ドローン市場において圧倒的なシェアを誇るDJIですが、近年では「DJI以外のドローン」を選択するユーザーが増えています。
情報セキュリティへの意識の高まりや、特定の産業用途に特化した機能、あるいはコストパフォーマンスを重視するなど、その理由は多岐にわたります。
本記事では、DJI以外の選択肢を検討している方に向けて、国産メーカーから海外の有力メーカー、手軽なトイドローンまで幅広く解説します。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを整理し、あなたの目的に最適な1台を見つけるための判断材料を提供します。
DJI以外のおすすめドローン9選!国産・海外メーカー比較と選び方
ドローンといえばDJIというイメージが強いですが、市場には多様なニーズに応える優れたメーカーが数多く存在します。
ここではまず、なぜ今DJI以外の選択肢が注目されているのか、その背景と基本情報を解説します。
(導入)DJI以外のドローンを選ぶ人が増えている背景
DJI以外のドローンを選ぶ主な理由として、セキュリティ対策と用途の多様化が挙げられます。
特に政府機関やインフラ点検などの分野では、情報漏洩リスクへの懸念から、高いセキュリティ基準を満たす「国産ドローン」への需要が高まっています。
また、特定の機能に特化したドローンを求める声も増えています。
例えば、GPSが届かない環境下での自律飛行性能に優れた機体や、特殊なカメラを搭載できる産業用機体など、DJI製品のラインナップだけではカバーしきれないニーズに対し、各メーカーが独自の強みを打ち出しています。
(前提)ドローンの種類と知っておきたい基本情報
ドローンは大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類されます。
- トイドローン(ホビー用)
主に100g未満の軽量な機体で、航空法の一部の規制対象外となる場合があります。安価で操縦練習や屋内での遊びに適しています。 - 空撮用ドローン(一般・プロ向け)
高画質なカメラとジンバル(手ブレ補正機構)を搭載し、安定した飛行が可能です。趣味の撮影からプロの映像制作まで幅広く利用されます。 - 産業用ドローン
測量、点検、農業、物流などに特化した高性能な機体です。赤外線カメラやマルチスペクトルカメラの搭載、自律飛行機能など、業務効率化のための高度な技術が採用されています。
用途に合わせて適切なカテゴリーを選ぶことが、失敗しないドローン選びの第一歩です。
DJI以外のドローンを選ぶメリット・デメリット
DJI製品は総合的な完成度が高いことで知られていますが、他メーカーを選ぶことには明確なメリットと、知っておくべきデメリットが存在します。
DJI製品にはない「メリット」とは?(セキュリティ、独自性、価格帯、サポートなど)
最大のメリットは、用途に特化した「尖った性能」や「セキュリティの信頼性」です。
- 高度なセキュリティ(国産メーカー)
株式会社ACSLなどが開発する国産ドローンは、通信の暗号化や撮影データの国内保存など、セキュリティ対策が徹底されています。機密性の高い情報を扱う業務において、安心して運用できる点が強みです。 - AIによる自律飛行技術(Skydioなど)
米国のSkydioなどは、GPSや磁場に依存せず、AIが周囲の環境を認識して障害物を回避しながら飛行する技術に優れています。橋梁の下や屋内など、GPSが入りにくい場所での点検業務で威力を発揮します。 - コストパフォーマンス(Holy Stoneなど)
Holy Stoneなどのメーカーは、比較的手頃な価格で4KカメラやGPS機能を搭載したモデルを提供しており、初心者が導入しやすい価格帯が魅力です。
考慮すべき「デメリット」と注意点(情報量、性能バランス、汎用性など)
一方で、以下の点には注意が必要です。
- 情報量とアクセサリの少なさ
ユーザー数が圧倒的に多いDJIに比べると、インターネット上のトラブルシューティング情報や、サードパーティ製のアクセサリ(予備バッテリー、ケースなど)の種類が少ない傾向にあります。 - 総合的な性能バランス
特定の機能に特化している反面、操作アプリの使い勝手や映像伝送の安定性など、総合的な使いやすさではDJIがリードしている場合があります。 - 入手性とサポート
海外メーカーの場合、国内の正規代理店が限られていることがあり、修理やサポートの対応に時間がかかる可能性があります。国内サポート体制を確認することが重要です。
海外メーカー製品を購入する際は、日本国内に正規代理店やサポート窓口があるかを必ず確認しましょう。
【国内・海外】DJI以外の主要ドローンメーカーと人気モデル
ここでは、DJI以外の選択肢として有力なメーカーを「国産」「海外」「トイドローン」の3つの視点で紹介します。
信頼性とセキュリティを重視するなら「国産ドローンメーカー」(ACSL, ProDroneなど)
国産メーカーは、日本の環境や法規制に合わせた開発を行い、特に産業用途での信頼性が評価されています。
- 株式会社ACSL
代表機である「SOTEN(蒼天)」は、セキュリティ対策が施された小型空撮ドローンです。カメラのワンタッチ切り替えが可能で、標準カメラ以外に赤外線やマルチスペクトルカメラへの交換に対応しており、点検や災害対応など幅広い用途で活用されています。 - ソニー株式会社
「Airpeak S1」は、フルサイズミラーレス一眼カメラ「α」シリーズを搭載できるプロフェッショナル向けドローンです。高い運動性能と圧倒的な映像美を追求するクリエイターに向けた製品です。 - その他
イームズロボティクス、ヤマハ発動機、NTT e-Drone Technology、Liberawareなどが、それぞれの専門分野で機体を開発しています。
コスパや特定の性能で選ぶ「海外ドローンメーカー」(Autel Robotics, Skydio, Holy Stoneなど)
海外メーカーは、独自の技術やコストパフォーマンスで市場を牽引しています。
- Autel Robotics(オーテルロボティクス)
中国・深圳を拠点とし、DJIの強力なライバルと目されるメーカーです。代表機の「EVO II」シリーズは、6Kや8K動画撮影が可能なモデルもあり、折りたたみ式ドローンとして高いスペックを誇ります。 - Skydio(スカイディオ)
米国最大のドローンメーカーで、AIを活用した自律飛行技術が特徴です。代表機「Skydio X10」などは、複雑な環境下でもパイロットの操作に依存せず安全に飛行できるため、エンタープライズや政府機関で採用されています。 - Parrot(パロット)
フランスのメーカーで、「ANAFI Ai」などのモデルを展開しています。4G通信を利用した制御など、ユニークな技術アプローチが見られます。
手軽に楽しむ「100g未満のトイドローンメーカー」(Ryze Tech, FPV系など)
航空法の規制が一部緩和される100g未満の軽量ドローンや、手軽なトイドローンも人気です。
- GFORCE(ジーフォース)
日本のラジコンメーカーで、サポート体制が整っており初心者にも安心です。「INGRESS BEYOND」や「SKYHIGH」など、約2万円前後で4K静止画撮影が可能なコストパフォーマンスに優れたモデルを販売しています。 - Holy Stone(ホーリーストーン)
低価格帯のドローンで高いシェアを持つメーカーです。トイドローンからGPS搭載機までラインナップが豊富で、練習用として選ばれることが多いです。 - Ryze Tech(ライズテック)
代表機「Tello」で知られます。IntelプロセッサとDJIのフライトテクノロジーを搭載しており、安定した飛行が可能ですが、DJIの技術が使われている点は留意が必要です。
信頼性重視なら国産、コスパや独自機能重視なら海外製と、目的に応じてメーカーを選び分けましょう。
DJI以外のドローン選びで失敗しないための比較ポイント
自分に合ったドローンを選ぶためには、以下の4つのポイントを比較検討することが大切です。
目的と用途で選ぶ(空撮・測量・点検・農業・レースなど)
ドローンを何に使いたいかを明確にしましょう。
- 空撮: カメラの画質(4K/6K)、ジンバルの性能、飛行時間を重視。Autel RoboticsやSonyなどが候補になります。
- 点検・測量: 正確な位置情報、自動航行機能、赤外線カメラなどの拡張性が必要。ACSLやSkydioなどの産業用機体が適しています。
- 練習・ホビー: 壊れにくさ、価格の安さ、室内での飛ばしやすさを重視。GFORCEやHoly Stoneなどのトイドローンが最適です。
予算と性能のバランスを考慮する(カメラ性能、飛行時間、操作性など)
予算に応じて妥協できない性能を決めます。
- 数千円~2万円: トイドローン。飛行時間は10分程度が一般的で、画質は記録用程度です。
- 5万円~15万円: エントリー~ミドルクラスの空撮機。GPS搭載で安定し、4K撮影が可能なモデルも増えます。
- 20万円以上: 本格的な空撮機や産業用機体。長時間飛行や高度なセンサー類が搭載されます。
購入後のサポート体制とセキュリティ対策の重要性
特に業務で使用する場合、万が一の故障時に迅速な修理が受けられるかは死活問題です。
国内メーカーや、日本に正規代理店があるメーカー(Tohasen Roboticsが扱うAutel Roboticsなど)を選ぶと安心です。
また、撮影データの取り扱いに敏感な現場では、データの国内保存を保証する国産ドローンが必須条件となる場合があります。
機体登録や飛行許可など法規制への対応度
日本国内で100g以上のドローンを屋外で飛行させる場合、国土交通省への機体登録とリモートIDの搭載が義務付けられています。
購入しようとしている機体がリモートID機能を内蔵しているか、あるいは外付け機器の搭載が可能かを確認する必要があります。
国産メーカーや主要な海外メーカーの最新機種は対応が進んでいますが、古いモデルや並行輸入品には注意が必要です。
100g以上の機体を購入する場合は、リモートID対応が必須条件であることを忘れないでください。
【目的・予算別】あなたに最適なDJI以外のドローンおすすめ機種
これまでの情報を踏まえ、具体的なニーズに合わせたおすすめの選択肢を提案します。
初めてのドローンに!手軽で安価なトイドローンおすすめ
- GFORCE / INGRESS BEYOND
GPSを搭載し、屋外でも安定した飛行が期待できるモデルです。日本のメーカーであるため、説明書やサポートの面で初心者に適しています。 - Holy Stone / HSシリーズ
ラインナップが豊富で、予算に合わせて選びやすいのが特徴です。安価ながら基本的な飛行性能を備えており、操縦の基礎を学ぶのに最適です。
本格的な空撮・高画質撮影におすすめのドローン
- Autel Robotics / EVO IIシリーズ
6Kや8Kといった超高解像度の撮影が可能で、映像制作の現場でも使用に耐えるスペックを持っています。折りたたみ式で携帯性も高く、DJI Mavicシリーズの有力な対抗馬となります。 - Sony / Airpeak S1
ソニーのカメラ技術を空撮に活かしたいプロフェッショナル向けです。一眼カメラを搭載して飛行できるパワーと運動性能は、他にはない映像表現を可能にします。
産業用(測量・点検・農業)に特化した高性能ドローン
- ACSL / SOTEN(蒼天)
高いセキュリティとカメラ交換による汎用性が魅力です。インフラ点検や災害調査など、日本の現場ニーズに合わせて開発された信頼性の高い機体です。 - Skydio / Skydio X10
GPSが届かない橋の下やトンネル内などの点検業務において、AIによる自律飛行で安全な業務遂行をサポートします。
スピードと操作性を追求!FPV・レース向けドローン
- Hubsan
手軽なモデルからFPV(一人称視点)飛行が楽しめるモデルまで幅広く展開しています。レース用ドローンの入り口として、あるいはスピード感のある飛行を楽しみたいユーザーに選ばれています。
初心者はサポートが手厚い国内メーカーのトイドローンから始めるのが安心です。
ドローン購入後に知っておくべき法規制と運用上の注意点
どのメーカーのドローンを選んだとしても、日本国内で飛行させる際には法律を遵守する必要があります。
ドローン登録制度とリモートIDの必須化
2022年6月20日より、重量100g以上の無人航空機(ドローン)に対して機体登録が義務化されました。
登録されていない機体を飛行させることはできません。また、登録記号の発信機能を持つ「リモートID」の搭載も原則として義務付けられています。
購入前に、その機体がリモートID内蔵型か、外付け機器が必要かを確認しましょう。
特定飛行の許可・承認と航空法以外の関連法規
航空法では、人口集中地区の上空や夜間飛行、目視外飛行などを「特定飛行」と定め、これらを行う場合は国土交通省の許可・承認が必要です。
また、航空法以外にも、小型無人機等飛行禁止法(重要施設周辺の飛行禁止)、民法(土地の所有権)、道路交通法、各自治体の条例などが関係します。
保険加入と定期的なメンテナンスの重要性
ドローンは墜落や衝突のリスクが常に伴います。対人・対物賠償に対応したドローン保険への加入を強く推奨します。
また、安全飛行のためには、プロペラの破損チェックやバッテリーの管理など、定期的なメンテナンスが欠かせません。メーカーや代理店の点検サービスを利用することも検討しましょう。
飛行前には必ず飛行場所のルールと条例を確認し、安全第一で運用しましょう。
まとめ
DJI以外のドローンには、国産メーカーによる「高いセキュリティ」や、Skydioのような「AI自律飛行」、Holy Stoneのような「コストパフォーマンス」など、それぞれの強みがあります。
ドローン選びで重要なのは、ブランド名だけでなく「自分の用途に合っているか」「安心して運用できるサポート体制があるか」を見極めることです。
本記事で紹介したメーカーや機種を参考に、あなたのニーズに合致した最適な1台を見つけて、安全で快適なドローンライフをスタートさせてください。


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