建設現場での測量、インフラ設備の点検、災害時の状況把握など、ビジネスの現場でドローンの活用が急速に進んでいます。
その中心に存在するのが、世界的なシェアを持つDJIの産業用ドローンです。
「自社の業務にドローンを導入したいが、どのモデルを選べばいいかわからない」「最新のMatriceシリーズは何が進化したのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、テック総合メディア「FlyMovie Tech」が、DJI産業用ドローンの全体像と最新情報を網羅的に解説します。
最新フラッグシップ機「Matrice 400」や小型産業機の新星「Matrice 4シリーズ」の技術革新から、用途別の選び方、導入時の注意点まで、初心者にも分かりやすく整理しました。
この記事を読めば、DJI産業用ドローンのラインナップを正しく理解し、自社の課題解決に最適な一台を見つけるための知識が得られます。
DJI産業用ドローンとは?最新動向と進化のポイント
DJI(ディー・ジェイ・アイ)は、コンシューマー向けだけでなく、産業用ドローン(エンタープライズ)分野でも業界を牽引する存在です。
ここでは、なぜDJIが選ばれるのか、そして直近で発表された注目すべき技術革新について解説します。
なぜDJI産業用ドローンが選ばれるのか:市場シェアと強み
DJIの産業用ドローンが多くの現場で採用されている背景には、圧倒的な技術力と製品ラインナップの広さがあります。
主な強みは以下の通りです。
- 高度な飛行安定性:独自の飛行制御技術により、強風下や複雑な環境でも安定した飛行が可能です。
- 映像伝送技術:「O3 Enterprise」などの伝送システムにより、遠距離でも遅延の少ないクリアな映像を確認できます。
- RTK(リアルタイムキネマティック)対応:センチメートル単位の高精度な測位が可能で、測量や精密点検に不可欠な機能を提供しています。
- 豊富なペイロード:カメラやセンサー(Zenmuseシリーズ)を交換・選択できるモデルが多く、一台で多様な任務に対応できます。
※具体的な市場シェアの数値については公式情報に明記されていませんが、建設、インフラ、公共安全などの分野でデファクトスタンダード(事実上の標準)として広く認知されています。
【速報】最新モデル発表!技術革新と旧モデルからの進化点を徹底解説
近年、DJIは産業用ドローンのラインナップを刷新し続けています。特に注目すべき最新モデルは以下の2つです。
1. Matrice 400 (M400)
Matrice 350 RTKの後継となる、エンタープライズ向けフラッグシップ機です。
- 障害物検知の強化:新たにLiDARとミリ波レーダーを搭載し、夜間や悪条件下でも高い安全性を確保しています。
- 飛行性能:最大飛行時間は約59分に達し、最大6kgのペイロード(積載量)に対応します。
- 対応センサー:最新の「Zenmuse H30T」や「Zenmuse L3」などの高性能センサーを搭載可能です。
2. Matrice 4シリーズ (Matrice 4E / 4T)
2025年1月にリリースされた新型で、現行のMatriceシリーズの中で最も小型のモデルです。
- 位置づけ:従来の「Mavic 3 Enterpriseシリーズ」の後継的な立ち位置ですが、Matriceの名を冠しています。
- 特徴:携帯性に優れ、最大飛行高度は6000mに達します。ただし、保護等級(防塵防滴性能)は備えていない点に注意が必要です。
最新モデルはセンサー性能や飛行時間が大幅に向上していますが、用途に応じた保護等級の確認が重要です。
DJI産業用ドローンシリーズ全体像:製品構成を理解する
DJIの産業用ドローンは、用途とサイズによって大きく以下のカテゴリーに分類されます。
- 大型・多機能型(Matrice 300/350/400シリーズ)
カメラやセンサーを交換でき、重量物の積載や長時間飛行が可能なフラッグシップモデル。 - 中型・高耐久型(Matrice 30シリーズ)
折りたたみ可能で携帯性を持ちつつ、防塵防滴性能(IP55等)を備え、過酷な環境に対応するモデル。 - 小型・携帯型(Mavic 3 Enterprise / Matrice 4シリーズ)
手軽に持ち運べ、迅速な展開が可能なモデル。測量や簡易点検に適しています。 - 物流・運搬型(FlyCartシリーズ)
重量物の輸送に特化したモデル。 - ドローンポート(DJI Dockシリーズ)
自動離発着・充電を行い、遠隔操作での無人運用を実現するステーション。最新の「DJI Dock 3」はMatrice 4D/4TDを搭載可能です。
【用途別】DJI産業用ドローン主要ラインナップと特徴
業務内容によって最適なドローンは異なります。ここでは主要なシリーズごとの特徴と適した用途を解説します。
多用途に対応する主力モデル「Matriceシリーズ」
Matrice(マトリス)シリーズは、DJI産業用ドローンの中心的存在です。
- Matrice 400 / 350 RTK:
カメラの交換が可能で、測量用LiDAR、赤外線カメラ、ズームカメラなど、目的に応じてカスタマイズできます。インフラ点検、大規模測量、捜索救助など、あらゆるプロフェッショナルな現場に対応します。 - Matrice 30 / 30T:
バックパックに収納できるサイズながら、高性能なカメラを内蔵しています。「T」モデルはサーマル(赤外線)カメラを搭載。防塵防滴性能が高く、雨天時の災害対応などでも力を発揮します。 - Matrice 4シリーズ (4E / 4T):
最新の小型モデル。「4E」は測量・マッピング向け、「4T」はサーマルカメラ搭載で点検・捜索向けです。Mavicシリーズのような手軽さと、Matriceシリーズの信頼性を融合させています。
携帯性と高機能を両立「Mavic Enterpriseシリーズ」
Mavic(マビック)3 Enterpriseシリーズは、一般向けのMavic 3をベースに産業用機能を強化したモデルです。
- Mavic 3E (Enterprise):
メカニカルシャッターを搭載し、高速かつ歪みのない写真撮影が可能です。RTKモジュール(別売)を装着することで、センチメートルレベルの測量が可能です。 - Mavic 3T (Thermal):
サーマルカメラを搭載しており、夜間の捜索救助や、ソーラーパネルのホットスポット点検などに適しています。 - 共通の特徴:
最大飛行時間は45分。コンパクトで持ち運びやすく、現場到着後すぐに飛行を開始できる機動力が魅力です。
Mavic 3Eは測量、Mavic 3Tは点検・捜索と、目的に応じて明確にモデルが分かれています。
重量物運搬に特化「DJI FlyCartシリーズ」
「DJI FlyCart(フライカート)」は、物資輸送を目的としたシリーズです。
山間部への資材運搬や、災害時の緊急物資輸送など、従来のドローンでは難しかった重量物の空輸を可能にします。
※詳細なスペックや最大積載量については、公式情報に詳細な記述がないため、導入を検討される際は正規代理店への確認が必要です。
プロフェッショナル向けペイロード(Zenmuseシリーズ)と周辺機器
Matrice 400や350 RTKなどの大型機は、カメラ(ペイロード)を付け替えることで性能を最大化します。
- Zenmuse H30T:最新の多機能カメラユニット。広角、ズーム、赤外線、レーザー距離計などを統合しています。
- Zenmuse L3:高精度なLiDAR(レーザー測量機)。植生を透過して地形データを取得する際に有効です。
- Zenmuse P1:フルサイズセンサー搭載の測量用カメラ。
- その他:スピーカー(Zenmuse V1)やスポットライト(Zenmuse S1)など、警備や救助活動に役立つアクセサリーもあります。
また、操作には900MHz帯通信に対応したコントローラー「DJI RC Plus 2 Enterprise Enhanced」や、バッテリー管理を行う「BS100インテリジェントバッテリーステーション」などが使用されます。
産業別活用事例:DJIドローンが現場の課題をどう解決するか
DJIのドローンは、具体的にどのような現場で役立っているのでしょうか。主な産業分野ごとの活用イメージを紹介します。
測量・建設現場での高精度データ取得とコスト削減事例
建設現場では、Mavic 3EやMatrice 4E、Matrice 350 RTK + Zenmuse L3などが活躍しています。
- 地形測量:上空から撮影した写真やレーザーデータをもとに、短時間で広範囲の3次元地形モデルを作成できます。従来の手法に比べ、工数を大幅に削減可能です。
- 進捗管理:定期的に現場を空撮することで、工事の進み具合を可視化し、関係者間で共有しやすくなります。
インフラ・設備の点検効率化と安全性向上事例
橋梁、鉄塔、ビルなどの点検には、Matrice 30TやMatrice 400が適しています。
- 高所点検:足場を組むことなく、高倍率ズームカメラでクラック(ひび割れ)やサビを確認できます。作業員の高所作業リスクを低減します。
- ソーラーパネル点検:サーマルカメラ搭載機(Mavic 3Tなど)を使用すれば、発熱している異常箇所(ホットスポット)を上空から瞬時に発見できます。
物流・災害支援における迅速な物資輸送と対応事例
災害時や緊急時には、迅速な状況把握と物資輸送が求められます。
- 捜索救助:赤外線カメラを使って、夜間や草木に隠れた要救助者を体温で検知します。
- 状況把握:人が立ち入れない被災地の状況を、安全な場所から高解像度映像で確認します。
- 物資輸送:FlyCartシリーズのような運搬用ドローンを用いれば、孤立した地域へ水や食料、医薬品を届けることが期待されています。
農業分野での精密農業と生産性向上事例
農業分野では、作物の生育状況の把握にドローンが利用されています。
マルチスペクトルカメラ(Mavic 3 Multispectralなど)を使用することで、肉眼では分からない植物の活性度(NDVIなど)を可視化し、肥料の散布計画に役立てる「精密農業」が実践されています。
※農薬散布用ドローン(Agrasシリーズ)も存在しますが、本記事で紹介している産業用(Enterprise)とはカテゴリーが異なる場合があります。
ドローン導入により、危険な作業の代替や、目視では不可能なデータの取得が可能になります。
DJI産業用ドローン導入ガイド:最適なモデルを選ぶポイントと費用
導入を成功させるためには、機体選びだけでなく、費用や法規制への理解も重要です。
目的・用途・予算で変わる!失敗しないドローンの選び方
ドローン選びの第一歩は「何をしたいか」を明確にすることです。
- 測量がメイン:メカニカルシャッター搭載の「Mavic 3E」または「Matrice 4E」。大規模なら「Matrice 350 RTK + Zenmuse P1/L3」。
- 点検・捜索がメイン:サーマルカメラ搭載の「Mavic 3T」、「Matrice 30T」、「Matrice 4T」。
- 悪天候でも飛ばしたい:防塵防滴性能が高い「Matrice 30シリーズ」や「Matrice 350 RTK」。
- 携帯性重視:「Mavic 3 Enterpriseシリーズ」や「Matrice 4シリーズ」。
導入にかかる総費用(本体・ペイロード・ソフトウェア・保守)の目安
産業用ドローンの導入費用は、機体本体の価格だけではありません。以下の要素を考慮して予算を組む必要があります。
- 機体本体:モデルにより価格は大きく異なります。
- ペイロード(カメラ等):Matrice 350/400などの場合、カメラは別売りのケースが多く、高性能なものは高額になります。
- バッテリー・充電器:業務で連続飛行させるには、予備バッテリーが複数セット必要です。
- ソフトウェア:測量解析ソフト(DJI Terraなど)やフリート管理ソフトのライセンス料。
- 保守・保険:万が一の事故や故障に備えた保険や保守プラン。
※具体的な金額については公式情報に明記がないため、正規代理店に見積もりを依頼することをおすすめします。
導入前に知るべき法規制、ライセンス、トレーニングの注意点
ドローンを業務で利用するには、航空法などの法規制を遵守する必要があります。
- 飛行許可・承認:人口集中地区の上空や夜間飛行など、特定の条件下では国土交通省への許可申請が必要です。
- 機体登録:100g以上のドローンは国への登録とリモートIDの搭載が義務付けられています。
- 操縦ライセンス:国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)を取得することで、飛行許可申請の一部免除などのメリットがあります。
最新モデルと旧モデルの比較:買い替え・追加導入の判断基準
最新の「Matrice 4シリーズ」と、実績のある「Mavic 3 Enterpriseシリーズ」や「Matrice 30シリーズ」で迷う場合、以下の点を比較してください。
- 保護等級:Matrice 4シリーズには保護等級(防塵防滴)がないとされています。雨天や粉塵の多い現場では、Matrice 30Tなどが有利な場合があります。
- センサー性能:最新モデルは障害物検知能力やカメラ性能が向上しています。より安全に、より高画質なデータを求めるなら最新モデルが推奨されます。
機体本体だけでなく、予備バッテリーやソフトウェア、保守費用を含めたトータルコストで検討しましょう。
導入後も安心:DJI産業用ドローンの運用とサポート体制
産業用ドローンは導入して終わりではありません。安全に運用し続けるための体制づくりが重要です。
安全な運用を支えるアフターサポートとメンテナンスプログラム
DJIや正規代理店では、産業用ドローン向けの保守サービス(DJI Enterprise Careなど)を提供しているのが一般的です。
これには、衝突や水没時の機体交換サービスや、定期点検サービスが含まれる場合があります。業務でドローンを使用する場合、ダウンタイム(稼働停止時間)を最小限にするために、こうしたサポートへの加入を強く推奨します。
操縦トレーニングとスキルアップ支援で確実な運用を
高機能なドローンを使いこなすには、操縦技術だけでなく、自動飛行設定やデータ解析のスキルも必要です。
多くの代理店が、導入企業向けの講習会やトレーニングプログラムを実施しています。特に測量や赤外線点検などの専門分野では、正しい知識がないと正確なデータが得られないため、専門的なトレーニングを受けることが望ましいです。
DJI産業用ドローンの将来展望と技術革新への期待
DJIは「DJI Dock 3」のようなドローンポート(自動離発着基地)の展開を進めています。これにより、ドローンが自動で充電し、定期的に巡回点検を行う「完全自動化」の未来が現実のものとなりつつあります。
また、AIによる画像解析技術の進化により、点検業務のさらなる効率化が期待されています。
業務でのダウンタイムを防ぐため、保守サービスへの加入と専門トレーニングの受講は必須と言えます。
まとめ
DJIの産業用ドローンは、現場の課題を解決するための強力なツールです。
- 最新モデル:フラッグシップの「Matrice 400」や、小型高機能な「Matrice 4シリーズ」が登場し、選択肢が広がっています。
- 選び方:測量、点検、物流など、用途に合わせて「Matrice」「Mavic Enterprise」「FlyCart」から最適なシリーズを選定しましょう。
- 導入準備:機体費用だけでなく、法規制への対応やトレーニング、保守サポートも含めた計画が必要です。
テクノロジーの進化により、ドローンは「空飛ぶカメラ」から「空飛ぶロボット」へと進化しています。ぜひ自社のビジネスに最適な一台を見つけ、業務効率化と安全性向上を実現してください。
専門家による無料相談・デモンストレーションのご案内
具体的な機種選定や見積もりについては、DJIの正規販売代理店へ相談することをおすすめします。実機によるデモンストレーションを実施している場合も多いため、実際に飛行性能やカメラの画質を確認してみると良いでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 産業用ドローンと一般用ドローンの違いは何ですか?
A. 産業用は、赤外線カメラやズームカメラなどの特殊なセンサーを搭載でき、自動飛行機能やデータ解析ソフトとの連携が強化されています。また、耐久性やサポート体制も業務利用を前提に設計されています。
Q. 雨の日でも飛ばせますか?
A. 機種によります。「Matrice 350 RTK」や「Matrice 30シリーズ」などは高い防塵防滴性能(IP等級)を持っていますが、最新の「Matrice 4シリーズ」など一部モデルは対応していない場合があるため、仕様確認が必要です。
Q. 資格は必要ですか?
A. ドローンを購入・飛行させること自体に必須の免許はありませんが、業務で飛行させる場合、国土交通省への許可申請が必要になるケースが大半です。国家資格(無人航空機操縦士)を取得しておくと、手続きがスムーズになり、信頼性も向上します。


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