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ドローン夜間飛行の全知識|許可申請・ライト・安全対策を徹底解説

この記事の結論
・夜間飛行は航空法上の「特定飛行」に該当し、原則として国の許可・承認が必要になる

・申請は「DIPS2.0」で行い、機体の視認性を確保する適切なライト装備が必須条件となる

・国家資格と機体認証を組み合わせれば、許可申請の手続きを大幅に簡略化できる

ドローン技術の進化に伴い、夜景の空撮やインフラの夜間点検、さらにはイベントでのライトアップ演出など、日没後の「夜間飛行」に対する需要が急速に高まっています。

しかし、夜間飛行は昼間とは全く異なるリスクを伴うため、航空法によって厳格に規制されています。

「美しい夜景を撮りたい」「業務で夜間に飛ばす必要がある」と考えても、複雑な法規制や許可申請の壁に直面し、二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ドローン夜間飛行を安全かつ合法的に行うための全知識を網羅的に解説します。

航空法上のルールや罰則といった基本知識から、国土交通省のシステム「DIPS2.0」を使用した具体的な許可申請手順、そして夜間飛行に欠かせない「ライト(灯火)」の選び方まで、詳しく掘り下げていきます。

さらに、自社ドローンスクールで培った実践的な操縦ノウハウや、事故を防ぐための安全対策も公開します。

この記事を読めば、夜間飛行に必要な準備と手続きが明確になり、不安なくドローンの新たな可能性に挑戦できるようになります。安全なフライトを実現するための第一歩として、ぜひ最後までご活用ください。

目次

ドローン夜間飛行の基本|まず知るべきルールと危険性

ドローンを夜間に飛行させることは、航空法において特別な承認が必要な行為として位置づけられています。まずは法的な定義とリスクを正しく理解することから始めましょう。

夜間飛行の法的定義と航空法における位置づけ

航空法において「夜間」とは、国立天文台が発表する「日没から日出まで」の時間帯を指します。

周囲の明るさや街灯の有無に関わらず、この時間帯にドローンを屋外で飛行させることは「夜間飛行」と定義されます。

重要なのは、夜間飛行が航空法上の「特定飛行」に該当するという点です。特定飛行とは、リスクが高いと判断される特定の条件下での飛行のことです。

通常、ドローン飛行は日中(日出から日没まで)に行うことが原則とされています。そのため、夜間に飛行させる場合は、原則として国土交通省の許可・承認を得る必要があります。

無許可飛行の罰則と知っておくべきリスク

もし許可・承認を得ずに、あるいは定められた安全対策を講じずに夜間飛行を行った場合、航空法違反となり「50万円以下の罰金」が科される可能性があります。

また、実際に書類送検された事例も存在するため、法令遵守は絶対条件です。

法的リスク以上に注意すべきなのが、事故のリスクです。夜間飛行には以下のような特有の危険性が伴います。

  • 視認性の著しい低下
    機体の向き(姿勢)や周囲の障害物(電線、樹木、建物)が見えにくくなり、衝突リスクが増大します。
  • 距離感の喪失
    暗闇では遠近感が掴みにくく、想定よりも機体が遠くへ行ってしまったり、自分に戻ってくる速度を見誤ったりすることがあります。
  • 第三者への危険
    万が一墜落した場合、暗闇の中にいる歩行者や車両を発見できず、重大な人身事故につながる恐れがあります。

どんな時に許可が必要?対象となるドローンと飛行エリア

許可が必要となるのは、原則として機体本体の重量が100g以上のドローンを屋外で飛行させる場合です。

屋外で100g以上の機体を飛ばす場合、場所が「人口集中地区(DID地区)」であるか否かに関わらず、「夜間」であるだけで特定飛行となります。

したがって、趣味・業務を問わず、事前に国土交通省への許可承認申請(または国家資格等の活用)が必須となります。

屋内飛行(四方を囲まれた空間)であれば航空法の対象外となるため、夜間でも許可申請は不要です。

国土交通省への夜間飛行許可申請ガイド|DIPS2.0でスムーズに

夜間飛行を行うためには、適切な手続きを経て許可を取得する必要があります。ここでは、国土交通省が運用するオンラインシステム「DIPS2.0」を活用した申請方法を解説します。

許可申請の全体像とDIPS2.0の活用方法

ドローンの飛行許可申請は、現在「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)」を通じてオンラインで行うのが一般的です。

申請には大きく分けて以下の2パターンがあります。

  • 個別申請
    特定の日時、経路を決めて申請する方法。
  • 包括申請
    一定期間(最大1年間)、特定のエリア(日本全国など)で反復して飛行させる場合の申請方法。

夜間飛行の練習や業務利用など、継続的に行う予定がある場合は「包括申請」を行うのが効率的です。

夜間飛行申請で特に重要な記載事項と必要書類

夜間飛行の承認を得るためには、申請時に以下の安全対策を講じていることを宣言する必要があります。DIPS2.0の入力項目では、特に以下の点に注意してください。

  • 灯火の装備
    機体の位置や向きを把握できる灯火(ライト)を装備していること。
  • 飛行範囲の照明
    離着陸場所や飛行エリアの照明を確保すること。
  • 補助者の配置
    必要に応じて補助者を配置し、周囲の安全確認を行う体制があること。
  • 訓練の実績
    夜間飛行に必要な操縦技量を有していること(例:10時間以上の総飛行時間のうち、一定時間の夜間訓練など)。

また、独自のマニュアルを使用する場合や改造した機体を使用する場合は、資料や写真の添付が必要になることがあります。

申請から許可までの流れと注意すべき期間

申請の流れは、「DIPS2.0で提出」→「審査」→「許可書発行」という順序で進みます。

審査には通常、10開庁日(約2週間)程度かかります。申請内容に不備があるとさらに時間がかかるため、飛行予定日の3~4週間前には申請を済ませておくことが重要です。

年末や年度末は窓口が混み合うため、余裕を持ったスケジュールで申請を行いましょう。

【徹底解説】ドローン夜間飛行に必須の「ライト」選びと運用

夜間飛行において、機体の視認性を確保する「ライト(灯火)」は、安全の要であり、法的にも必須の装備です。ここでは、夜間飛行におけるライトの重要性と選び方を深掘りします。

なぜライトが必要?夜間飛行における灯火の法的要件

航空法施行規則では、夜間飛行を行う際の基準として「無人航空機の灯火により無人航空機の位置及び姿勢を容易に把握できること」が定められています。

つまり、単に光っていれば良いのではなく、操縦者が遠くからでも「機体がどこにあり、どちらを向いているか」を判断できる十分な光量と配置が必要です。

夜間飛行におすすめのライト種類と選び方

夜間飛行用のライトを選ぶ際は、以下の基準を参考にしてください。

  • 種類
    機体の位置を知らせる「ナビゲーションライト」や、強力な発光で衝突を防ぐ「ストロボライト」があります。
  • 光量(ルーメン/カンデラ)
    視認性を確保するため、できるだけ高輝度のものを選びます。

  • 航空機のルールに倣い、「左翼端=赤」「右翼端=緑」「尾部=白」といった配色にすると、機体の向きが直感的に把握しやすくなります。

【スクール推奨】夜間飛行向けライト製品と活用事例

私たちドローンスクールでも、夜間訓練や業務において視認性向上を目的に補助ライトを使用することがあります。

推奨製品としては、小型で軽量ながら非常に光量が強い「Lume Cube(リュームキューブ)シリーズ」などが挙げられます。

また、産業用ドローンでは純正の「ビーコン」や「スポットライト」が用意されていることが多いため、業務利用ではシステム連動する純正品の使用を推奨します。

ライトを追加する際は、機体の重心バランスを崩さない位置に取り付けましょう。

プロが教える!夜間飛行を安全に楽しむための実践テクニック

許可を取り、機材を揃えても、実際の操縦技術が伴わなければ事故のリスクは消えません。ここでは、プロの現場で実践されている夜間飛行のテクニックを紹介します。

夜間特有の操縦難易度と注意すべきポイント

夜間の操縦が難しい最大の理由は、「視覚情報の不足」です。機体のシルエットが見えないため、LEDの色だけで前後左右を判断する必要があります。

また、ドローンのカメラ映像(FPV)は暗所ではノイズが走りやすく、細い電線や枝はほとんど映らないため、目視でも発見が困難になります。

【スクール流】安全な夜間飛行のための練習方法と訓練カリキュラム

当スクールでは、夜間飛行の許可申請を行う前に、以下の手順で段階的な訓練を行うことを推奨しています。

  • 日没直後の薄暮(はくぼ)訓練
    完全に真っ暗になる前の薄明かりの時間帯に飛行させ、徐々に暗くなる環境に目を慣らします。
  • 機体LEDのみでの姿勢維持
    安全な広場で低空ホバリングさせ、機体を回転させて「赤が見えたら左」といった色と向きの関係を脳に刷り込みます。
  • 補助者との連携訓練
    操縦者が見落としている障害物や機体の位置を、補助者が口頭で伝える練習を行います。

事故を防ぐためのチェックリストと緊急時の対処法

夜間フライト前には、以下の項目を必ずチェックしましょう。

  • バッテリーは満充電か(低温時は減りが早い)
  • 機体のLEDおよび追加ライトは正常に点灯するか
  • 離着陸地点の照明は確保されているか
  • 飛行ルート上に障害物(電線・樹木)がないか日中に下見をしたか
  • 緊急着陸地点(エスケープゾーン)を決めているか

機体を見失った(ロストした)場合は、慌てずにRTH(リターントゥホーム)機能を作動させてください。

許可申請を効率化!国家資格と機体認証のメリット

2022年12月の法改正により、ドローンの国家資格制度(無人航空機操縦士)が開始されました。資格取得は夜間飛行の運用においても大きなメリットをもたらします。

国家資格(二等・一等)取得で変わる夜間飛行の許可申請

国家資格(二等または一等無人航空機操縦士)を取得すると、特定飛行の許可・承認手続きが大幅に簡略化されます。

具体的には、「カテゴリーII飛行(立入管理措置を講じた上での特定飛行)」において、以下の条件を満たせば、個別の許可・承認申請が不要になります。

  • 条件
    「二等以上の国家資格」+「機体認証を受けた機体」を使用する場合。
  • 手続き
    事前の飛行計画の通報(DIPS2.0で実施)のみで飛行可能。

機体認証(第1種・第2種)によるメリットと制度の活用

機体認証とは、ドローンの機体が安全基準を満たしていることを国が認証する制度です。夜間飛行を含むカテゴリーII飛行で許可申請を不要にするには、「機体認証」を受けたドローンを使用する必要があります。

限定変更のプロセスと申請時の注意点

国家資格を取得する際、実地試験において「夜間飛行」の項目を受験しなかった場合、資格証には「夜間飛行に限る(夜間飛行不可)」という限定条件が付記されます。

この限定を解除するには、登録講習機関(ドローンスクール)での修了審査か、指定試験機関での実地試験による「限定変更」が必要です。

夜間業務を行う予定がある方は、最初から「夜間飛行」の講習が含まれているコースを選びましょう。

夜間飛行の可能性を広げる!ドローン活用事例と機体選び

夜間飛行の技術を習得すれば、ドローン活用の幅は劇的に広がります。クリエイティブな表現から実用的な業務まで、その可能性を見ていきましょう。

夜間飛行ならではの魅力的な空撮事例とクリエイティブな表現

夜間飛行の醍醐味は、なんといっても光の演出です。都市夜景の空撮や、道路を走る車のライトを長時間露光で撮影するなど、地上からは撮れないダイナミックな映像が可能になります。

また、多数のドローンを制御して夜空にアニメーションを描く「ドローンライトショー」も注目を集めています。

インフラ点検やイベント撮影など、夜間業務でのドローン活用

業務分野でも夜間飛行のニーズは高まっています。

  • 赤外線カメラによる点検
    太陽光の影響を受けない夜間に、ソーラーパネルや外壁の温度異常を点検します。
  • 警備・監視
    工場や重要施設の夜間巡回警備に活用されています。
  • 災害時の捜索
    夜間の災害現場で、赤外線カメラとスポットライトを使用して要救助者の捜索を行います。

夜間飛行におすすめのドローン機種と選ぶべき機能

夜間飛行に適したドローンを選ぶ際は、暗所でもノイズの少ないクリアな映像を撮るために1インチ以上の大型センサーを搭載したモデルが推奨されます。

「DJI Mavic 3」シリーズのような大型センサー搭載機や、産業用で赤外線カメラに対応した機種がおすすめです。

まとめ

夜間のドローン飛行は、適切な知識と準備さえあれば、決して恐れるものではありません。最後に、あなたが夜間飛行を実現するためのステップを整理します。

あなたの目的別:夜間飛行実現までのステップ

  • 趣味で夜景を撮りたい人
    • 100g以上の機体を購入し、DIPS2.0で「包括申請」を行う。
    • 視認性の高いライトを用意し、まずは薄暮の時間帯から練習する。
  • 業務で夜間飛行を行いたい人
    • 「二等無人航空機操縦士」以上の国家資格を取得する。
    • 機体認証を受けたドローンを導入し、業務独自のマニュアル策定と安全体制を構築する。

最後に知っておきたい法改正の動向と今後の展望

ドローンに関する法律は日々アップデートされています。今後は「レベル4飛行」の実用化に伴い、夜間の物流や警備といった分野でも規制緩和やルール整備が進むと予想されます。

夜間飛行は、単なる撮影手段にとどまらず、社会インフラを支える重要な技術になりつつあります。常に最新の法改正情報にアンテナを張り、安全第一でドローンの新しい世界を楽しんでください。

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