ドローン操縦士の仕事とは?仕事内容・年収・未経験と副業まで

ドローン操縦士の仕事とは?仕事内容・年収・未経験と副業まで

この記事の結論
・産業用途の拡大によりドローン操縦士の需要と注目度は急上昇している

・平均年収は400万円前後だが、専門スキルや国家資格の取得で高収入が狙える

・未経験からプロを目指すならスクール活用と資格取得が最短のロードマップである

近年、テレビやYouTubeなどの映像コンテンツだけでなく、建設現場の測量、インフラ設備の点検、農業における農薬散布など、あらゆる産業でドローンの活用が進んでいます。

それに伴い、ドローンを安全かつ正確に操る「ドローン操縦士(ドローンパイロット)」という職業への注目度が急上昇しています。

「ドローン操縦士は具体的にどんな仕事をするのか?」
「未経験からでもプロになれるのか?」
「年収はどれくらいで、副業としても成立するのか?」

このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ドローン操縦士の仕事内容の全体像から、職種別の具体的な業務プロセス、気になる年収の実態、そして未経験からプロを目指すためのロードマップまでを網羅的に解説します。

趣味の延長ではなく、ビジネスとしてドローンに関わりたいと考えている方に向けて、事実に基づいたリアルな情報をお届けします。

目次

ドローン操縦士とは?仕事の全体像と魅力

ドローン操縦士とは、無人航空機(ドローン)を遠隔操作し、クライアントの目的に合わせた成果物を提供する専門職です。

単に機体を飛ばすだけでなく、撮影データの取得、解析、安全管理など、業務範囲は多岐にわたります。

ドローン操縦士が担う役割と仕事が注目される背景

ドローン操縦士の主な役割は、人が立ち入れない場所や高所からのデータ収集、および作業の代行です。

かつてはヘリコプターや足場を組んで行っていた作業をドローンが代替することで、コスト削減、工期短縮、安全性向上を実現しています。

仕事が注目される背景には、以下の要因があります。

  • インフラの老朽化:橋梁やトンネルなどの点検需要が増加しており、効率的な点検手段としてドローンが不可欠になっています。
  • 労働力不足:農業や建設業における人手不足を補うため、省人化技術としてのドローン活用が進んでいます。
  • 法整備の進展:2022年12月の航空法改正により「レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)」が解禁に向け動き出し、物流など新たなサービスへの期待が高まっています。

ドローン操縦士の仕事のやりがいと厳しさ(リアルな側面)

この仕事の大きなやりがいは、普段人間が見ることのできない視点からの景色を映像化したり、社会インフラを守る重要なデータ収集に貢献できたりする点です。

自分の操縦技術が直接成果物のクオリティに直結するため、技術向上の実感が得やすい職業でもあります。

一方で、以下のような厳しさも存在します。

  • 安全責任:万が一の墜落事故は、人身事故や物損事故につながるリスクがあります。常に緊張感を持って操縦する必要があります。
  • 天候への依存:風や雨の影響を強く受けるため、予定通りに業務が進まないことが多々あります。
  • 法規制の遵守:航空法や小型無人機等飛行禁止法など、複雑な法律を正しく理解し、遵守しなければなりません。

ドローン操縦士に求められる資質とスキル

プロのドローン操縦士には、操縦技術以外にも以下の資質が求められます。

  • 安全管理能力:気象条件や機体の状態を冷静に判断し、危険があれば「飛ばさない」決断ができること。
  • 空間把握能力:遠隔操作でも機体の向きや周囲の障害物との距離を正確に把握する力。
  • コミュニケーション能力:クライアントの要望を汲み取り、現場のスタッフと連携して業務を遂行する力。
  • ITリテラシー:撮影データの管理や、自動航行プログラミング、点検用ソフトの操作など、PCスキルも必須です。

プロとして活躍するには、操縦技術だけでなく安全管理能力や法知識が不可欠です。

【職種別】ドローン操縦士の具体的な仕事内容とリアルな業務プロセス

ドローン操縦士の仕事は、活用する分野によって業務内容が大きく異なります。ここでは主要な職種ごとの仕事内容を解説します。

映像制作・空撮におけるドローン操縦の仕事

テレビCM、映画、観光PR動画、不動産の眺望撮影などで使用される空撮映像を撮影します。

主な業務プロセス(例)

  1. ヒアリング・企画:クライアントが求める映像イメージを確認します。
  2. ロケハン・飛行計画:撮影現場の下見を行い、障害物や離発着場所を確認。飛行許可申請を行います。
  3. 撮影:天候を確認し、安全を確保しながら撮影を実施します。ツーオペレーション(操縦担当とカメラ操作担当の2名体制)で行うこともあります。
  4. 編集・納品:撮影データを編集ソフトで加工し、納品します。

※具体的な業務フローは案件により異なりますが、事前の安全確認と許可申請は共通して必須です。

測量・点検・農業分野でのドローン活用と業務

産業用ドローンのメインフィールドとも言える分野です。

  • 測量:建設現場などで上空から写真を撮影し、専用ソフトで3Dデータや地形図を作成します。従来数日かかっていた測量が短時間で完了します。
  • 点検:橋梁、鉄塔、ソーラーパネル、屋根などの高所や危険箇所を撮影し、ひび割れや異常がないかを確認します。赤外線カメラを使用することもあります。
  • 農業:農薬散布用ドローンを使用し、広大な農地に農薬や肥料を散布します。また、マルチスペクトルカメラで作物の生育状況を解析するスマート農業も普及しています。

ドローンスクール講師・インストラクターの役割

ドローンスクールで受講生に対し、操縦技術や関係法令、安全管理の知識を指導します。

主な業務内容

  • 座学講義:航空法、気象学、機体の構造などの知識を教えます。
  • 実技指導:実際の機体やシミュレーターを使用して、操縦方法を指導します。
  • 資格試験の実施:民間資格や国家資格の実地試験の評価員を務めることもあります。

その他の多様なドローン関連業務(水中ドローン、物流など)

空だけでなく、海中や新たな領域でもドローンは活躍しています。

  • 水中ドローン:ダムの堤体点検、養殖場の監視、船底の点検などで使用されます。
  • 物流:山間部や離島への荷物配送の実証実験が進んでおり、将来的には都市部での配送も期待されています。
  • 警備・害獣対策:上空からの監視や、赤外線カメラを用いた夜間の害獣調査などに活用されています。

業務ごとの飛行計画と許可申請は、どの職種でも必ず実施しましょう。

ドローン操縦士の年収相場と高収入を目指すキャリアパス

ドローン操縦士として働く場合、どれくらいの収入が見込めるのでしょうか。求人情報や市場データを基にした年収の実態を解説します。

ドローン操縦士の平均年収と職種・経験年数別の給与実態

ドローン操縦士全体の平均年収は、およそ400万円前後と言われています。求人情報サイトなどのデータを総合すると、330万円〜640万円程度が相場となっています。

職種別の年収目安

  • 空撮・映像制作:350万円〜640万円
    高い撮影スキルや編集スキルが求められるため、実力次第で高収入が狙えます。
  • 測量・点検:300万円〜500万円
    建設コンサルタント会社などに所属する場合が多く、安定した収入が見込めます。
  • 農業(農薬散布):300万円〜510万円
    季節性が強いため、兼業農家やフリーランスとして活動するケースも見られます。
  • ドローンスクール講師:276万円〜450万円
    スクールの運営規模や雇用形態によって幅があります。

経験年数別の年収目安

  • 未経験〜1年:300万円〜350万円
  • 経験1〜3年:350万円〜450万円
  • 経験3年以上:450万円〜600万円以上

年収アップに直結するスキル・資格とキャリア戦略

年収を上げるためには、単に「飛ばせる」だけでは不十分です。以下のスキルや資格が評価されます。

  • 付加価値スキル:空撮なら「動画編集」、測量なら「3Dデータ解析・CAD操作」、点検なら「赤外線診断」など、撮影後のデータ処理能力が重要です。
  • 国家資格「一等無人航空機操縦士」や「二等無人航空機操縦士」の取得は、技術と知識の証明となり、特定の飛行許可申請が簡略化されるため、業務の幅が広がります。
  • 特殊環境での操縦経験:非GPS環境下や狭小部での点検など、高度な操縦技術が必要な現場経験は市場価値を高めます。

高年収が期待できるドローン操縦の仕事分野

高収入を目指すのであれば、専門性の高い分野への特化が有効です。

  • 高度なインフラ点検:風力発電のブレード点検や、橋梁の狭部点検など、高度な操縦技術と専門知識が必要な分野。
  • ハイエンドな空撮:映画やCMなど、芸術的なセンスと高度なカメラワークが求められる現場。
  • ドローン開発・運用:操縦だけでなく、機体のカスタマイズやシステム運用に関わるエンジニアリング領域。

高収入を目指すなら、操縦以外の付加価値スキル(編集・解析など)を磨きましょう。

未経験からドローン操縦士になるためのロードマップ

未経験からドローン操縦士を目指すための具体的なステップを紹介します。

ドローン操縦に必要な資格の種類と取得方法・メリット

ドローンを操縦するために必須の免許はありませんが、ビジネスで扱うなら資格取得はほぼ必須と言えます。

  • 国家資格(無人航空機操縦士):2022年12月に新設されました。「一等」と「二等」があり、一等は有人地帯での目視外飛行(レベル4)が可能になります。信頼性が高く、就職や案件獲得に有利です。
  • 民間資格:JUIDAやDPAなどの団体が認定する資格。基礎知識や技能の証明になります。国家資格取得時の講習時間が減免される場合があります。

ドローンスクールの選び方と効率的な学習法

独学でも知識は学べますが、操縦技術や安全管理を体系的に学ぶには「登録講習機関(ドローンスクール)」の利用が近道です。

スクールの選び方
国土交通省の登録講習機関であるか、実地試験(修了審査)に合格すれば国家試験の実地が免除されるかを確認しましょう。また、空撮特化、測量特化など、目指す分野に強いスクールを選ぶのも有効です。

学習法
スクールでの実技講習に加え、トイドローン(小型ドローン)を購入して自宅でGPSなしの操縦練習(ATTIモードなど)を繰り返すことが上達の鍵です。

未経験者歓迎の求人探しと就職までの具体的な流れ

未経験からいきなりフリーランスとして独立するのはハードルが高いため、まずは企業に就職して経験を積むのが一般的です。

  1. 求人検索:「ドローン オペレーター」「空撮 アシスタント」「測量 ドローン」などのキーワードで検索します。
  2. 業界選び:建設会社、測量会社、映像制作会社、警備会社などが主な就職先です。ドローン専業の会社だけでなく、ドローン部門を持つ事業会社も狙い目です。
  3. ポートフォリオ:趣味で撮影した空撮映像などをまとめたポートフォリオがあると、意欲とセンスをアピールできます。

ドローン操縦士として成功するための心構え

プロとして最も重要なのは「安全第一」の精神です。

クライアントの要望であっても、天候や現場状況が危険であれば「飛ばさない勇気」を持つことが信頼につながります。また、ドローン技術や法規制は日々進化しているため、常に最新情報を学び続ける姿勢が必要です。

スクール選びでは、実地試験が免除される「登録講習機関」かどうかを確認しましょう。

ドローン操縦を副業にするには?案件獲得と報酬のリアル

本業を持ちながら、週末などを利用してドローン操縦を副業にする人も増えています。

副業でドローン操縦をするメリット・デメリット

  • メリット:好きなことを仕事にできる、機材購入費を経費にできる可能性がある、本業以外のスキルが身につく。
  • デメリット:機材の初期投資(数十万円〜)がかかる、天候によりスケジュール調整が難しい、万が一の事故リスクがある。

どんな案件がある?副業の報酬相場と稼ぎ方

副業で扱いやすい案件と報酬の目安(事例)は以下の通りです。

  • 不動産・竣工写真の空撮:月収プラス10万円程度の事例あり。物件の外観や眺望を撮影します。
  • イベント・結婚式の空撮:単発案件として募集されることがあります。
  • 点検・調査の補助:被災状況の調査などで日給5〜10万円といった事例もありますが、専門性が求められます。

※報酬は案件の規模や個人のスキルにより大きく変動します。

案件獲得のための営業戦略とポートフォリオ作成

待っているだけでは案件は来ません。能動的な営業が必要です。

  • マッチングサイトの活用:「ミツモア」や「ココナラ」などのスキルシェアサービスや、ドローン専門のマッチングサイトに登録します。
  • SNS・YouTubeでの発信:自身の撮影した映像を公開し、クオリティを可視化します。これがポートフォリオ代わりになります。
  • 地域の繋がり:地元の不動産会社やイベント主催者に直接営業をかけるのも有効です。

副業ドローン操縦で注意すべき法規制と保険

副業であってもプロとしての責任は同じです。

  • 飛行許可承認申請:人口集中地区や夜間飛行など、航空法で規制された飛行を行う場合は、国土交通省への許可申請が必須です(DIPS 2.0を使用)。
  • 賠償責任保険:操作ミスや機体トラブルによる対人・対物事故に備え、業務用ドローン保険への加入は必須です。個人向けのラジコン保険では業務利用が補償されない場合があるため注意してください。

副業であっても、業務用保険への加入と適切な許可申請は必須条件です。

ドローン操縦士の将来性・需要と業界の最新動向

ドローン業界は過渡期にあり、今後さらなる市場拡大が予測されています。

法改正と技術革新がもたらす市場拡大

2022年の航空法改正による「レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)」の解禁は、ドローン物流や都市部での警備など、新たなビジネスモデルの可能性を広げました。

技術面でも、バッテリー性能の向上や通信技術(5G/6G)の進化により、より長時間・長距離の飛行が可能になりつつあります。

今後ドローン操縦士の需要が高まる分野

特に需要拡大が見込まれるのは以下の分野です。

  • インフラメンテナンス:高度経済成長期に作られたインフラの一斉老朽化に伴い、点検業務の需要は右肩上がりです。
  • 物流・配送:過疎地や災害時の物資輸送から始まり、将来的には都市物流への展開が期待されます。
  • 防災・災害対応:災害時の状況把握や被災者捜索において、ドローンの即応性が評価されています。

AI・自動操縦時代におけるドローン操縦士の役割と専門性

「AIによる自動操縦が進めば、操縦士は不要になるのでは?」という懸念もあります。確かに単純な飛行は自動化されますが、以下の役割で人間は必要とされ続けます。

  • イレギュラー対応:突発的な強風や機体トラブル時の緊急回避操作。
  • 運行管理:複数のドローンを監視し、安全に運行させる管理業務
  • クリエイティブ:AIには難しい、人の心を動かす構図や演出意図を持った撮影。

AI時代には、ただ飛ばすだけでなくシステム全体を管理・運用できる専門性が求められます。

まとめ

ドローン操縦士は、テクノロジーの進化と共に成長を続ける将来性豊かな職業です。

  • 仕事内容:空撮だけでなく、測量、点検、農業など産業用途が拡大中。
  • 年収:平均400万円前後だが、専門スキルや資格(一等など)により高収入が可能。
  • 始め方:スクールでの資格取得が近道。未経験からは関連企業への就職が一般的。
  • 副業:不動産空撮などで月数万円〜の収入が可能だが、法規制と安全管理の徹底が必須。

未経験からでも、正しい知識と技術を身につければ、空の産業革命の担い手になることができます。

まずはドローンスクールの説明会に参加したり、トイドローンに触れてみたりすることから、最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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