です。
初めての飛行で注意すべきポイントと安全対策
初めて飛行させる際は、周囲に人がおらず、障害物のない広い場所を選びましょう。
風速5m/s以上の風が吹いている場合は飛行を控えるのが無難です。
また、プロペラガードを装着することで、万が一の衝突時に人や物への被害を軽減し、機体も保護することができます。
ドローン保険の重要性と選び方
どれほど注意していても、突風や機材トラブルによる墜落リスクはゼロではありません。
対人・対物賠償に対応した「ドローン保険(賠償責任保険)」への加入を強く推奨します。
個人利用であれば、ラジコン保険や自動車保険の特約などでカバーできる場合もありますが、業務利用の場合は専用の保険が必要です。
DJI Care Refreshの利用メリットと加入検討
「DJI Care Refresh」は、DJI公式が提供する機体保証プランです。
加入しておくと、操縦ミスによる衝突や水没、飛び去り(紛失)などの際に、少額の追加料金でリフレッシュ品(新品同等品)と交換してもらえます。
特に初心者のうちは破損のリスクが高いため、購入と同時に加入しておくと精神的な安心感が大きく異なります。
万が一の事故に備え、賠償責任保険への加入はマナーであり義務と考えましょう。
まとめ
DJIドローンは、初心者からプロフェッショナルまで、あらゆるユーザーの創造性を刺激する素晴らしいツールです。
自分に合ったモデルを選び、正しい知識を持って運用することで、これまで見たことのない景色を記録に残すことができます。
DJIドローン選びのポイント再確認
- 初心者・手軽さ重視:Miniシリーズ(軽量・コンパクト)
- 画質・性能バランス重視:Airシリーズ(中型・高性能)
- 最高画質・プロ用途:Mavicシリーズ(大型センサー・多機能)
- 飛行体験重視:Avataシリーズ(FPV・没入感)
安全な飛行のための最終チェックリスト
- 機体登録とリモートIDの設定は完了しているか?
- 飛行場所は禁止空域(人口集中地区など)ではないか?
- バッテリーは十分に充電されているか?
- 周囲の安全確認と天候(風・雨)のチェックは行ったか?
- 万が一に備え、保険や保証プランに加入しているか?
よくある質問(FAQ)
Q. DJI Miniシリーズなら免許や申請は不要ですか?
A. いいえ。現行のMiniシリーズは100gを超えるため「無人航空機」に分類され、機体登録が必須です。また、人口集中地区での飛行など、特定飛行を行う場合は許可・承認申請が必要です。
Q. DJI Flyアプリはどのスマホでも使えますか?
A. 公式サイトに対応端末リストが掲載されています。比較的新しいiPhoneやAndroid端末であれば多くが対応していますが、古い機種や一部の廉価版モデルでは動作しない場合があるため、事前に確認することをおすすめします。
Q. 雨の日でも飛ばせますか?
A. 産業用の一部モデルを除き、一般的なDJIドローンは防水仕様ではありません。故障の原因となるため、雨天時の飛行は避けてください。
安全ルールを守り、あなたに最適なDJIドローンで、空の世界への第一歩を踏み出しましょう。


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