ドローン資格で仕事は可能?無資格の範囲と選び方

ドローン資格で仕事は可能?無資格の範囲と選び方

この記事の結論
・2025年現在、ドローンを仕事にするための資格は法的に必須ではない

・本格的な業務や特定飛行を行うなら国家資格(二等以上)の取得が有利

・2025年12月以降は民間資格による申請簡略化が廃止されるため注意が必要

ドローン市場の急速な拡大に伴い、「ドローンを仕事にしたい」と考える人が増えています。空撮による映像制作だけでなく、点検、測量、農業、物流など、活躍の場は多岐にわたります。

しかし、これからドローンを仕事にするにあたって、多くの人が抱く疑問があります。「ドローンを操縦するのに資格は必要なのか?」「資格なしでどこまで仕事ができるのか?」「今から取るならどの資格が良いのか?」といった点です。

結論から言えば、2025年現在、ドローンを仕事にするために資格は法的に必須ではありません。

しかし、業務の内容や飛行させる場所によっては、国家資格がなければ手続きが非常に煩雑になったり、事実上仕事を受けられなかったりするケースが増えています。特に2025年12月以降は制度が大きく変わるため、正しい知識が必要です。

本記事では、ドローンを仕事にするための資格の必要性、資格なしで可能な業務範囲、そして2025年以降を見据えた最適な資格選びとキャリアの築き方について、事実に基づき分かりやすく解説します。

目次

ドローンを仕事にする!現状と多様な仕事内容

ドローン技術の進化により、これまで人間が行っていた危険な作業やコストのかかる業務が、ドローンによって代替され始めています。まずは、ドローンビジネスの全体像と具体的な仕事内容について整理します。

ドローン関連の主な仕事の種類と具体例

ドローンを活用した仕事は、単に「飛ばすこと」だけではありません。撮影されたデータの解析や活用まで含め、以下のような業務が主流となっています。

  • 空撮(映像制作)
    テレビCM、映画、観光PR動画、不動産の物件紹介、結婚式の記念撮影など、高画質カメラを搭載したドローンでの撮影業務です。操縦技術だけでなく、構図や映像編集のスキルも求められます。
  • インフラ・設備点検
    橋梁、ダム、鉄塔、ソーラーパネル、屋根などの点検業務です。赤外線カメラや高倍率ズームカメラを使用し、足場を組まずに安全かつ短時間で異常箇所を特定します。
  • 測量
    建設現場や土木工事現場において、上空から地形を撮影し、3Dデータを作成します。従来の測量に比べて大幅な工数削減が可能です。
  • 農業(スマート農業)
    農薬散布や肥料散布、マルチスペクトルカメラを使った農作物の生育状況確認などを行います。広大な農地を効率的に管理するために導入が進んでいます。
  • 物流・配送
    過疎地や離島への物資輸送、災害時の緊急物資搬送などです。現在、実証実験から実用化のフェーズへと移行しつつあります。
  • スクール講師・教育
    ドローンスクールのインストラクターとして、操縦技術や法律知識を教える仕事です。

ドローンの仕事は「飛ばす」だけでなく、撮影データの解析や活用まで多岐にわたります。

ドローン市場の現状と将来性

ドローン産業は世界的に成長産業と位置づけられています。日本国内においても、少子高齢化による労働力不足を補う手段として、特に「点検」「物流」「農業」の分野での活用が期待されています。

また、法整備が進んだことで、これまで難しかった「有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)」が可能になるなど、ビジネスとしての利用範囲は着実に広がっています。今後も機体性能の向上と法規制の最適化により、市場は拡大傾向にあると言えます。

ドローンの仕事で目指せる収入の目安

ドローンパイロットの収入は、雇用形態(正社員、フリーランス、副業)や専門性によって大きく異なります。

  • 会社員の場合
    映像制作会社、建設会社、点検会社などに所属し、業務の一環としてドローンを扱います。給与体系は所属企業の規定によりますが、ドローン操縦スキルが手当として評価される場合もあります。
  • フリーランス・個人事業主の場合
    案件ごとの単価契約が一般的です。一般的な空撮よりも、専門知識が必要な「測量」や「非破壊検査(点検)」、特殊な機材を扱う「農薬散布」などのほうが単価が高い傾向にあります。

具体的な年収データは公的な統計が存在しないため一概には言えませんが、操縦技術だけでなく、撮影データの解析能力や営業力、専門資格(測量士など)を掛け合わせることで、高収入を目指すことが可能です。

ドローンの仕事に「資格は必要か?」その答えと「資格なし」でできる範囲

これからドローンを始める人にとって最大の疑問である「資格の必要性」について、法律に基づいた事実を解説します。

ドローン業務における資格の法的必要性

2025年現在、100g以上のドローンを飛行させるために、法的に必須となる「操縦免許」のようなものはありません。

自動車の運転免許とは異なり、資格がなくてもドローンを購入し、飛ばすこと自体は可能です。ただし、以下の2点は必ず守る必要があります。

  • 機体登録:100g以上のドローンは国土交通省への登録が義務化されています。
  • 航空法の遵守:飛行禁止空域や飛行ルールを守る必要があります。

つまり、「資格なし」でも法律を守れば仕事としてドローンを飛ばすことは可能です。しかし、ビジネスで利用する場合、後述する「飛行規制」の壁に当たることが多くなります。

【徹底解説】資格なしで可能なドローン業務の具体例と制限

「資格なし」でドローンを飛ばせる範囲は、航空法で定められた「特定飛行」に該当しない範囲に限られます。

資格なし・許可申請なしで可能な飛行の主な条件は以下の通りです。

  • 場所:人口集中地区(DID)以外の場所
  • 時間:日中(日の出から日没まで)
  • 方法:目視内飛行(肉眼で機体を常に見ている状態)、人や物件から30m以上の距離を保つ

具体的な業務例としては、郊外の私有地での空撮や、山間部の現場撮影などが挙げられます。また、四方を壁や網で囲まれた屋内での飛行は航空法の規制対象外となるため、資格や許可は不要です。

屋内や人口集中地区以外の目視内飛行であれば、資格なしでも業務が可能です。

資格が必須・有利となるドローン業務とは

ビジネスでドローンを使う場合、多くのケースで「特定飛行」が必要になります。特定飛行を行うには、原則として国土交通省の許可・承認が必要です。

  • 人口集中地区(DID)の上空:住宅地や都市部での飛行
  • 夜間飛行:日没後の撮影や点検
  • 目視外飛行:モニターを見ながらの操縦(FPV含む)、建物の裏側への飛行
  • 人または物件から30m未満の飛行:建物に接近しての点検など
  • イベント上空での飛行:お祭りや催し物の上空

ここで資格が重要になります。「国家資格(無人航空機操縦者技能証明)」を取得していると、これらの特定飛行を行う際の許可・承認申請が不要になったり、審査が簡略化されたりします。

特に、「レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)」を行うには、一等無人航空機操縦者技能証明が必須です。

無資格でドローンを仕事で使う際のリスクと注意点

資格なしで業務を行う場合、以下のリスクに注意が必要です。

  • 航空法違反のリスク:知らずに人口集中地区や禁止空域で飛ばしてしまい、書類送検されるケースがあります。
  • クライアントの信頼:発注者はコンプライアンスを重視します。「無資格者」よりも「国家資格保有者」の方が、安心して仕事を任せられると判断されやすい傾向にあります。
  • 保険加入:業務でドローンを飛ばす場合、賠償責任保険への加入は必須と言えます。保険会社によっては、有資格者向けの割引やプランを用意している場合があります。

ドローン関連の主要資格を徹底比較!選び方と取得メリット

ドローンの資格には「国家資格」と「民間資格」があります。これから取得するならどちらが良いのか、制度の変更点を含めて解説します。

ドローン資格の種類:国家資格と民間資格の違い

国家資格(無人航空機操縦者技能証明)は、2022年12月から開始された国の制度です。「一等」と「二等」があり、国土交通省が認定します。法的効力が強く、飛行許可申請の免除や簡略化などのメリットがあります。

一方、民間資格(JUIDA, DPA, DJI CAMPなど)は民間団体が認定する資格です。これまでドローン操縦者の技能証明として広く利用されてきましたが、国家資格の登場に伴い、その立ち位置が変化しています。

【重要】2025年12月以降の制度変更
2025年12月5日以降、民間資格による飛行許可・承認申請の簡略化措置が廃止されることが決定しています。

これまでは民間資格があれば申請書類の一部を省略できましたが、今後は国家資格保有者のみが優遇され、民間資格だけでは申請時に飛行経歴や能力を証明する書類の提出が必須となります。

2025年12月以降、民間資格のメリットが縮小するため国家資格の取得が推奨されます。

主要ドローン資格の費用・期間・難易度・試験内容を比較

国家資格を取得するには、国土交通省の登録講習機関(ドローンスクール)に通うのが一般的です。

  • 費用と期間
    経験者コース(民間資格保有者など)は講習時間が短縮され、費用も抑えられる傾向にあります。初学者コースはゼロから学ぶため、講習時間が長く費用も高くなります。
  • 試験内容
    学科試験(CBT方式)、実地試験、身体検査があります。登録講習機関の修了審査に合格すれば、指定試験機関での実地試験は免除されます。

資格取得がドローンの仕事にもたらす具体的なメリット

国家資格を取得することで、業務上の具体的なメリットが生まれます。

  • 飛行許可・承認申請の手間削減
    二等資格以上を持っていれば、特定の条件下での飛行において、事前の許可承認が不要になります。
  • レベル3.5飛行が可能に
    道路横断や鉄道上空などを通過する配送や点検において、立入管理措置を撤廃または緩和する「レベル3.5飛行」を行うには、二等以上の操縦者技能証明と保険加入が必要です。
  • 社会的信用の獲得
    国や自治体の案件、大手企業の案件では、国家資格の保有が入札条件や発注条件になるケースが増えています。

あなたに最適なドローン資格の選び方

これからプロを目指す人は、迷わず「国家資格(二等以上)」の取得をおすすめします。2025年12月以降の制度変更を見据えると、民間資格よりも国家資格の方が長期的なメリットが大きいためです。

趣味で飛ばす程度であれば資格は不要ですが、基礎知識を学ぶために民間資格や短期講習を受けるのも良いでしょう。高度な業務(第三者上空飛行)を目指す場合は、難易度は高いですが「一等資格」が必要です。

ドローン関連の仕事を見つけるには?未経験からのロードマップと成功の秘訣

資格を取得しただけでは仕事は来ません。未経験からドローンを仕事にするための具体的なステップを紹介します。

ドローン関連の仕事の探し方と求人情報源

仕事を探す主な方法は以下の通りです。

  • 求人サイト・転職エージェント:「ドローン パイロット」「ドローン 測量」などで検索します。
  • ドローン専門のマッチングサービス:空撮を依頼したい人とパイロットをつなぐプラットフォームに登録します。
  • SNS・コミュニティ:X(旧Twitter)やInstagramで作品を発信し、直接依頼を受けます。
  • ドローンスクールの紹介:卒業生向けに仕事を紹介してくれるスクールを活用します。

未経験からドローンを仕事にする具体的なステップ

まずはスクール等で正しい操縦技術と法律知識を身につけ、国家資格(二等推奨)を取得します。次に、空撮映像を編集してYouTubeやWebサイトで公開し、ポートフォリオ(作品集)を作成します。

最初は知人の依頼や低単価の案件でも積極的に受けて実績を作りましょう。さらに、単に飛ばすだけでなく、「赤外線カメラによる解析」や「測量ソフトの使用」など、専門性を強化して付加価値をつけることが重要です。

ドローンを仕事にする上でのリアルな課題とリスク

ドローンビジネスには、機体やソフトなどの初期投資がかかるほか、雨や強風では仕事ができないという天候への依存リスクがあります。また、ドローン関連の法律は頻繁に改正されるため、常に最新情報をキャッチアップし続ける必要があります。

ドローンビジネスを成功させるためのアドバイスとマインドセット

ドローンビジネスで最も重要なのは「安全意識」です。一度でも事故を起こせば、信用を失い、業界全体に迷惑をかけることになります。

「無理な飛行は断る勇気」と「徹底した安全管理」を持つことが、長く仕事を続けるための秘訣です。また、技術は日々進化するため、新しい機体やソフトへの学習意欲を持ち続けることが成功への鍵となります。

「安全意識」と「学習意欲」がドローンビジネス成功の鍵です。

まとめ

ドローンを仕事にする上で、資格は法的に必須ではありませんが、ビジネスとして本格的に取り組むなら「国家資格」の取得が強く推奨されます。

  • 資格なしでも可能:法律(航空法)の範囲内であれば、空撮や点検などの業務は可能です。
  • 資格の重要性:特定飛行(DID地区、目視外など)の許可申請がスムーズになり、クライアントからの信頼も得られます。
  • 2025年12月の変化:民間資格による申請簡略化が廃止されるため、今から目指すなら国家資格(二等以上)が最適です。

ドローンは、あなたのキャリアに「空」という新たな視点を加える強力なツールです。まずは自身の目的を明確にし、必要な知識と技術を身につけることから始めてみましょう。

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