ドローンの活用が空撮、点検、測量、物流といった幅広い分野で進む中、「ドローンの資格を取得したいが、費用がいくらかかるのか分からない」「高い費用を払って取得する価値はあるのか」と悩む方は少なくありません。
ドローンの資格には大きく分けて「国家資格」と「民間資格」があり、どちらを選ぶか、また現在の経験値によって費用は数万円から100万円以上まで大きく変動します。
また、資格取得は単なる費用の支出ではなく、将来的な「求人」や「キャリア」につながる投資でもあります。
本記事では、ドローン資格取得にかかる費用の相場と内訳を、国家資格・民間資格それぞれについて詳しく解説します。さらに、資格が実際の仕事や求人にどう結びつくのか、費用対効果の視点からも情報を整理しました。
自身の目的に合った最適な資格を選び、無駄のないキャリア形成の一歩を踏み出しましょう。
ドローン資格の費用は「目的」で大きく変わる!費用相場と内訳
ドローンの資格取得にかかる費用は一律ではありません。「どの資格を取るか(国家か民間か)」「現在の操縦経験はどのくらいか(初学者か経験者か)」によって金額が大きく異なります。
まずは全体的な相場観と、費用の内訳について解説します。
国家資格と民間資格、それぞれの費用相場(全体像)
ドローン資格の費用は、取得を目指す資格の種類によって以下のような傾向があります。
国家資格(無人航空機操縦士)
国家資格には「一等」と「二等」があり、さらに受講者が「初学者(未経験)」か「経験者(民間資格保有者など)」かによって講習時間が変わるため、費用も変動します。
- 一等無人航空機操縦士:高度な飛行が可能な資格です。初学者の場合は約50万円~100万円(平均80万円前後)、経験者の場合は約20万円~50万円(平均40万~50万円前後)が相場とされています。
- 二等無人航空機操縦士:一般的な業務向けの資格です。初学者の場合は約15万円~40万円(平均30万~40万円前後)、経験者の場合は約7万円~25万円(平均10万~15万円前後)が目安です。
民間資格
民間団体が認定する資格は、団体やスクールによって異なりますが、一般的に国家資格よりも安価に設定されている傾向があります。
- 主要な民間資格(JUIDA、DPAなど):約5万円~30万円程度が相場です。
民間資格を持っていると「経験者」として扱われ、国家資格の取得費用が大幅に安くなるケースがあります。
ドローン資格取得にかかる費用の主な内訳と項目
資格取得にかかる費用の総額は、主に以下の項目で構成されています。スクールに支払う料金だけでなく、試験機関や国に支払う手数料も必要になるため、予算計画には注意が必要です。
- スクール講習費用(入学金・受講料・テキスト代)
費用の大半を占めるのが、登録講習機関(ドローンスクール)での講習費用です。実技講習の時間数や使用する機体、施設の充実度によって金額が変わります。 - 試験手数料
国家資格の場合、指定試験機関へ支払う受験料が発生します。
・学科試験:一等 9,900円、二等 8,800円
・実地試験:一等 22,200円~、二等 20,400円~(マルチローターの場合) - 身体検査手数料
国家資格取得には身体検査が必要です。書類受験(5,200円)または会場受験(19,900円)の費用がかかります。 - 交付・登録手数料
試験合格後、免許の交付申請に3,000円(新規)がかかります。また、民間資格の場合は認定証の発行料や、数年ごとの更新料(数千円~1万円程度)が必要になるケースが一般的です。
ドローン国家資格の費用と取得で「できること」(一等・二等)
2022年12月から開始されたドローンの国家資格制度は、業務での活用を目指す方にとって重要な選択肢です。ここでは国家資格の具体的な費用と、取得によって得られる業務上のメリットを解説します。
国家資格(一等・二等)の取得費用相場と講習免除
国家資格を取得するには、登録講習機関(スクール)で講習を修了し実地試験を免除にするルートが一般的です。
この際、すでに民間資格を持っているなどの「経験者」であれば、講習時間が大幅に短縮され、費用も抑えられます。
- 一等資格(初学者):講習時間が長いため、費用は100万円近くになることもあります。
- 一等資格(経験者):講習時間が短縮され、費用は半額程度の40万~50万円前後に収まるケースが多いです。
- 二等資格(初学者):30万~40万円前後が一般的です。
- 二等資格(経験者):最短の講習時間で済む場合、10万円~15万円前後で受講可能なスクールも存在します。
このように、まずは民間資格を取得して基礎技術を身につけ、「経験者」として国家資格講習を受けることで、トータルの費用や学習負担を調整する方法もあります。
国家資格取得の最大のメリット|飛行許可申請の簡略化と業務拡大
安くない費用をかけて国家資格を取得する最大のメリットは、飛行可能な範囲の拡大と手続きの簡略化にあります。
- カテゴリーIII飛行(レベル4飛行)の実現
一等資格を取得し、適切な認証を受けた機体を使用することで、有人地帯(第三者の上空)での目視外飛行(レベル4飛行)が可能になります。これは物流や都市部での点検など、高度な業務を行うために不可欠な条件です。 - 飛行許可・承認手続きの不要化
二等資格以上を持っていれば、特定の条件下(カテゴリーII飛行の一部)において、従来必要だった国土交通省への飛行許可・承認申請が不要になります。これにより、急な空撮依頼や点検業務にもスムーズに対応できるようになります。
有人地帯での目視外飛行(レベル4)を行うには、一等資格が必須となります。
国家資格が有利に働く職種・キャリアパス【具体的な求人例】
「ドローン 資格 求人」と検索されるように、資格が実際の仕事にどう結びつくかは重要です。
公式情報として具体的な求人件数や年収額は明記されていませんが、国家資格は以下のような職種で「技術と知識の証明」として有利に働きます。
- インフラ点検・測量
橋梁、鉄塔、外壁などの点検業務や、建設現場での測量業務では、正確な操縦技術と安全管理能力が求められます。国家資格は発注者に対する信頼性の担保となります。 - 空撮・映像制作
テレビ、CM、PR動画などの撮影現場では、安全確保が最優先されます。資格保有はクライアントへの安心材料となり、案件獲得の可能性を広げます。 - 物流・警備・防災
将来的に拡大が見込まれるドローン物流や、災害時の状況確認など、レベル4飛行を見据えた分野では一等資格の需要が高まると予想されます。
国家資格は、単にドローンを飛ばせるだけでなく、航空法や安全管理の知識を有していることの客観的な証明となり、就職や転職、フリーランスとしての活動において強力な武器となります。
業務で役立つ主要な民間ドローン資格と費用相場
国家資格が登場した現在でも、民間資格はドローンの基礎を学ぶ手段として有効です。主要な民間資格の種類と費用について解説します。
JUIDA/DPA/DJI CAMPなど主要団体の資格と費用
多くのドローンスクールが発行している民間資格には、それぞれの団体ごとに特徴と費用相場があります。
- JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)
「無人航空機操縦士」と「安全運航管理者」の資格があります。受講費用は約15万円~25万円程度が相場です。別途、申請費用や年会費がかかる場合があります。 - DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会)
「ドローン操縦士回転翼3級」などの資格があり、産業用途の実践的な技術習得を重視しています。費用は約20万円~が目安です。 - DPCA(一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会)
「DRONEフライトオペレーター」などがあり、講習費用は約5万円~10万円程度と比較的安価に設定されているコースもあります。
民間資格取得のメリットと国家資格との役割の違い
民間資格を取得するメリットは、ドローン操縦に必要な基礎知識と技術を体系的に学べる点にあります。特に初心者がいきなり国家資格の試験に挑むのはハードルが高いため、まずは民間資格スクールで操縦感覚を養うのが一般的です。
また、民間資格を保有していると、国家資格の講習を受ける際に「経験者」として扱われ、講習時間と費用が大幅に減免されるメリットがあります。
ただし、2025年12月以降、民間資格に関する制度上の扱いが変更され、国家資格への移行が推奨される動きがあります。
これから資格取得を検討する場合は、将来的な国家資格へのステップアップを前提に民間資格を選ぶか、最初から国家資格を目指すかを検討する必要があります。
費用を抑える!セット取得や体験会・キャンペーン活用術
民間資格の取得費用を抑えるためには、スクール選びが重要です。
- セットプランの活用
操縦技能と安全運航管理者の資格をセットで受講することで割引が適用されるスクールがあります。 - 無料体験会・説明会
多くのスクールでは無料の操縦体験会や説明会を実施しており、その場で申し込むと入学金が免除されるなどのキャンペーンを行っている場合があります。 - 教育訓練給付金などの確認
一部の講座は国の制度の対象となる場合があるため、受講前にスクールへ確認することをおすすめします。
スクールのキャンペーンや給付金制度を活用することで、初期費用を数万円単位で節約できる場合があります。
ドローン資格の費用対効果を最大化する選び方【失敗しないために】
資格取得は安い買い物ではありません。費用対効果(コストパフォーマンス)を最大化するために、目的意識を持った選び方が重要です。
目的別!最適な資格の組み合わせと費用シミュレーション
自分の目的に合わせて、どの資格が必要かを判断しましょう。
- 趣味・空撮(個人利用)
まずは民間資格や二等資格で基礎を固めるのがおすすめです。費用を抑えつつ、飛行ルールの遵守と安全な操縦技術を習得できます。 - 業務利用(点検・測量・ビジネス)
業務として行うなら、対外的な信頼性が高い「二等資格」以上が推奨されます。特に第三者の上空を飛行する可能性がある場合は「一等資格」が必須となります。 - 費用シミュレーション例
「まずは民間資格(約20万円)を取得」→「実務経験を積む」→「経験者として二等資格講習(約15万円)を受講」というステップを踏むことで、段階的にスキルアップしながら費用を分散させることも可能です。
費用だけでなく「求人」も重視!将来性を見据えた資格選び
「ドローン 資格 求人」を意識する場合、単に資格を持っているだけでなく、その資格を使って「何ができるか」が問われます。
求人市場では、資格に加えて「実務経験」や「特定の機体(産業用ドローンなど)の操作経験」が評価される傾向にあります。
スクールを選ぶ際は、卒業後の就職・転職サポートがあるか、実務に近い訓練ができるかどうかも確認しましょう。国家資格は、採用担当者に対して「一定水準のスキルがある」ことを客観的に示すための強力なパスポートとなります。
費用を抑える補助金・助成金制度とスクール選びのポイント
費用負担を軽減するために、公的な支援制度を活用できる場合があります。
- 人材開発支援助成金
企業が従業員にドローン講習を受けさせる場合、経費や賃金の一部が助成される制度があります。 - 教育訓練給付制度
厚生労働大臣指定の講座を受講する場合、受講費用の一部が支給されることがあります。
これらの制度が利用できるかどうかはスクールによって異なるため、公式サイトや説明会で必ず確認してください。
また、スクール選びでは「費用の安さ」だけでなく、「機材の充実度」「講師の質」「卒業後のサポート」を総合的に比較することが、結果として費用の無駄を防ぐことにつながります。
助成金や給付金制度の対象講座かどうかは、受講申し込み前に必ずスクールへ確認しましょう。
まとめ
ドローン資格の費用は、国家資格か民間資格か、また現在の経験値によって数万円から100万円以上まで幅があります。
- 国家資格(一等・二等):業務での活用、飛行許可の簡略化、レベル4飛行を目指すなら必須。費用は高額だが、プロとしての信頼性とキャリアパスを広げる効果が高い。
- 民間資格:基礎技術の習得や、国家資格取得時の「経験者」要件を満たすために有効。ただし、制度変更の動きがあるため最新情報の確認が必要。
資格取得にかかる費用は「未来への投資」です。目先の金額だけでなく、取得後にどのような仕事(求人)に挑戦したいか、どのようなキャリアを描きたいかを明確にすることで、自分にとって最適な資格が見えてきます。
まずは各スクールの無料説明会などに参加し、具体的な情報を集めることから始めてみてはいかがでしょうか。


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