埼玉県内でドローンを飛行させたいと考えたとき、最初に直面するのが「どこで飛ばせるのか」「どのような許可が必要なのか」という疑問です。
都心に近い埼玉県は人口集中地区（DID）が多く、航空法や関連法規による規制が複雑に関係しています。
また、鴻巣花火大会のような大規模イベントでの空撮に興味を持つ方もいますが、そこには厳格なルールが存在します。
本記事では、埼玉県でドローンを安全かつ合法的に楽しむために必要な法律・規制の基礎知識から、具体的な許可申請の手順、飛行場所の探し方までを網羅的に解説します。
初心者の方でも安心してテクノロジーを活用できるよう、事実に基づいて情報を整理しました。
埼玉でドローンを飛ばす前に知るべき基本ルール
ドローンを飛行させる際には、国の法律や地域の規制を遵守する必要があります。
まずは、すべてのドローンユーザーが理解しておくべき基本的な法的枠組みについて解説します。
ドローン飛行に関する法律は大きく2つある
ドローンの飛行を規制する法律は、主に「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」の2つです。
航空法は、国土交通省が管轄する法律で、ドローンの飛行禁止空域や飛行方法のルールを定めています。
特に100g以上の機体が対象となり、空港周辺や人口集中地区、150m以上の上空などでの飛行を原則禁止しています。
一方、小型無人機等飛行禁止法は警察庁が管轄し、国の重要施設や原子力事業所などの周辺地域での飛行を禁止するものです。
この法律は、機体の重量に関わらず、100g未満のトイドローンを含むすべての小型無人機等が対象となるため注意が必要です。
義務化された「ドローン登録制度」の概要と手続き
令和4年（2022年）6月20日より、100g以上の無人航空機（ドローン）に対する登録制度が義務化されました。
この制度により、登録されていない機体を屋外で飛行させることは法律で禁止されています。
所有者は、国土交通省の「ドローン登録システム」を通じて機体情報や所有者情報を登録し、発行された登録記号を機体に表示する必要があります。
また、リモートID機能の搭載も原則として義務付けられています。これからドローンを購入・飛行させる場合は、飛行前に必ず登録手続きを完了させなければなりません。
屋外で飛ばすなら、購入後すぐに機体登録とリモートIDの設定を済ませましょう。
法律に違反した場合の罰則を知っておこう
ルールを無視してドローンを飛行させた場合、厳しい罰則が科される可能性があります。
- 航空法違反：国土交通大臣の許可が必要な空域で無許可飛行を行った場合などには、50万円以下の罰金が科される場合があります。
- 登録義務違反：機体登録を行わずに飛行させた場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります。
これらの罰則は、事故を起こさなくても適用されるため、法令遵守は必須です。
埼玉でドローンを飛ばせる？主な規制と禁止区域を解説
埼玉県は住宅地や重要施設が多く、自由に飛ばせる場所は限られています。
具体的にどのような場所が規制対象となっているのかを解説します。
航空法で定められた「飛行禁止空域」とは
航空法では、安全確保のために以下の空域での飛行を原則禁止しています。
これらの場所で飛行させるには、国土交通大臣の許可が必要です。
- 空港等の周辺空域：航空機の離発着に影響を与える恐れがあるため禁止されています。
- 地表・水面から150m以上の高さの空域：有人航空機の飛行空域と重なるため制限されます。
- 人口集中地区（DID）の上空：国勢調査の結果に基づき設定された、人家が密集している地域です。
埼玉県の主要な市街地は人口集中地区（DID）に該当するケースが多く見られます。
小型無人機等飛行禁止法による「重要施設周辺」の規制
小型無人機等飛行禁止法に基づき、国会議事堂や首相官邸、原子力事業所、外国公館、防衛関係施設などの「対象施設」およびその周囲おおむね300メートルの地域の上空は飛行禁止区域に指定されています。
埼玉県内にも対象となる施設が存在する可能性があります。
この規制は重量に関わらず適用されるため、たとえ小型のトイドローンであっても、対象エリア内では飛行させることができません。
違反した場合は警察官による機器の退去命令や、罰則の対象となります。
埼玉県内の独自条例・規制は？
国の法律に加え、自治体が独自に条例でドローン飛行を規制している場合があります。
例えば、埼玉県内の一部の市町村（例：志木市など）では、都市公園や運動場内でのドローン飛行を原則禁止とする条例を設けています。
ただし、教育委員会や市長の許可を得た場合に限り例外的に認められるケースもあります。
公園や河川敷であっても、「条例で禁止されていないか」「管理者が飛行を認めているか」を事前に確認することが重要です。
公園や河川敷で飛ばす際は、必ず現地の看板や自治体の条例を確認しましょう。
埼玉でドローンを安全に飛ばすための許可申請と具体的な手順
規制対象の空域で飛行させる場合や、特定の飛行方法を行う場合には、事前に国土交通省への許可・承認申請が必要です。
ドローンの飛行許可・承認が必要なケース
航空法で定められた「飛行禁止空域」以外でも、以下の飛行方法を行う場合は承認が必要です。
- 夜間飛行：日没から日の出までの間の飛行
- 目視外飛行：モニターを見ながらの操縦など、直接肉眼で機体を見ずに飛行させること
- 人や物件から30m未満の距離での飛行：第三者や建物などに接近する飛行
- 催し場所（イベント）上空での飛行：多数の人が集まるイベントの上空飛行
これらの飛行を行う際は、安全対策を講じた上で申請を行う必要があります。
飛行許可申請の具体的な流れと必要書類
申請手続きは、国土交通省が運営するオンラインシステム「DIPS（ドローン情報基盤システム）」を利用するのが一般的です。
- アカウント作成：DIPSで申請者IDを取得します。
- 機体・操縦者情報の登録：使用するドローンと操縦者の技能情報を登録します。
- 申請書の作成：飛行目的、日時、経路、安全対策などを入力します。
- 審査・許可書発行：提出後、審査が行われ、問題がなければ電子許可書が発行されます。
申請には、機体の仕様書や操縦者の飛行経歴、飛行マニュアルなどの情報が必要です。
申請をスムーズに進めるためのポイント
申請には一定の審査期間が必要です。
飛行予定日の少なくとも10開庁日前（土日祝を除く）までには申請を提出する必要がありますが、修正が入る可能性を考慮し、3〜4週間程度の余裕を持つことが推奨されます。
また、年間を通じて同じ内容で飛行させる場合は「包括申請」を利用することで、都度の申請手間を省くことが可能です。
ただし、イベント上空飛行など特定のケースは個別申請が必須となるため、申請区分を正しく理解しておくことが大切です。
審査には時間がかかるため、飛行予定日の1ヶ月前には準備を始めましょう。
埼玉でドローンを飛ばせる場所はどこ？初心者におすすめのスポット紹介
法規制が厳しい中で、実際にどこで飛ばせばよいのでしょうか。安全に飛行できる場所の探し方と選択肢を紹介します。
事前に確認！ドローン飛行可能な場所を見つける方法
まず、飛行予定地が「人口集中地区（DID）」や「飛行禁止空域」に該当しないかを確認します。
国土地理院の地図や、ドローン専用のフライトマップアプリを活用すると便利です。
規制エリア外であっても、土地の所有者や管理者の許可が必要です。
河川敷であれば河川事務所、公園であれば自治体の公園管理課などに問い合わせ、ドローン飛行が可能か、手続きが必要かを確認してください。
埼玉県のドローン練習場・飛行場情報
初心者にとって最も安心なのは、管理された「ドローン練習場」や「ドローンフィールド」を利用することです。
これらの施設は、航空法の許可申請が不要なエリアに設置されていたり、管理者側で必要な調整が済んでいたりする場合が多く、安全に練習に集中できます。
埼玉県内には民間のドローン練習場が点在しています。インターネットで「埼玉 ドローン練習場」と検索し、利用規約や料金、予約方法を確認して利用することをおすすめします。
屋内施設なら許可不要で楽しめる
屋外での飛行が難しい場合、屋内施設（インドアフィールド）を利用するのも一つの手です。
四方を壁や天井で囲まれた屋内は、航空法の規制対象外となります。
そのため、人口集中地区内であっても、また夜間であっても、航空法の許可申請なしで飛行させることが可能です（施設の利用ルールは遵守する必要があります）。
天候に左右されず練習できるため、初心者には特におすすめの環境です。
屋内施設なら航空法の許可申請が不要で、天候も気にせず練習できます。
鴻巣花火大会でドローンは飛ばせる？イベント時の規制と注意点
埼玉県鴻巣市で開催される「鴻巣花火大会」は多くの人で賑わいますが、このようなイベントでのドローン使用には厳しい制限があります。
鴻巣花火大会でのドローン飛行は原則禁止
結論から述べると、鴻巣花火大会のような大規模イベントの会場およびその周辺でのドローン飛行は、原則として禁止されています。
航空法において「催し場所（多数の人が集まるイベント）の上空」での飛行は禁止されており、これを行うには国土交通大臣の承認が必要です。
しかし、安全確保の観点から、不特定多数の人が集まる花火大会での飛行承認を得ることは極めてハードルが高く、一般の個人が許可を得て飛ばすことは事実上困難です。
なぜイベント上空での飛行が禁止されるのか
イベント上空での飛行が厳しく規制される主な理由は「安全確保」です。
万が一、機体が故障や操作ミスで落下した場合、多数の観客に重大な危害を及ぼす恐れがあります。
また、花火の打ち上げ空域とドローンの飛行空域が重なることによる事故のリスクや、プライバシー保護の観点からも、主催者側が独自に飛行禁止をアナウンスしているケースがほとんどです。
空撮したい場合の代替手段と倫理
花火大会の様子を記録したい場合は、ドローンではなく地上からの撮影を行いましょう。
三脚を使用してカメラで撮影するなど、周囲の観客に迷惑をかけない方法で楽しむのがマナーです。
どうしても業務等で空撮が必要な場合は、主催者および関係各所と綿密な協議を行い、厳格な安全対策を講じた上で法的な承認を得る必要がありますが、これはプロフェッショナルな運用に限られます。
花火大会での無許可ドローン飛行は大変危険であり、法律違反となります。
埼玉でのドローン飛行Q&A｜よくある疑問とトラブル対策
最後に、埼玉でドローンを飛ばす際によくある疑問やトラブルへの対策をまとめました。
申請にはどのくらい時間がかかりますか？
DIPSでの申請から許可が下りるまでは、通常10開庁日（約2週間）程度が目安とされています。
しかし、申請内容に不備があった場合の修正期間や、申請が混み合う時期を考慮すると、飛行予定日の3〜4週間前には申請手続きを開始するのが安全です。
ドローンを紛失・墜落させてしまったら？
万が一、ドローンを紛失したり、制御不能で墜落させてしまったりした場合は、直ちに飛行を中止し、周囲の安全を確認してください。
他人の土地や物件に落下した場合は、速やかに所有者や管理者へ連絡し、謝罪と回収の相談を行います。
また、人身事故や物損事故が発生した場合は、警察への通報および国土交通省への事故報告が義務付けられています。
地域住民とのトラブルを避けるために
法的に問題がない場所であっても、騒音やプライバシー侵害を懸念する近隣住民とトラブルになるケースがあります。
- 早朝や深夜の飛行を避ける
- 住宅の近くでは飛ばさない
- カメラで人家を覗き込むような飛行をしない
これらを守り、周囲への配慮を忘れないことが、長くドローンを楽しむための秘訣です。
ドローンの保険は必要？
ドローン飛行には常に墜落や衝突のリスクが伴います。
対人・対物賠償責任保険（ドローン保険）への加入は法律上の義務ではありませんが、万が一の高額な賠償リスクに備えて加入することを強く推奨します。
多くの民間保険会社がドローン専用の保険プランを提供しています。
万が一の事故に備え、ドローン保険には必ず加入しておきましょう。
まとめ
埼玉県でドローンを飛ばすためには、航空法や小型無人機等飛行禁止法といった法律の理解が不可欠です。
特に人口集中地区が多い埼玉では、飛行可能な場所が限られるため、事前のリサーチと適切な許可申請が重要になります。
- 基本ルール：航空法と小型無人機等飛行禁止法を遵守し、機体登録を必ず行う。
- 場所選び：DID地区や重要施設周辺を避け、必要に応じて練習場や屋内施設を利用する。
- イベント：鴻巣花火大会などのイベント上空は原則飛行禁止。
- 安全対策：許可申請は余裕を持って行い、保険加入やマナー遵守を徹底する。
これらのルールを守り、安全に配慮することで、テクノロジーの恩恵を最大限に活かしたドローンライフを楽しんでください。
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