ドローン飛行日誌の義務と書き方実例と管理術

ドローン飛行日誌の義務と書き方実例と管理術

この記事の結論
・2022年の航空法改正により、特定飛行を行う際の飛行日誌作成と携行が義務化された

・違反時には10万円以下の罰金が科される可能性があるため、正確な記録管理が不可欠である

・アプリやデジタルツールを活用することで、DIPS連携や機体管理を効率化できる

ドローンを飛行させる際、機体の準備や操縦技術と同じくらい重要なのが「飛行日誌」の作成と管理です。

2022年の航空法改正により、特定の条件下での飛行において飛行日誌の作成・携行が義務化されました。

しかし、「具体的に何を書けばいいのか」「どのような形式で保存すべきか」と迷う方も少なくありません。

本記事では、ドローン飛行日誌に関する法的義務や罰則といった基礎知識から、具体的な記入項目、長時間飛行時の記録管理、さらに効率的なデジタルツールの活用方法までを網羅して解説します。

飛行日誌を単なる義務としてではなく、安全で効率的なドローン運用のためのツールとして活用するための情報を整理しました。

目次

ドローン飛行日誌の義務化とは?基本の目的と罰則

ドローンの利用拡大に伴い、航空法などのルールも整備が進んでいます。

ここでは、飛行日誌がなぜ必要なのか、どのような場合に作成義務が生じるのか、そして違反時の罰則について、事実に基づき解説します。

なぜ飛行日誌は必須?2022年航空法改正の要点

2022年12月5日に施行された改正航空法により、ドローンの「特定飛行」を行う場合、飛行日誌の作成・携行が義務付けられました。

特定飛行とは、人口集中地区の上空や夜間飛行、目視外飛行など、航空法で規制されている飛行形態を指します。

この改正の背景には、ドローンの飛行回数増加に伴う安全管理の強化があります。

飛行日誌は、いつ、誰が、どのような機体で、どのような飛行を行ったかを記録し、機体が適切に整備されているかを証明するための重要な書類です。

国土交通省は、特定飛行を行う者に対し、飛行日誌への記載を遅滞なく行うよう求めています。

特定飛行を行う際は、必ず飛行日誌を作成し携行する準備を整えましょう。

飛行計画の通報と飛行日誌の違い・それぞれの役割

ドローンの運航管理には「飛行計画の通報」と「飛行日誌の作成」という2つの異なる手続きが存在します。

これらは目的やタイミングが異なります。

  • 飛行計画の通報
    特定飛行を行う前に、あらかじめ飛行の日時や経路などを国土交通省(DIPSなど)に通報する制度です。これは事前の安全確保を目的としています。
  • 飛行日誌
    飛行を行った後に、その実績や機体の点検・整備状況を記録するものです。これは事後の記録保存と機体管理を目的としています。

両者はセットで運用されるべきものですが、法的な位置づけや手続きのタイミングが異なるため、混同しないよう注意が必要です。

飛行日誌を記載しない・虚偽記載した場合のペナルティ

飛行日誌の作成・携行義務に違反した場合、罰則が科される可能性があります。

航空法第157条の11に基づき、特定飛行を行う際に飛行日誌を備えなかったり、記載すべき事項を記載しなかったり、あるいは虚偽の記載を行った場合には、10万円以下の罰金が科せられます。

また、前述の「飛行計画の通報」を行わずに特定飛行をした場合の罰則は30万円以下の罰金となっており、それぞれに法的責任が伴います。

安全な運航のためには、ルールを正しく理解し、遵守することが不可欠です。

罰則を避けるためにも、正確な記録とルールの遵守を徹底してください。

【実例】ドローン飛行日誌の具体的な記入項目と書き方

飛行日誌には、単に「飛ばした」という事実だけでなく、機体の状態や点検結果も含めて詳細に記録する必要があります。

ここでは、記録すべき主要な項目と管理のポイントを整理します。

DIPS様式に準拠した必須項目と押さえるべきポイント

国土交通省が定める飛行日誌の記載事項は、大きく以下の3つの記録から構成されています。

  • 飛行記録
    いつ、どこで、誰が操縦し、どの機体を使い、どのような飛行(離陸・着陸時刻や場所)を行ったかを記録します。
  • 日常点検記録
    飛行前および飛行後に実施した点検の結果を記録します。プロペラの損傷有無やバッテリーの状態などが含まれます。
  • 点検整備記録
    一定期間ごとの点検や、部品交換、修理、改造などを行った際の記録です。

これらの記録は、国土交通省が提供する様式(DIPSなどで参照可能)に準拠した内容で作成する必要があります。

正確な日時や場所を記録し、後から検証可能な状態にしておくことが重要です。

複数のバッテリーや長時間の飛行における記録のコツ

業務などでドローンを使用する場合、複数のバッテリーを交換しながら長時間運用することもあります。

このような場合、飛行記録は「1フライトごと(離陸から着陸まで)」に作成するのが基本です。

バッテリー交換のために着陸した場合は、一度飛行が終了したとみなされるため、それぞれの飛行について開始時刻と終了時刻を記録します。

また、どのバッテリーを使用したかを備考欄などにメモしておくと、バッテリーごとの充放電回数や劣化具合を把握するのに役立ちます。

バッテリー交換ごとの着陸も「1フライト」として個別に記録しましょう。

トラブル発生時や異常時の対応・記録方法

飛行中に機体の挙動がおかしいと感じたり、軽微な接触などのトラブルが発生したりした場合は、その内容を必ず記録に残します。

具体的には、「点検整備記録」や「飛行記録」の備考欄を活用し、発生した事象、原因、その後の処置(部品交換や修理など)を記載します。

また、修理や改造を行った場合は、その内容を点検整備記録に詳細に残すことが義務付けられています。

これにより、機体の安全性が維持されていることを客観的に証明できます。

長時間ドローン飛行を支える記録と機体管理のノウハウ

ドローンの性能向上により、飛行時間は延びる傾向にあります。

ここでは、長時間飛行を行う際の機体管理や記録の重要性について、テックメディアの視点で解説します。

長時間飛行向けドローンの選び方とバッテリー戦略

一般的にホビー用ドローンの飛行時間は20〜30分程度ですが、産業用やハイエンド機ではそれ以上の長時間飛行が可能なモデルも存在します。

長時間飛行を前提とする場合、以下の視点で機体や運用を検討することが一般的です。

  • バッテリー容量と効率
    機体重量に対するバッテリー容量のバランスや、モーターのエネルギー効率が良い機体が有利です。
  • 予備バッテリーの運用
    連続して飛行を行う場合、充電済みの予備バッテリーを複数用意し、ローテーションで運用する戦略が必要です。

公式情報において特定の推奨機種は明記されていませんが、飛行時間が長くなるほど機体への負荷やバッテリーの発熱リスクも考慮する必要があります。

特定の飛行時間(60分/10時間など)が運用に与える影響

「飛行時間60分」を超えるような長時間飛行や、累積で「10時間」以上の飛行を行う場合、機体管理の重要度が増します。

  • 60分クラスの飛行
    一度のフライトが長時間に及ぶ場合、操縦者の集中力維持や、通信機器・制御アプリの安定性が課題となります。
  • 累積10時間以上の運用
    多くのドローンメーカーは、一定の飛行時間(例:10時間、20時間など)ごとに定期点検を推奨しています。

飛行日誌で正確な「総飛行時間」を管理することは、メーカー推奨の点検時期を逃さないためにも不可欠です。

飛行日誌と合わせて重要な点検整備記録の管理

飛行日誌の一部である「点検整備記録」は、機体の健康診断カルテのような役割を果たします。

特に長時間運用する機体では、モーターの異音、プロペラの微細な傷、バッテリーの膨張などの兆候を見逃さないことが重要です。

また、機体の所有者や使用者が変わる場合(譲渡など)、これまでの飛行記録(総飛行時間)や点検整備記録をすべて新しい所有者に引き継ぐ義務があります。

これは、中古機体であっても安全性を担保するための仕組みです。

機体譲渡の際は、過去の飛行日誌と整備記録も必ずセットで引き継ぎましょう。

ドローン飛行日誌を効率化!おすすめアプリ・ツール比較

飛行日誌は紙で作成・携行することも可能ですが、デジタルツールを活用することで管理の手間を大幅に削減できます。

デジタル管理のメリットと手書き・Excel管理との比較

飛行日誌の作成方法は、紙(手書き)、Excelなどの表計算ソフト、専用アプリのいずれでも問題ありませんが、それぞれに特徴があります。

  • 手書き・紙
    現場ですぐに記入できる反面、集計や検索が難しく、紛失のリスクがあります。
  • Excel・表計算ソフト
    PCでの編集が容易でカスタマイズ性が高いですが、スマホでの入力がしにくい場合があります。
  • 専用アプリ・ツール
    スマホのGPS情報やフライトログから自動入力できる機能を持つものもあり、作成の手間が最も少ない傾向にあります。

飛行日誌作成・管理に役立つ人気のアプリ・ツール

現在、ドローンメーカー純正のアプリや、サードパーティ製の飛行日誌作成アプリが多数リリースされています。

これらの中には、飛行日時や場所を自動で記録し、日誌形式で出力できるものがあります。

公式情報として特定の推奨アプリは明記されていませんが、選定の際は「日本の航空法(飛行日誌の様式)に対応しているか」「データの出力(PDFやCSV)が可能か」を確認することが重要です。

アプリ選定時は、必ずデータ出力機能と日本法対応を確認してください。

DIPS連携機能やデータ分析に強いツールの選び方

効率化を重視する場合、国土交通省の「ドローン情報基盤システム(DIPS)」との連携を考慮したツール選びが有効です。

一部のツールでは、DIPSへの飛行計画通報と連動して日誌の下書きを作成できる機能や、飛行データを分析して機体のメンテナンス時期を通知する機能を備えています。

自身の運用規模(趣味か業務か、機体数など)に合わせて、過不足のない機能を持つツールを選ぶと良いでしょう。

飛行日誌データを活用してドローン運用を最適化する方法

飛行日誌は単なる「義務」として記録するだけでなく、蓄積されたデータを分析することで、運用の質を向上させることができます。

飛行時間やフライトログから得られる運航改善のヒント

記録された飛行時間や場所のデータを振り返ることで、無駄な待機時間の削減や、より効率的な飛行ルートの検討が可能になります。

また、バッテリーごとの使用回数や飛行時間を可視化することで、特定のバッテリーだけが劣化していないか等のチェックにも役立ちます。

記録データに基づいた安全対策とスキルアップ戦略

自身の飛行履歴(飛行頻度や環境)を客観的に把握することは、安全対策の第一歩です。

「最近、夜間飛行の経験が不足している」「強風時の飛行記録がない」といった自身の経験値の偏りに気づくことができれば、必要な訓練や対策を講じることができます。

DIPSへの報告プロセスと適切なデータ保存の注意点

作成した飛行日誌は、機体が国土交通省に登録されている間、継続して保存しなければなりません。

紙の場合は物理的な保管場所が必要ですが、デジタルの場合はバックアップが重要です。

また、事故発生時などには、速やかに飛行日誌の提示を求められる可能性があります。

データは常に取り出せる状態で整理し、DIPSなどのシステムと照らし合わせても矛盾がないよう、正確に管理し続けることが求められます。

飛行日誌は機体登録がある限り、いつでも提示できるよう保存・管理しましょう。

まとめ

ドローンの飛行日誌は、2022年の航空法改正により、特定飛行を行う際の法的義務となりました。

違反した場合には罰金が科される可能性があるため、正確な記録と携行が不可欠です。

飛行日誌には「飛行記録」「日常点検記録」「点検整備記録」の3つが含まれ、これらを適切に管理することで、機体の安全性を証明し、トラブルを未然に防ぐことができます。

長時間飛行を行う場合や業務利用では、デジタルツールを活用して効率的に記録・管理することをおすすめします。

飛行日誌を単なる事務作業と捉えず、安全で高度なドローン運用を実現するための重要なデータ資産として活用していきましょう。

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