※2022年3月に更新しました。

raytrek G5-Rのスペック ドスパラ公式サイトより
Ryzen 7 4800H搭載のクリエイターノートパソコン raytrek G5-Rをドスパラから借りて使ってみました。
グラフィックカード GeForce GTX 1650 Tiを搭載して10万円前半のお手頃な価格。
ドスパラからRyzen 7 4800H搭載のクリエイターノートパソコン raytrek G5-Rを借りて動画編集の検証しましたよ。
ノートPCでRyzen 7いい。
インテル11世代搭載モデルの登場で、Ryzen 7 4800H搭載PCが税込み13万円台に☺️
いやもう13万円ちょいで得られるスペックとは思えませんがな。 pic.twitter.com/dtkfShzGJI
— おーとふぉーかす@ブログと動画編集でメシを食う (@sonycameralove) August 18, 2021
気になる動画編集性能を検証してみることにしましたよ!

ドスパラ raytrek G5-R
CPU:Ryzen 7 4800H
メモリ:16GB
グラフィックス:GeForce GTX 1650 Ti 4GB GDDR6(4GB)
ストレージ:M.2 SSD NVMe 500GB
液晶モニター:15.6型 フルHDノングレア液晶
119,980円(税込)
raytrek G5-R使ってみた感想

3画面表示にしたraytrek G5-R
まずはraytrek G5-Rを使ってみた感想から。
4K30P(8bit 4:2:0)の動画編集が快適に行えます。
「ノートパソコンだから」と侮れないスペックです。
内蔵GPU搭載のRyzen 7 4800Hがイイ仕事をしているようで、画像処理性能が高め。
なのに税込み15万円以下で、動画編集用のノートPCを安価で手に入れたい方にとってありがたい価格設定です。
またミニDisplayPortを2つとHDMI端子も備えているため、映像外部出力の能力は抜群です。
一方でバッテリーの持ちが短いのが欠点です。製品仕様で4.1時間。動画用途なら3時間持たない感じですね。
ちなみにノートパソコンはACアダプター未使用時にパフォーマンスが落ちるため、動画編集用途では電源コンセントに接続して使用します。
なので、常にACアダプターを持ち歩く使い方なら、バッテリーの持ちを心配する必要はありません。
raytrek G5-Rの特長

ドスパラ ノートパソコン(2021年8月)の商品ラインナップ
ドスパラのクリエイター向けノートパソコンの商品が入れ替わっています。
動画編集やCG制作向けのパソコンにインテルCPUを搭載したパソコンが15~27万で取り揃えられています。
一方で15万円以下で購入できるノートパソコンが2種類。
カジュアルユーザー向けのノートパソコンという位置づけです。
この記事で検証するノートパソコンはRyzen 7 4800Hを搭載したカジュアルユーザー向けノートパソコンの一つで、低価格な設定です。
ドスパラのノートPCを比較
raytrek G5-R | raytrek R5-TA5 |
CPU:Ryzen 7 4800H | CPU:Intel Core i7-11800H |
メモリ:16GB | メモリ:16GB |
グラフィックス:GeForce GTX 1650 Ti 4GB GDDR6 | グラフィックス:GeForce RTX 3050 4GB GDDR6 |
ストレージ:M.2 SSD NVMe 512GB | ストレージ:M.2 SSD NVMe 512GB |
重量:2.00kg | 重量:2.00kg |
厚さ:20.0mm | 厚さ:20.0mm |
価格:119,980円(税込) | 価格:152,980円(税込) |
ドスパラのクリエイター向けノートパソコン raytrekシリーズでは税込み12万円台からグラフィックカードを搭載しています。
raytrek G5-Rと価格帯が近いraytrek R5-TA5と比較すると、1.5万円の差でCPUとグラフィックカードが変更となります。
その他の仕様は同等なので、自分のクリエイティブ用途に対応できるなら価格が安いraytrek G5-Rを選びたいところですね。
CPUとグラフィックカードの性能を比較してみましょう。
1raytrek G5-RのCPU Ryzen 7 4800Hの性能

raytrek G5-Rの外観
raytrek G5-Rに搭載のCPUはAMD Ryzen 7 4800Hです。
8コア16スレッドのCPUでRyzen第三世代(Zen 2アーキテクチャー)のノートPC用ハイパフォーマンスモデルです。
インテル第10世代のノートPC用ハイパフォーマンスモデル Core i7-10870Hを超える性能を持ったことで注目されました。

AMD Ryzen 7 4800H vs Intel Core i7-11800H ベンチマーク比較 参考:PassMark
Ryzen 7 4800HはインテルCPUが第11世代に更新されたことで低価格帯のノートパソコンに搭載されるようになっています。
PassMarkで性能比較してみると、Ryzen 7 4800HとCore i7-11800Hの差はCore i7-10870Hとの間に生じた性能差ほど大きくないのも注目しておきたいポイントです。
またRyzen 7 4800HはGPUコア数が7コアとなるAMD Radeon グラフィックスを内蔵しています。
2raytrek G5-RのGPU GeForce GTX 1650 Tiの性能

raytrek G5-R
raytrek G5-RのグラフィックカードはGeForce GTX 1650 Ti(モバイル用GPU)を搭載しています。
グラフィックカードのエントリーモデルでビデオメモリは4GB。Premiere Proの推奨仕様はクリアしています。

GTX 1650 Ti とRTX 3050 Laptop GPU 性能比較 参考:PassMark
PassMarkのベンチマーク(ベンチソフトはG3D MARK)を確認してみました。
GeForce GTX 1650 Ti(モバイル用GPU)の上にGeForce RTX 3050 Laptop GPU、GeForce GTX 1660 Ti(モバイル用)と続きます。
PCMARK10でベンチマークを計測してみたスコアは5549となりました。
その他のスコアは以下の通りです。
写真編集スコア:9022
レンダリングのスコア:8603
ビデオ編集スコア:4360
またDaVinci Resolve 17に付属のフリーソフト Blackmagic RAW Speed Testを使ってraytrek G5-RがBlackmagic RAWにどの程度対応できるか計測しました。
CPUは6K30Pまで対応でき、グラフィックス(CUDA)は8K30Pまで対応できるという結果が出ました。
3raytrek G5-Rのメモリとディスク(SSD)性能

フルHDのノングレア液晶搭載 raytrek G5-R
raytrek G5-Rのメモリは16GBでPremiere Proの推奨環境をクリアしています。
メモリーは最大64GBまでアップグレード出来るようになっています。

raytrek G5-R のメモリーアップグレードは最大64GB 価格は2021年8月時点で変更の可能性あります
4K解像度の動画編集をしたい方は32GBまでアップグレードするのがおすすめです。
また起動ディスク(Cドライブ)にはNVMe対応のM.2 SSD PCIe 3.0が512GB容量で搭載しています。
CrystalDiskMarkでraytrek G5-RのM.2 SSDの読み書き速度を調べてみました。
Cドライブに搭載のM.2 SSD NVMe の読み込み速度(シーケンシャルリード)は3,433MB/s、書き出し速度(シーケンシャルライト)は2,443MB/sという結果です。
ランダムリードは1,558MB/s、ランダムライトは2,387MB/sとなっています。
raytrek G5-Rに搭載のM.2 NVMe SSDは読み書き速度が速くPremiere Proがサクサク快適に作業を進められます。
ドスパラのノートPCは全般的に性能の良いSSDが採用されており、今回も期待通りの性能を持っておりました。
4raytrek G5-Rの外観
動画編集用のノートパソコンを選ぶときにまずチェックしてほしいことがパソコンの接続端子とモニターです。
raytrek G5-Rは必要な映像出力端子を3つ揃え、LAN端子もあるので私の採点では100点満点です。
映像制作者に必要な端子は全て揃っています。
インターフェース(接続端子)

raytrek G5-Rの右側面
raytrek G5-Rは右側面にUSB3.2 Gen 1の端子が2つとSDカードスロットが備わっています。

raytrek G5-Rの左側面
また左側面にはLAN端子とUSB2.0端子、オーディオの入出力端子が備わっています。

raytrek G5-Rの背面
raytrek G5-Rの背面にはMini Display Portが2つ、HDMI 2.0端子、USB3.2 Gen2 Type-Cがそれぞれ1つずつと電源アダプターの差込口が備わっています。

raytrek G5-Rの前面
raytrek G5-Rの厚さは2cmで幅は35.9cm、奥行きは24.4cmです。
無線LAN搭載でWi-Fi6対応、ノートPC本体は1.9kg。専用ACアダプターと合わせて2.46kgとなっています。
液晶モニター

raytrek G5-Rの液晶モニターのベゼル。かなり狭い
raytrek G5-Rの液晶モニターはIPSタイプのフルHD液晶モニターです。
ベゼルは上面が5mm、横幅が6.5mm、底部が2.8mmとかなり狭いのでディスプレイの実用面積は広く使えます。

raytrek G5-Rの反射の程度
色の再現性はsRGBカバー率99%の色域でフルHDノングレア液晶です。
反射も抑えられているので、長時間の動画編集でも疲れにくいです。
またMini DisplayPortとHDMI端子を利用し、最大4画面(raytrek G5-R本体のディスプレイを含む)に拡張することができます。
キーボード

テンキーを備えたraytrek G5-Rのキー配列
raytrek G5-Rはテンキーを備えた日本語配列のキーボードです。
バックライトも備えており、暗所での作業も支障はありません。
キーピッチは19mm、キーストロークは1.5mmほど。一般的な日本語キーボードです。
raytrek G5-Rで動画編集の検証

raytrek G5-Rの動画編集検証で使用したカメラ 左からBMPCC 6K Pro / α7SⅢ / LUMIX G9
それではraytrek G5-Rで4K動画編集を検証してみます。
3種類のカメラで収録した撮影データを使います。
使用した映像データ
✅LUMIX G9 Pro:4K30P・4K60P 4:2:0 8bit(mp4)
✅SONY α7SⅢ:4K60P ALL-I 4:2:2 10bit
✅BMPCC 6K Pro:Blackmagic RAW 6K30P Q5 4:2:2 12bit
Premiere Pro 4K30Pカット編集
まずはPremiere Proで動画編集を実施してみます。
プログラムモニターの画質設定は常に「フル画質」で検証しています。

raytrek G5-Rで4K30Pカット編集 画像を拡大
まず最初にraytrek G5-RにLUMIX G9 の撮影データ(4K30P 4:2:0 8bit)を使ってカット編集・テロップ・BGMを挿入してみます。
再生中のCPU使用率は9%前後を推移し、内蔵GPU(AMD Radeonグラフィックス)の使用率は7%前後を推移。
GeForce GTX 1650 Tiは24%前後を推移します。
再生中のコマ落ちやカクつきは全く生じません。
LUMIX G9の4K30P 4:2:0 8bitデータは非常に快適に編集可能です。
次に同じカメラで撮影出来る4K60P 4:2:0 8bitで検証してみます。

raytrek G5-Rで4K30Pカット編集 画像を拡大
再生中のCPU使用率は倍増し、17%前後を推移します。
内蔵GPU(AMD Radeonグラフィックス)の使用率は11%前後まで上昇。
GeForce GTX 1650 Tiの使用率は31%前後まで上昇して推移します。

コマ落ちインジケーターで0フレームのコマ落ち
5分30秒のシーケンスをフル画質設定で最初から最後まで再生。
G9の4K30Pおよび4K60Pの撮影データによるコマ落ちをPremiere Proのコマ落ちインジケーターで確認するとコマ落ちは0フレームとなりました。
4K30P / 60P 4:2:2 8bitの1トラック編集ならraytrek G5-Rの性能でまず問題になりません。余裕をもって編集できます。
次にSONY α7SⅢで収録した4K60P 4:2:2 10bit(記録方式はXAVC S-I)の素材をタイムラインに並べて、レガシータイトルとBGMを乗せてプレビューしてみます。
参考情報:α7SⅢ 4K 4:2:2 10bit撮影で知っておきたいこと まとめ

raytrek G5-Rで4K30Pカット編集 画像を拡大
CPU使用率は100%を推移し、内蔵GPUの使用率は11%、GeForce GTX 1650 Ti の使用率は71%前後で推移します。
LUMIX G9の4K 4:2:0 8bitとは大きく違います。4K 10bitの負荷の大きさがよく分かります。

コマ落ちインジケーターで0フレームのコマ落ち
コマ落ちフレームは5分30秒のシーケンスのうち8フレーム程度で収まりましたが、常時CPU使用率が100%だとやっぱり不安です。
ノートパソコンによるα7SⅢの4K 10bit映像データはまだ我慢が必要。当面はデスクトップで対応するのが良いでしょう。
4K⇒4K書き出し(Premiere Pro)

raytrek G5-Rで4K30Pカット編集 画像を拡大
次にraytrek G5-RとPremiere Proで書き出しテストを行います。
書き出したのはLUMIX G9 Pro(4K30P 4:2:0 8bit)の映像素材を乗せたシーケンスです。
書き出し設定は4Kシーケンス(5分30秒)からH.264の4K(UHD 3840×2160)、ターゲットビットレートは10MbpsのVBR 1パス。
ハードウェアエンコーディングとソフトウェアエンコーディングでそれぞれ書き出し時間を計測します。
書き出し時間はそれぞれ以下のようになりました。
4K書き出し(5分30秒の動画)
ソフトウェアエンコーディング | 6分59秒 |
ハードウェアエンコーディング | 3分06秒 |
ハードウェアエンコーディングについては以下の記事で詳しく解説したので、ご存知ない方は合わせて読んでみてください。
関連情報:ハードウェアエンコーディングに悩む方が知っておきたい5項目

ソフトウェアエンコーディング時

ハードウェアエンコーディング時
書き出し時のCPUやGPUの使用率もチェックしてみました。
ソフトウェアエンコーディングではCPUの使用率が100%になっています。
内蔵GPU(AMD Radeonグラフィックス)の使用率は2%前後、GeForce GTX 1650 Ti の使用率は13%前後となりました。
続いてハードウェアエンコーディングではCPUの使用率が83%前後まで下落し、内蔵GPUは2%、GeForce GTX 1650 Ti の使用率が47%前後まで上昇します。
書き出し時間はハードウェアエンコーディングの方が断然速く完了します。
エフェクトを多用したり複雑な編集を行った場合は、書き出し時間がさらに延長されると思います。
DaVinci Resolve Studio 17 6K30P BRAW カット編集

raytrek G5-Rで4K30Pカット編集 画像を拡大
次にBMPCC 6K Proで撮影したBlackmagic RAW 6K30P Q5の素材を使って編集してみます。
Blackmagic RAWはDaVinci Resolve Studioで編集できる記録方式でカラーグレーディングに最適です。
CPUの使用率は41%前後を推移し、内蔵GPUの使用率が10%前後、GeForce GTX 1650 Ti の使用率は43%前後を推移します。
検証前に測定したベンチマークの通り、6K30PのBlackmagic RAWでは問題なくカット編集できそうです。
カラーグレーディングを強めに実施する場合は、GPU性能がさらに良いraytrek R5-TA5を選ぶと良いです。
raytrek G5-Rはこんな人におすすめ
モバイルノートでインテル第11世代CPU搭載モデルが充実してきたことで、Ryzen 搭載ノートの価格がぐっと下がってきています。
どこまでも性能を重視したい方は最新のCPUを選ぶのが良いですが、性能の良いパソコンを安価で狙うお買い物上手な方にはraytrek G5-Rが買い時です。
こんな人にオススメ
✅動画編集用途でコスパの良いノートPCが欲しい方
✅ACアダプターも一緒に持ち出せる方
✅映像を外部出力する機会が多い方
USB-Type CやLAN端子も標準装備。
テレワークでweb会議やライブ配信を頻繁に行うクリエイターにとって最適なノートパソコンです。

ドスパラ raytrek G5-R
CPU:Ryzen 7 4800H
メモリ:16GB
グラフィックス:GeForce GTX 1650 Ti 4GB GDDR6(4GB)
ストレージ:M.2 SSD NVMe 512GB
液晶モニター:15.6型 フルHDノングレア液晶
119,980円(税込)