「Tello」というキーワードで情報を検索した際、ドローンに関する情報と、海外の携帯電話サービスに関する情報が混在しており、どちらが求めている情報なのか戸惑った経験はないでしょうか。
本記事では、Ryze Technology社が開発し、ドローン最大手DJIの技術提供を受けているトイドローン「Tello」について詳しく解説します。
Telloは、約80gという軽量なボディに高性能なフライト制御技術を搭載しており、初心者でも手軽に安定した空撮や操縦を楽しめる製品です。
また、単なるラジコンにとどまらず、プログラミング学習用教材としての側面も持ち合わせています。
本記事では、Telloの基本性能からAndroidアプリを使用した具体的な操作方法、教育向けモデル「Tello EDU」の特徴までを網羅的に整理しました。
これからドローンを始めたいと考えている方や、Telloの具体的な活用方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
「Tello」はドローン?それとも携帯サービス?本記事が解説する「DJI Tello」とは
インターネット上で「Tello」と検索すると、全く異なるジャンルの情報が表示されることがあります。
ここでは、その背景と本記事で扱う「DJI Tello(トイドローン)」の基本情報について整理します。
なぜ「Tello」で検索すると異なる情報が出るのか?
検索結果に異なる情報が混在する主な理由は、「Tello」という名称が複数のサービスで使用されているためです。
特に有名なのが、アメリカのMVNO(仮想移動体通信事業者)である「Tello Mobile」です。これは携帯電話サービスであり、ドローンとは一切関係がありません。
日本国内のユーザーが「Tello」と検索する場合、多くは小型ドローンを意図していると考えられます。
本記事では、携帯電話サービスではなく、空を飛ぶガジェットである「Tello」に焦点を当てて解説を行います。
DJI Telloドローンとは?初心者におすすめの入門機
「Tello」は、手頃な価格と高性能を両立させたトイドローン(ホビー用ドローン)です。
本格的な空撮ドローンを購入する前の練習機として、あるいは子供から大人まで楽しめるガジェットとして高い人気を誇ります。
一般的なトイドローンは操作が難しく、安定して飛ばすのに技術を要する場合が多いですが、Telloは高度な姿勢制御システムを搭載しています。
そのため、コントローラー(スマートフォン)から手を離してもその場でホバリング(空中停止)し続けることが可能です。
この圧倒的な安定性が、初心者におすすめされる最大の理由です。
TelloはRyze Technology製!DJIとの関係性も解説
一般的に「DJI Tello」と呼ばれていますが、正確な製造元は「Ryze Technology(ライズ テクノロジー)」という企業です。
ではなぜDJIの名前が冠されることが多いのでしょうか。それは、Telloの開発において以下の2社が技術パートナーとして深く関わっているからです。
- DJI:ドローン業界最大手。Telloのフライトコントローラー(飛行制御システム)技術を提供し、安定した飛行を実現しています。
- Intel:半導体メーカー大手。高性能なプロセッサを提供し、画像処理や制御の演算を支えています。
つまりTelloは、Ryze Technologyの製品でありながら、DJIとIntelという業界トップクラスの技術が詰め込まれたドローンなのです。
TelloはRyze Technology製ですが、中身はDJIの飛行技術とIntelの処理能力で作られた高性能機です。
DJI Telloドローンの特徴とできること:初心者でも楽しめる魅力
Telloが多くのユーザーに支持される具体的な理由と、その機能について詳しく見ていきます。
手のひらサイズで軽量!誰でも気軽に飛ばせる
Telloの機体重量は約80g(バッテリーとプロペラを含む)です。
日本の航空法において、機体重量100g以上のドローンは無人航空機として登録義務や飛行ルールの対象となりますが、Telloはその基準を下回るため「模型航空機」に分類されます。
これにより、航空法上の無人航空機登録制度の対象外となり、比較的手軽に扱うことができます。
ただし、小型無人機等飛行禁止法や各自治体の条例、公園の利用ルール、プライバシーへの配慮などは遵守する必要があります。
ポケットに入るサイズ感で持ち運びやすく、屋内でも安全に楽しめる点が大きな魅力です。
スマホアプリで簡単操作!安定したフライト性能
Telloには専用の送信機(プロポ)が付属しておらず、基本的にはスマートフォンのアプリを使用して操縦します。
画面上に表示されるバーチャルスティックを指で操作するだけで、離陸・着陸・移動が可能です。
また、DJIのフライト技術により、以下のような機能が実現されています。
- Throw & Go:機体を手のひらからトスすると、自動的にモーターが起動しその場でホバリングを開始します。
- ビジョンポジショニングシステム:機体底部のセンサーが地面を認識し、GPSが入らない屋内でも正確な位置を維持します。
空撮も可能!高画質写真・動画撮影機能
Telloは小型ながらカメラを搭載しており、空撮を楽しむことができます。
- 静止画:500万画素(5MP)
- 動画:HD 720p(30fps)
- 電子式映像ブレ補正(EIS):揺れを抑えた滑らかな映像を撮影可能
撮影したデータは機体ではなく、Wi-Fi経由で接続したスマートフォンに直接保存される仕組みです。
そのため、撮影後すぐにSNSへシェアすることができます。
知っておきたいメリット・デメリット
購入を検討する際は、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。
メリット
- 価格が安く、導入ハードルが低い。
- 非常に安定しており、初心者でも墜落のリスクが低い。
- プログラミング学習にも活用できる。
デメリット
- 機体が軽いため、風のある屋外での飛行には向かない。
- 通信距離が最大100m程度(環境による)と短めである。
- SDカードスロットがなく、画質は通信状況に依存する場合がある。
機体が非常に軽いため、屋外で飛ばす際は風に注意し、基本的には無風状態や屋内での使用を推奨します。
DJI Telloを飛ばす!Androidアプリでの操作方法とコツ
Telloを操作するためには、スマートフォンに専用アプリをインストールする必要があります。
ここではAndroid端末を使用する場合の手順と操作のコツを解説します。
「Telloアプリ」のダウンロードから初期設定まで(Android版)
Telloを操作するための公式アプリは「Tello」という名称です。
- アプリの入手:Google Playストア、またはRyze Technology公式サイトからアプリをダウンロードし、インストールします。
- 機体の電源オン:Tello本体側面の電源ボタンを押します。
- Wi-Fi接続:スマートフォンのWi-Fi設定画面を開き、「TELLO-XXXXXX」という名称のネットワークを選択して接続します。
- アプリ起動:アプリを立ち上げると、機体のカメラ映像が画面に表示されれば接続完了です。
※Androidのバージョンや機種によっては、機内モードにしてからWi-Fiをオンにするなどの工夫が必要な場合があります。
初心者向け!基本的なフライト操作と撮影のコツ
アプリ画面には、左右に円形の操作パッド(バーチャルスティック)が表示されます。一般的な「モード2」の設定では以下の操作になります。
- 左スティック:上下で上昇・下降、左右で機体の旋回。
- 右スティック:上下で前進・後退、左右で左右移動。
撮影のコツは、スティックを急に倒さず、ゆっくりと動かすことです。急激な操作は映像のブレにつながります。
また、画面上のカメラボタンまたは録画ボタンをタップすることで、静止画と動画の撮影を切り替えられます。
アプリでできるその他の機能と楽しみ方
Telloアプリには「EZショット(イージーショット)」と呼ばれる自動撮影モードが搭載されています。
これらを使うと、プロのような動きを自動で行えます。
- 8D Flips:画面上でスワイプした方向に機体が宙返りします。
- Up & Away:後ろに下がりながら上昇し、ショートビデオを撮影します。
- 360:その場で360度回転しながら周囲を撮影します。
- Circle:被写体の周りを円を描くように旋回して撮影します。
安全な飛行のための事前準備と注意点
安全に楽しむために、飛行前には以下の点を確認してください。
- プロペラガードの装着:同梱されているプロペラガードを必ず装着し、衝突時の破損や怪我を防ぎます。
- バッテリーの充電:飛行時間は最大約13分です。十分に充電されたバッテリーを使用してください。
- 場所の選定:風のない屋内、または無風状態の広い屋外を選びます。人混みや車の通る場所は避けてください。
Android端末で接続がうまくいかない場合は、一度「機内モード」にしてからWi-Fi接続を試すと改善することがあります。
「Tello EDU」で広がるプログラミング学習の世界
Telloには通常版のほかに、教育用途に特化した「Tello EDU」というモデルが存在します。
ここではその特徴とプログラミング学習への活用について解説します。
Tello EDUとは?通常版との違いと教育的価値
「Tello EDU」は、プログラミング教育のために機能が拡張されたモデルです。
外観は通常版が白ベースであるのに対し、Tello EDUは半透明のブラックカバーが特徴です。主な違いは以下の通りです。
- SDK 2.0対応:より高度なコマンド送信が可能になり、PythonやSwiftなど本格的な言語に対応しています。
- 編隊飛行(スワーム):1つのデバイスで複数のTello EDUを同時に制御し、編隊飛行させることができます。
- ミッションパッド対応:付属のミッションパッドをカメラで認識し、それを基準点として正確な移動やアクションを行うことができます。
ScratchやPythonでTelloをプログラミングする方法
TelloおよびTello EDUは、子供向けのビジュアルプログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」に対応しています。
画面上でブロックを組み合わせるだけで、「離陸する」「前に進む」「宙返りする」といった指示をドローンに与えることができます。
さらにステップアップしたい場合は、Pythonなどのテキストコーディング言語を使用して制御することも可能です。
これにより、画像認識を取り入れたプログラムや、複雑な飛行ルートの自動制御など、本格的なロボティクス開発の基礎を学ぶことができます。
Tello EDUを活用した教育現場での事例と可能性
教育現場では、Tello EDUがSTEM教育(科学・技術・工学・数学)の教材として導入されています。
- 論理的思考の育成:意図した通りにドローンを動かすために、順序立てて命令を考える訓練になります。
- 問題解決能力:プログラムがうまく動かない場合、どこに原因があるかを探求し修正するプロセスを体験できます。
- 空間認識能力:3次元空間を移動するドローンの動きを想像し、制御することで空間把握能力が養われます。
本格的にプログラミングを学びたいなら、SDK 2.0や編隊飛行に対応した「Tello EDU」を選ぶのがおすすめです。
DJI Telloの購入ガイド:価格・おすすめポイント・よくある質問
Telloに興味を持った方に向けて、購入時に役立つ情報をまとめました。
DJI Telloの価格と主な購入場所
Telloは、DJI公式オンラインストア、家電量販店、Amazonや楽天などのECサイトで購入可能です。
価格は販売店や時期によって変動しますが、通常版であれば1万円台前半で購入できることが多く、コストパフォーマンスに優れています。
Tello EDUは機能が拡張されている分、通常版よりも価格が高めに設定されています。
購入前に確認!同梱物と必要なアクセサリー
標準パッケージには以下のものが含まれています。
- Tello機体
- プロペラ(予備含む)
- プロペラガード
- バッテリー
- プロペラ取り外しツール
推奨アクセサリー
より快適に遊ぶために、以下のアイテムを追加購入することをおすすめします。
- 予備バッテリー:1本の飛行時間は約13分のため、複数本あると長く遊べます。
- 充電ハブ:複数のバッテリーを順番に充電できるため効率的です。
- Bluetoothコントローラー:スマホ画面での操作が難しい場合、ゲームパッドのような物理コントローラー(GameSir T1dなど)を使用すると操作性が向上します。
他のトイドローンと比較!Telloを選ぶべき人とは
市場には多くのトイドローンがありますが、以下のような方にはTelloが最適です。
- 初めてドローンに触れる方:圧倒的な安定性で挫折しにくいです。
- 安全に室内で練習したい方:軽量でプロペラガードがあり、センサーによる位置維持が優秀です。
- プログラミングも学びたい方:飛ばすだけでなく、知育玩具としても長く使えます。
逆に、屋外で遠くまで飛ばしたい、4K画質の本格的な空撮がしたいという場合は、DJI Miniシリーズなど上位機種の検討をおすすめします。
飛行時間は約13分と短いため、予備バッテリーと充電ハブの同時購入が必須レベルで便利です。
まとめ
DJIの技術が搭載されたトイドローン「Tello」は、単なるおもちゃの枠を超えた高性能なガジェットです。
約80gという軽量ボディでありながら、驚くほど安定した飛行が可能で、スマートフォンアプリを通じて誰でも簡単に操作できます。
また、空撮を楽しむだけでなく、Tello EDUなどを通じてプログラミング学習の入り口としても活用できる点が大きな魅力です。
ドローンに興味があるけれど、高価な機体には手が出しにくい、あるいは操作できるか不安だという方にとって、Telloは最適な選択肢と言えるでしょう。
ぜひこの機会に、Telloで新しいテクノロジー体験を始めてみてはいかがでしょうか。


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