DJI製品には、空撮や産業用途で活躍するドローンから、日常の思い出を残すためのハンドヘルドカメラまで、多岐にわたるラインナップが存在します。
その中でも、産業用ドローンの運用に不可欠なアプリケーション「DJI Pilot 2」と、手軽にプロ並みの映像が撮れる小型カメラ「DJI Pocket 2」は、それぞれの分野で高い評価を得ています。
一見すると全く異なるカテゴリの製品ですが、どちらもDJIが誇る高度な制御技術とエコシステムの上に成り立っています。
本記事では、産業用アプリ「DJI Pilot 2」の機能や使い方と、クリエイター向けカメラ「DJI Pocket 2」の魅力をそれぞれ詳しく解説します。さらに、これら2つの製品がDJIの技術体系の中でどのような位置づけにあるのか、その関連性についても紐解いていきます。
DJI Pilot 2とは?産業用ドローンアプリの基本を徹底解説
DJI Pilot 2は、DJIが提供する産業用ドローン(エンタープライズ機)を制御・管理するための専用アプリケーションです。
業務効率を最大化するために設計されており、複雑なミッションを直感的に遂行できるのが特徴です。
DJI Pilot 2の概要と前バージョン「DJI Pilot」との違い
DJI Pilot 2は、産業用ドローンの操縦、飛行ルートの計画、機体設定、データ管理を一元的に行うための総合プラットフォームです。
前バージョンの「DJI Pilot」は主にMavic 2 Enterpriseシリーズなどをサポートしていましたが、DJI Pilot 2ではインターフェースが刷新され、より高度な産業機に対応しています。
具体的には、DJI Pilot 2は「DJIスマート送信機(業務用)」や「DJI RC Plus」といった産業用送信機に標準でインストールされており、機体を箱から出してすぐに業務に使用できるよう設計されています。
画面構成もシンプルかつ直感的になり、飛行中の安全性と操作性が向上しています。
産業用送信機に標準搭載されており、箱から出してすぐに業務利用が可能です。
主な機能と特徴:ミッション計画からフライト管理まで
DJI Pilot 2の最大の特徴は、高度な自動航行機能とミッション計画機能です。
- ウェイポイント飛行:マップ上で通過点を個別に指定し、各ポイントでの高度、速度、カメラのアクション(撮影や角度変更)を詳細に設定できます。
- エリアルート(面的な飛行):測量などで使用される機能で、マップ上で対象エリアを範囲指定すると、システムが最適な飛行ルート(ジグザグ飛行など)を自動生成します。
- ライブミッション記録:パイロットが手動で飛行・撮影した操作を記録し、次回以降に全く同じルートとアクションを自動で再現させることができます。
これにより、定期点検業務の効率が飛躍的に向上します。
DJI Pilot 2が対応する主要な産業用ドローンシリーズ
DJI Pilot 2は、主に以下の最新産業用ドローンシリーズに対応しています。
- Matrice 350 RTK / Matrice 300 RTK:大型の産業用プラットフォームで、測量やインフラ点検に使用されます。
- Matrice 30 / 30T:携帯性と性能をバランスさせた中型機で、捜索救助や警備などに適しています。
- Mavic 3 Enterpriseシリーズ:小型で展開が早い産業用機体で、手軽な点検や測量に利用されます。
これらの機体を使用する際は、対応する送信機(DJI RC Plusなど)を通じてDJI Pilot 2を利用します。
どんなユーザーにおすすめ?産業用途での活用シーン
このアプリは、ドローンを趣味ではなく「業務ツール」として使用するプロフェッショナルに向けられています。
- 測量士:正確な写真測量のためのルート作成と自動撮影。
- インフラ点検業者:橋梁や鉄塔など、複雑な構造物の定期点検ルートの自動化。
- 消防・警察・救助隊:災害現場での状況把握や、赤外線カメラを用いた捜索活動。
DJI Pilot 2のダウンロードから使い方まで網羅的に解説
産業用アプリであるため、一般的なアプリストアからのダウンロードとは手順が異なる場合があります。ここでは導入から基本的な操作フローを解説します。
DJI Pilot 2アプリのダウンロード方法とインストール手順
DJI Pilot 2は、基本的に対応する産業用送信機(DJI RC Plusなど)にプリインストールされています。そのため、多くの場合は別途ダウンロードする必要はありません。
ただし、アプリのバージョンアップや再インストールが必要な場合は、DJI公式サイトの「ダウンロードセンター」からAPKファイル(Android用インストーラー)をダウンロードし、送信機にインストールします。
一般的なアプリストアにはないため、必ず公式サイトからAPKファイルを入手してください。
アプリの初期設定と基本インターフェースの概要
アプリを起動すると、ホーム画面には機体の接続状況、ミッションフライト、アルバムなどの主要メニューが表示されます。インターフェースは直感的に設計されており、初心者でも迷いにくい構成です。
初期設定で重要なのが「リモートID」の設定です。日本国内でドローンを飛行させる場合、機体登録とリモートIDの書き込みが義務付けられています。
DJI Pilot 2アプリから国土交通省のドローン登録システム(DIPS)のアカウントにログインし、事前登録した機体情報をインポートして機体に書き込むことで、内蔵リモートIDが機能するようになります。
フライトミッション作成と実行の基本フロー
自動航行を行うためのミッション作成は、以下の手順で行います。
- ミッション作成:アプリの「フライトルート」メニューを選択し、新しいルートを作成します。
- ルート設定:マップ上で飛行範囲や通過点(ウェイポイント)をタップして指定します。機体が接続されていなくても、事前にオフィスなどでプランを作成しておくことが可能です。
- パラメータ調整:高度、速度、オーバーラップ率(写真の重なり具合)などを設定します。
- 実行:現場で機体を接続し、作成したルートを選択して飛行開始ボタンを押すと、ドローンが自動で離陸しミッションを遂行します。
フライトルートメニューから直感的に自動航行ミッションを作成できる点が大きなメリットです。
データ管理とファームウェアアップデートの方法
撮影したデータは送信機内のアルバムから確認できるほか、SDカード経由でPCに取り込むことが一般的です。
また、アプリや機体のファームウェアアップデートは、送信機をWi-Fiに接続した状態でアプリ上の通知に従って行います。常に最新の状態に保つことで、新機能の追加やバグ修正が適用され、安全な飛行につながります。
DJI Pocket 2とは?手のひらサイズで高画質を実現するカメラ
ここからは、一般ユーザー向けの製品である「DJI Pocket 2」について解説します。産業用のPilot 2とは異なり、こちらは日常の記録やVlog撮影に特化した小型ジンバルカメラです。
DJI Pocket 2の製品概要と主要スペック
DJI Pocket 2は、ポケットに収まるスティック型のボディに、高性能なカメラと3軸ジンバル(手ブレ補正機構)を一体化した製品です。
重量はわずか117gと非常に軽量で、どこへでも持ち運ぶことができます。
主なスペックとして、1/1.7インチのCMOSセンサーを搭載し、最大6400万画素の写真撮影と4K/60fpsの動画撮影が可能です。小型ながらも大型センサーを搭載しているため、鮮明でノイズの少ない映像を記録できます。
小型ながら高画質を実現する秘密:手ブレ補正と撮影機能
DJI Pocket 2の最大の特徴は、物理的な「3軸メカニカルジンバル」を搭載している点です。
スマートフォンなどの電子式手ブレ補正とは異なり、カメラ自体を物理的に水平に保つため、歩きながらの撮影でも映画のように滑らかな映像が撮れます。
また、被写体を自動で追尾する「ActiveTrack 3.0」機能を搭載しており、動き回る子供やペット、あるいは自撮りをする際の自分自身を常にフレームの中心に捉え続けることができます。
DJI Mimoアプリとの連携で広がるクリエイティブな可能性
DJI Pocket 2は単体でも撮影可能ですが、専用アプリ「DJI Mimo」をインストールしたスマートフォンと接続することで、その真価を発揮します。
スマホの大画面をモニターとして使用できるほか、詳細な設定変更、撮影データの確認、そして高度な編集機能が利用可能になります。
スマホ接続でDJI Mimoアプリを使えば、大画面での確認や高度な編集が可能です。
どんなシーンで活躍する?おすすめの活用例とターゲット層
手軽さと高画質を両立しているため、以下のようなシーンに最適です。
- Vlog撮影:自撮りモードへの切り替えがスムーズで、顔追尾機能も優秀です。
- 旅行の記録:荷物にならず、歩き撮りでも映像がブレません。
- 日常のスナップ:起動が速いため、子供のふとした瞬間を逃さず撮影できます。
DJI Pocket 2で差をつける!撮影術と活用シーンを徹底解説
DJI Pocket 2の機能を使いこなし、より魅力的な映像を撮影するためのテクニックを紹介します。
VLOGや旅行で役立つ!おすすめの撮影モードとテクニック
- ストーリーモード:DJI Mimoアプリに搭載されている機能で、用意されたテンプレートに合わせて数秒の動画をいくつか撮影するだけで、音楽やエフェクトがついたプロっぽいショートムービーが自動生成されます。
- タイムラプス / モーションラプス:固定した位置から時間の経過を早回しで記録します。モーションラプスでは、カメラの向きを自動で動かしながら撮影できるため、動きのあるダイナミックな映像になります。
- パノラマ撮影:180度パノラマや3×3パノラマなど、広範囲を一枚の写真に収めることができます。
特にストーリーモードは、AI編集機能でプロ並みのショートムービーを自動生成してくれるため、編集初心者にもおすすめです。
表現力を拡大するアクセサリーの選び方と使い方
DJI Pocket 2には豊富なアクセサリーが用意されています。
- Do-It-Allハンドル:Wi-Fi接続、Bluetooth接続、ワイヤレスマイクレシーバー機能などを拡張する多機能ハンドルです。
- 広角レンズ:マグネットでレンズ前に装着し、より広い画角で風景や自撮りを撮影できます。
- ワイヤレスマイク:ケーブルレスでクリアな音声を収録でき、風切り音を防ぐウィンドスクリーンも付属しています。
ワイヤレスマイクを活用すれば、風切り音を抑えたクリアな音声収録が可能です。
DJI Mimoを使った編集と共有のワークフロー
撮影後は、スマートフォンを接続してDJI Mimoアプリを起動します。
アプリ内のエディターを使えば、動画のトリミング、音楽の追加、フィルター適用などが直感的なタッチ操作で行えます。編集が完了した動画はそのままスマートフォンに保存され、SNSなどへ即座にシェアすることが可能です。
作例で見るDJI Pocket 2の映像表現とクリエイティブな可能性
DJI Pocket 2で撮影された映像は、手ブレが極限まで抑えられているため、視聴者に「プロが撮ったような」印象を与えます。
ローアングルからペット目線で撮影したり、延長ロッドを使って高い位置から撮影したりと、小型カメラならではの自由なアングルでクリエイティブな表現が可能です。
DJI Pilot 2とDJI Pocket 2:DJIエコシステムにおける位置づけと関連性
産業用アプリと一般向けカメラ。これらはDJIというブランドの中でどのように共存しているのでしょうか。
各製品のターゲットと役割の違いを明確化
- DJI Pilot 2:ターゲットは「企業・自治体・プロパイロット」。役割は「業務の効率化、安全な飛行管理、正確なデータ収集」です。
- DJI Pocket 2:ターゲットは「一般消費者・Vlogger・クリエイター」。役割は「日常の記録、映像表現の追求、手軽な撮影体験」です。
このように、両者はターゲット層と使用目的が明確に分かれています。
DJIエコシステムにおける両者の関係性と技術的共通点
ターゲットは異なりますが、技術的な根幹は共通しています。
- ジンバル制御技術:ドローンのカメラを安定させる技術は、そのままPocket 2の手ブレ補正に応用されています。
- 映像伝送とアプリ連携:ドローンで培われた映像伝送技術や、スマホアプリとハードウェアをシームレスに連携させるUI/UX設計は、両製品に共通するDJIの強みです。
- AI認識技術:ドローンの障害物検知や追尾機能に使われる画像認識技術は、Pocket 2のActiveTrack(被写体追尾)にも活かされています。
異なるDJI製品間の連携の可能性とシナジー
現状では、DJI Pilot 2(産業用ドローン)とDJI Pocket 2が直接連携する機能はありません。しかし、同じ「DJIアカウント」で管理されるため、サポートや保証サービス(DJI Care Refreshなど)の仕組みは共通しています。
また、ドローンで空撮した映像と、Pocket 2で地上撮影した映像を組み合わせることで、空と陸の両視点を持ったリッチな映像作品を作ることができます。
あなたの用途に合うのはどちら?購入判断のポイント
- 空からの視点で、点検や測量などの「仕事」をしたい場合:DJI Pilot 2に対応した産業用ドローン(MatriceシリーズやMavic 3 Enterprise)が必要です。
- 地上で、旅行や日常を「きれいな映像」で残したい場合:DJI Pocket 2が最適です。
業務効率化ならPilot 2、日常の記録ならPocket 2と目的で明確に分かれます。
まとめ
DJI Pilot 2に関するFAQ
Q. DJI Pilot 2は自分のスマホにインストールできますか?
A. 基本的には「DJI RC Plus」などの産業用送信機向けに設計されています。一般的なスマホへのインストールは推奨されておらず、Google Playストアなどでも配信されていません。
Q. 対応しているドローンは?
A. Matrice 350 RTK、Matrice 30/30T、Mavic 3 Enterpriseシリーズなどの産業用機体に対応しています。
DJI Pocket 2に関するFAQ
Q. バッテリーはどれくらい持ちますか?
A. 1080p動画撮影時で最大約140分の連続撮影が可能です(設定や環境により異なります)。
Q. スマホがなくても撮影できますか?
A. はい、本体にタッチ画面がついているため、単体でも撮影や設定変更が可能です。スマホを接続するとより詳細な操作ができます。
本記事のまとめ
本記事では、産業用ドローンアプリ「DJI Pilot 2」と小型ジンバルカメラ「DJI Pocket 2」について解説しました。
- DJI Pilot 2は、業務効率化と安全運航を支えるプロフェッショナルなツールです。
- DJI Pocket 2は、誰でも手軽にプロ並みの映像が撮れるクリエイティブなカメラです。
これらはDJIが持つ「制御技術」「映像技術」「ソフトウェア開発力」という共通の基盤から生まれた製品です。
それぞれの特性を理解し、ご自身の目的に合ったツールを選んでみてください。テクノロジーの力で、空の業務も地上の思い出も、より豊かになるはずです。


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